3章

第1話

「新年!」

「あけまして!」

「おめでとう!」


「「「「ございまーす!!!!」」」」


今日は1月1日。正月である。天候は驚くほどの晴天。今年はいい事あるかもなぁ。


現在俺たちは場所は俺の家の前にいる。メンバーは俺、陽、北風、雪乃ちゃん、陽菜ちゃん、雨宮さん、そして姉ちゃんの7人である。うん、俺からしてみれば結構な大人数が揃ったな。


そして同時にこれが現在の俺の交友関係の全てでもある……。そう思うとなんとも言えないな。それもほとんどが高校で出会った人である。ほんとよく俺、中学時代過ごせたよな。


まぁ、でも少しずつだが交友関係も広がってきたな!神様には「これからも交友関係が広がりますように」ってお願いしよっかな〜。


どうでもいいかもしれないが、何とか家の大掃除も終わった。姉ちゃんが帰ってきた次の日は二日酔いのせいでなんにもできなかった。だと言うのに、俺より飲んでた姉は無傷だった。


もう二度と酒は飲まねぇ……。


「久しぶりだね、荒木くん!」


「いや、クリスマスであったからちょうど1週間ぐらいだろ?久しぶりって言うほどか?」


「そこは久しぶりでいいじゃん!1週間も会えなかったんだよ?それにしても服…着てくれたんだね」


1週間…もなのか?俺からしてみれば1年間誰とも会わないとか普通だったからわからん。


北風の言う通り今日はあの日に北風と一緒に買った服を着ている。


いつもの服装で行こうとしたら姉ちゃんに止められた。友達に会うだけで大袈裟すぎる。


というわけで姉ちゃんから貰った服か北風が選んだ服かどちらかを着ることになったのでコイントスで決めた。表が出たので北風が選んだ服を着てみた。


ちなみにだが、北風の服装は俺と同じような色の服である。まぁ、ただの偶然だが。


「あぁ、これ、ありがとな」


「うん!似合ってるね!」


大丈夫…だよな?今の多分上手く話せてたはず!なんか北風とは去年の会った最後があんななだけに上手く喋れるか緊張してたけど杞憂に終わったな。北風も気にしてなさそうだし。


「かーぐら先輩!」


「ん?陽菜ちゃんか。クリスマスぶりだな」


「お久しぶりです!」


隣から陽菜ちゃんが話しかけてきた。そして何故か知らないが北風から強烈な視線を感じる。


「あ!ミサンガつけてくれくれてるんですね!」


「あぁ、さすがにこの短期間で外さないだろ」


ん?何故か俺たちの言葉にピクと北風が反応する。北風から視線をさらに強く感じる。


「初めまして。荒木くんのの北風真美です」


何故か同級生の部分が強調されている感じがするな。


「私はそこの川野陽の妹の川野陽菜です!してもらってます〜。よろしくお願いしますね?北風先輩♪」


明らかにこちらも強調されてる部分があったよな。


何故か分からないがその瞬間にドゴォォン!と音を立てて雷が落ちた気がした。それになんだろう?何故か知らないが急に寒くなってきた。


2人ともにこにこ顔なのに何故か目が笑っていない。


「陽…カイロ代わりにさせてくれ。なんか寒い…」


「おいおい、正月から風邪とかやめてくれよ?」


はぁ。陽って暖かいわぁ。さすが「陽」のなだけある。


「なるほど……。今はこういう状況なんですか。はぁ…。先輩も大変ですね……」


「おぉ、雪乃ちゃんか…」


そういえば雪乃ちゃんともクリスマスぶりだな。


「お久しぶりですね。で?どうなってるんですか??なんで私の友達まで……。はぁ」


「俺にも分からん。てか雪乃ちゃんと陽菜ちゃん友達なの?」


「はい。友達ですよ」


雪乃ちゃんが何故か笑っている2人を指さしながら俺に尋ねて来るがそんなもの俺の方が知りたい。さっきから悪寒が止まらねぇんだよ。


「神楽、この子は?」


「あぁ、北風の妹」


「はい。初めまして。北風雪乃です。陽菜のお兄さん……ですよね?」


「そうだよ。一応……初めまして…かな。俺は川野陽。それでこっちが……」


「…雨宮海咲…です…」


「あれ?知り合い?」


なんだか雪乃ちゃんと陽は知り合いような感じがした。人間観察が趣味みたいなもんだからちょっとした会話からそういうのが分かっちゃうんだよ。さすが俺!


