第28話
俺が仮面売りに戻ると異様な空間が広がっていた。
「…うぅ…月夜さん…」「神楽ァ…お前いい姉持ったなぁ…!」
何と雨宮さんと、陽が泣いていた。さっき北風の泣き顔見たばかりなんだけどな。
「月夜ねぇ、何したんだよ?一体」
「えっ?何もしてないよ?ただこれまでの私の身に起こったことを話しただけだけど…」
あぁ、なるほどな。それは泣くわ。俺何回聞いても泣きそうになるもん。1回目だと、人間の心があれば絶対に泣く。
陽の言葉には賛成だ。俺にはもったいない姉だと思う。
「今日から俺!月夜さんのファンになる!これからずっと応援ずる!!」
好きにしたらいいだろう…。なんで宣言してるんだよ。
「…月夜さん、すごい人。これからもずっと応援する。」
雨宮さんもなんかすげぇ泣いてる。いつものクールな印象からは想像もできないんだけど。
「っていうかお前らデート行かなくていいのかよ?俺が店番するから行ってきていいぜ?」
「「こんな状態で行けるか!(ない!)」」
「お…おう。そうか。」
すっげぇ剣幕だったな。
「神楽、大丈夫だったー?喧嘩したんでしょー?怪我してるよ。」
「あっ!そうだぞ、神楽。そっちは大丈夫だったのか?」
陽のやつ俺がさっきまで何しに行ってたか忘れたてな?そんなに姉ちゃんの話に聞き入ってたのかよ。先生に連絡してくれたくせに。
「こっちは大丈夫だよ。この怪我は貰った。金髪のゴリラがムカついたから完膚なきまでにフルボッコにしてやろうと思って。」
相手の攻撃を避けずにくらって、フルボッコにしたら心も折れるだろうからな。
「そういや、神楽はなんでお面をつけて言ったんだ?」
「あぁ〜。それか。髪を整えたのもそうだが、俺が誰だかゴリラに分からせないためだな。復讐とか来たらめんどくさいからな。」
「えっ?そんだけ?それだけの理由で仮面つけて喧嘩したの?仮面つけた方が視界狭まるのに?相手は南高のトップクラスって聞いたけど?」
それだけってことは無いだろ。お前の顔覚えたぞ!とか言って復讐に来ることって漫画じゃあるだろ?そんなのやってられねぇよ。
「弱かったぞ。一瞬だった。まぁ、ついでに言うなら仮面付けた方がかっこいいからだな。」
「「「それは無い」」」
3人から否定された。姉ちゃんにも否定されたのは辛いな。
「まぁ、神楽にそこら辺のセンスがないのは知ってた。俺と遊ぶ時も上下真っ黒のセットで来るぐらいだからな。いつもゴキブリかと思ってたよ。」
こいつまじで酷すぎるな。いくら心が海のように広い俺でも看過出来ないぞ。
でも、北風に絡んできたナンパも俺の事真っ黒くろすけって呼んでたな。
「今度また、服送っとくよー」
「まじか、姉ちゃん。ぜひ頼む。」
そんな談笑を4人で続けていると…
「陽おにぃちゃーん!」
そんな声が聞こえた。それに反応した陽は
「おっ!来たな。
陽が見ている方を俺達も見ると、中学生ぐらいの女の子とその後ろに陽の両親と思われる人がいた。それを確認すると前に出たのは雨宮さんだった。
「…初めして。陽くんのお義父さま、お義母さま。私は陽くんとお付き合いさせていただいています、雨宮海咲と申します。」
丁寧な礼と言葉を述べていた。
「あぁ、君がか。陽から話はよく聞いてるよ。初めまして。私は陽の父、川野太陽だ。」「陽の母、川野
「私は川野陽菜。中学三年生!よろしく!」
雨宮さんと川野一家は仲良さそうに話し込んでいた。雨宮さんの印象も良さそうだ。
「姉ちゃん」
「なに?神楽」
「こういうの、いいなって思って」
「そうだね〜。そんなこと思えるようになったんだね〜。」
「あの時は本当にありがとう。親がいなくなったときに支えてくれて。」
「どういたしまして。成長したね、神楽。」
そんなことを話していると陽たちの話題が俺に飛んだ。
「そうだ!あそこにいるのが、俺の友達の荒木神楽!」
「かっこいいねー。あの人!」
陽菜ちゃんがそんなことを言っているが誰のことだ?陽かな?
ていうか、話を俺の方に飛ばすなよ。何言っていいのか分からないんだけど。今まで友達の親なんて会ったことないし。とりあえず、雨宮さんの真似するか。
「初めまして。荒木神楽です。」「姉の月夜です。」
「君がか…。よく陽が話しているよ。自慢の友達がいると。」
「違いますよ。俺は彼以外に友達と呼べる人はこの学校にはいません。そんな俺をいつも助けて貰っています。俺は彼が自慢できるほどの人間ではありません。陽こそ俺の自慢の友達です。」
いつもそう思っている。バカにしたり、いたづらしたり、してるけど心の中では感謝してる。ん?なんか恥ずかしいな。
「陽が言っていた通りの素晴らしい人だな。また家に来るといい。歓迎するよ。」
俺、今ぼっちです。って宣言したんだけどな。そんな人が素晴らしいの?
「ありがとうございます。それより、ご家族と雨宮さんで文化祭を回られてはいかがですか?まだ時間はございますし。行ってこいよ、陽、雨宮さん。姉ちゃんから俺の話聞いたんだろ?なら、家族の時間は大事にしろ。店は俺がやっとくから。」
「ごめん、神楽頼めるか?」
「任せろ!」
俺は笑顔で答える。これも友達の役目だろ。
「それじゃあ、行ってくる。ほら、海咲も。」
「…うん、ありがとう荒木くん」
「あっ!ちょっと待って2人とも!」
姉ちゃんが2人を呼び止めてなんか渡してる。
「これは、お礼。これからも神楽をよろしくね」
「「はい!」」
それが終わると本当に家族で文化祭を回り始めた。
「何渡したんだ?」
「水族館のチケットとサインだよ。」
姉ちゃんのファンである2人からしたらめっちゃ嬉しいだろうな。
「それじゃあ、私もそろそろ帰るよ。」
「意外と早いな。」
「明日も仕事だし。それに神楽の様子見たら大丈夫だろうし、友達の陽くんも海咲ちゃんもいい人だし。心配することはないかな。」
「俺はもう大丈夫だ。それより次いつ来る予定なんだ?」
「ん〜?1番早くて元旦かな?」
やっぱり人気のモデルは違うんだろうな。さぞかし忙しいんだろう。
「それじゃあね〜」と笑顔で帰っていった。
残り1時間も何も起こることなく、波乱の文化祭本祭は幕を閉じた──
後書き
陽と、雨宮さんが泣いた荒木家のお話は文化祭が終わったらします。
少しでも面白い、続きが読みたいと思った方は★とレビューをよろしくお願いします!
感想もお待ちしております。
「クラス転移で裏切られた「無」職の俺は世界を変える」もよろしくお願いします
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