第20話
「文化祭を行う。」
担任の先生が教室に入ると、急にそんなことを言い出した。陽に昼ごはんを奢ってもらってから2週間ぐらいが経過していた。その間に、変なことはなかった。
強いて言うなら北風とすれ違うと「おはよう!」「やっほー」と挨拶されるぐらいだろう。周りにも沢山の生徒がいるので視線が痛い。
主に誰だお前?北風さんになんの用事だ?なんて言う殺気とも言えるような怖〜い目線だ。それに耐えながら返事だけは返す。
その度に北風は笑顔になっていく。そして、自分の教室に向かう。最近はこんなことが多くなっていた。最初の頃はクラスのみんなに「何があった!?」と聞かれたが、陽が適当に受け流してくれた。
こういう時には頼りになる。さすが俺の親友!やっぱり友達は量より質だろ!
まぁ、友達が作れないだけの陰キャの戯言だけどな。
今更だが、担任の先生のこの言い方最近聞いたな。なんかすげぇ嫌な予感するわ。無事に終わってくれ文化祭。
「ここからは委員長の俺が仕切らせてもらう!というわけで1時間目のホームルームは、文化祭の出し物を決めようと思う。」
菅野が前に出て1時間目が始まる。
「まず、軽く説明するが、佐倉高校の文化祭はみんなも知ってるように地域の中では有名で、保護者の方や他校の生徒、中学生なんかも沢山来るビッグイベントだ。」
そう、ウチの学校の文化祭はかなり有名なのだ。他校の生徒も簡単に入ることが出来て、毎回お祭り騒ぎのように盛り上がる。俺からしてみれば地獄だが。しかもそれだけではない。ウチの文化祭は、本祭と後夜祭に別れていて本祭はお祭り騒ぎ、後夜祭は男女でフォークダンスを踊るなんて言う陽キャからしたら天国のようなイベントだ。
この文化祭を機に付き合い始めたカップルなんて去年山ほど聞いた。気が狂いそうになって、この学校に爆弾でも仕掛けようと思ったよ。リア充爆発しろ!って意味を込めてね。
もちろん実行していないが。
「さて、俺たち2年6組の出し物は劇にするか、飲食店みたいなものにするか決めたいんだが、案はあるか?」
そうすると次々に手が挙がる。
「メイド喫茶!」「お化け屋敷!」「ロミオとジュリエットしたい!」「占いだな!我は精霊と会話することができるからな!」
最後のやつ、やばいな。完璧な厨二病だ。高校2年生になっても厨二病のやつとかいたのかよ。
ロミオとジュリエットもダメだな。こいつの目的はジュリエットの座に居座り、ロミオ役の人と付き合いたいっていう願望か、イチャつく目的のどちらかだろう。
こんなことを考える俺は歪んでいるのかな?
「分かった。集計するよ。顔を伏せて」
それから顔を伏せて、どの出し物にするか決める。
「OK、決まったよ!俺たち2年6組の出し物は
夏祭りを再現した出店だ!」
は?どんなものでも異論はなかったがそんなものあったのか?って言うか今冬寄りの秋なんだけど?11月なんだけど?夏すぎちゃってるんだけど??
「「「「「賛成〜!」」」」」
えっ?みんな賛成なの?そんなものあったのか?
別にどれでもいいとは思っていたが、出店をいくつか作るんなら仕事が増えそうだな…。
それにしても夏祭りねぇ。昔に1回行ったことあるけどそれっきりだな。
イメージとしては男女がイチャつくイメージしかないから、やりたくないんだけど、そんな個人的な理由で反対できないしな。
俺ってやっぱり歪んでるな。
まぁ、みんな楽しそうにしてるし俺を除いたら必死に用意を頑張ってくれるだろう。頑張れ!俺は簡単な仕事だけしていたい!
はぁ〜。それにしても、文化祭も面倒くさそうだな。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
後日
「おい!?聞いたか!?5組メイド喫茶やるってよ!!」
俺はそれを聞いても被らなくて良かったな程度にしか感じていなかったが、それは俺だけだった。
「「「「「「うぉおぉーーー!!!!」」」」」」
クラスの男子は強烈な雄叫びをあげていた。その中には陽もいた。何してんだこいつら!?うるさすぎる!と思っていたら他クラスからも雄叫びの声が聞こえた。
「真美ちゃんのメイド見れるのか!?」「いや、歩香ちゃんだろ!?」「見れるなら死んでもいい!命かけれるぜ!」などなどやばずぎる意見が飛び交っていた。ん?なら陽はどうして叫んでいたんだ?と思ったら
「当たり前だろ!?だって海咲のメイド姿見れるんだぜ!?彼氏冥利に尽きるだろ!」
忘れていたが、雨宮さんも5組だったな。
はぁ。やっぱり今年の文化祭も面倒くさいことになるのは確実だな。
後書き
今回から文化祭編です。
しばらくの間砂糖少ないです。すみません。
星とレビュー、感想お待ちしております。
「クラス転移で裏切られた「無」職の俺は世界を変える」もよろしくお願いします!!!
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