第5話

修学旅行4日目─


俺たちは7時に先生に起こされ、現在ラジオ体操を行っている。


朝食を食べ、用意が出来たら8時30分から行動開始だ。本日の予定は、完全なる班単位での自由行動だ。




この班なのだが、俺以外の3人はみんな野球部で仲良しなのだ。班決めの時に俺だけ余って人数の少ないこの班に入った。気が重い。恐らく、どこかで巻かれるのでは無いだろうか…?なんて言う心配もするぐらいだ。




別にそうなっても正直構わない。3人でプランを立てていたし、楽しそうに話していたことからも俺がいない方が俺的にも3人的にもいいと思う。




2日目は扇子の色付けと農業体験をした。京都まできて農業体験!?と思ったけれど意外と楽しかった。3日目は舞鶴観光。陽と同じ班で舞鶴公園を観光した。ちょっと楽しかった。




現在午前10時。10時半から始まるので、荷物の用意をして集合場所に向かう。




さぁ!京都探索の始まりだ!








〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


はい、はぐれました。




巻かれたのか、はぐれたのか分からない。昼ご飯を一緒に食べた後、近くでやっていた殺陣たてショーを人混みの多い中見ていたらはぐれた。終わると周りにいなかったのだ。もしかすると人が多かったのでその影響か?と思って探したのだがいなかった。




そんなことなら気にしないのだが、今回は運がない。なぜって?携帯がないのだ。ラジオ体操が終わったあと先生から返して貰ったのだがない。ポケットも叩いたがない。バッグも探したがない。部屋に忘れてきたのだろう。




ふむ…。やばい。とてつもなくピンチだ。




集合場所はホテルで、マップは野球部3人組が持っている。おれはホテルの場所など知らない。ホテルの名前も知らないから周りの人に聞けない。




やばいな…。まぁでもこういう時にする行動なんて決まってる。




観光だ。ここまできたなら京都観光を俺一人で続けるしかない!元々ぼっちなので1人は慣れている。その道のりで誰か同じ学校の人に会えば聞いたらいいだろう。




ということで京都を意図もなくぶらつく。テキトーに進むことにする。




色々な場所を1人で回った。コンビニも少し俺の地元とは違っていたことに驚いたり、人力車が走っていて興味が出たり(乗ってはいない)、舞子さんがいたり、八つ橋を食べたり…




色んなことをした。正直とても楽しかった。しかし、ここまで誰一人として俺の学校の生徒を見なかった。誰一人だ。ここまで来ると俺だけ異世界に転移されたのかな?とう疑いたくなるほどだ。もちろんそんなことはなく、俺が今いるのは、日本の京都市なのだが…




このままだとやばい。ほんとーにやばい。理由はな2つある。




1 このまま野宿


先生の電話番号が分かればいいのだが、それも今分からない。このまま誰も見つからなかったら野宿するより地元に帰る方法を探すがな。




2 ホテルの場所が分かるが、集合時間に間に合わない


何とか奇跡的にホテルの場所がわかったとしよう。しかしだ!集合時間の5時までにホテルに着かなかった場合、即お説教フルコースだ。帰宅するまで先生が着いてくるかもしれない。最悪だな…




さて、どうするかな…




そんなことを考えながらお店で買った八つ橋を食べながら考える。もちろんお土産用も買ってある。八つ橋がとても気に入った。










そうして、4時になり俺が夕日の映る川を眺めながら河川敷を歩いていた時である。




ぐすんっ、えっぐっ、


どこからか女の子がなく声がしてきたのだ。


最初は幻聴だと思ったさ。


うっぐっ、ぐすんっ


もう一度聞こえてきた。今、この状況においては泣きたくなるのは俺の方だぞ!っと言いたくなる。




そんな馬鹿なことを考えていた。めんどくさい事になると思ったからそこから離れようとしたが、少し気になり荷物を持ったまま、声が聞こえる方に慎重に向かった。




そうでなければ気が付かなかっただろう…


なぜなら大きな橋の影の下で女の子が泣いていたからだ。


声をかけようと思ったがその手が止まり、顔を歪ませてしまった。




なぜなら、その女の子は見たことのある茶髪で女子にしては背が高い女の子で、俺が嫌いな女の子だったからだ。






そう、泣いていた女の子は北風真美だった──






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