「あぁ。陽菜の友達だよ。よく陽菜から名前だけは聞く」


「へぇ〜、そうなんだ……」


てことは2人は同じ中学なのか。実は陽も北風と同じ中学なのかもしれないな。


「へぇ〜、これが神楽の友達かぁ…。いいわねぇ」


「「月夜さん!」」


姉ちゃんに反応するのは陽と雨宮さんの2人。


そうか。今思い出したけど2人は姉ちゃんがモデルやってるって知ってるのか…。


「あ!海咲ちゃんと……陽くん…よね?久しぶりね〜」


「久しぶりです!」「…お、お久しぶりです…」


どうやらお姉ちゃんを前に2人とも緊張しているようだな。まぁ、2人からしたら芸能人っていう普段は近づけない人だもんな。そして姉ちゃんの登場に北風と陽菜ちゃんも気づき、こちらに近づいてくる。


「荒木くん、この人は?」


「あぁ、俺の姉ちゃんだ。北風にはいつか話したことあっただろ?今年で20歳だから成人式まで帰ってきてるんだよ。ちなみに文化祭も来てたぞ?」


「あぁ〜、そういえば言ってたね」

「文化祭…。神楽先輩の隣にいた人です……よね?」

「そうそう」


「荒木先輩に上の姉兄なんていたんですね……。少し驚きです」


そうか…。雪乃ちゃんには話したこと無かったな。まぁ、話すことでもないからいいか。


「そうか?」


「はい。勝手かも知れませんが荒木先輩は『兄』って感じはしますけど『弟』って感じはあんまりしませんから」


「「「「分かる!!」」」」


雪乃ちゃんの言葉に俺と姉ちゃん以外の4人が賛同する。俺そんなに『兄』って感じするかな〜。いやー、結構嬉しいな。『弟』だと、に憧れたりするんだよ。


いや…まぁ、中学の時は「兄貴」とかって呼ばれてたっけ?あれは別の話だな……。うん、忘れよう…。僕は『弟』だ。


「ふふ。神楽に紹介されました、この子の姉の荒木月夜です!ちなみに神楽たちの高校の卒業生……とはちょっと違うけど元在学生よ。よろしくね。ちなみに今はモデルやってるの」


姉ちゃんがマスクをとって自己紹介をする。それにしても自己紹介バッチリだな。自己紹介は俺にとって地獄みたいなもんだ。何話していいか分からん。その社交性俺にも分けてほしい。何故同じ家族でこうも違うのだろうか。


「荒木……月夜……モデル……もしかしてtukiさん!?」


雪乃ちゃんがいち早くその正体に辿り着いた。やっぱりファンだったりするのかな?今人気らしいし。


「そうだよ〜。私を知ってくれてるなんて嬉しいな」


その事実に3人は驚いている様子である。ってことは3人とも知っているのか。陽菜ちゃんはtukiに語ってたな。


「ってことはみんな知ってるのか?tukiってモデル」


「え?当たり前だよ!女子高生ならみんな知ってるって!今、結構人気出てて、話題なんだよ!?」


ふぅーん。文化祭の時にも思ったけど有名なんだな。まぁ俺からしてみれば身近だからよく分からん。


「はは。こんな反応するのは神楽ぐらいだろうな…」「…荒木くんが知らなさすぎる…だけ」


何故か知らないけど陽と雨宮さんから呆れ顔で見られる。いや…服とかに興味無いし、友達少ないから話題なんて知らないんだよ。


「あ、そうだ。俺、今家庭教師してるんだけど、陽の妹の陽菜ちゃんがファンらしくてさ。なんか……ファンサービス?してあげてくれないか?」


「ふぇ!?神楽先輩!?」


「あ!そうなんだ〜。別にそんなに畏まらなくていいよ!神楽の友達だしね!」


固まったままの陽菜ちゃんを姉ちゃんの前に連れていく。ちなみに北風姉妹も固まったままである。雨宮さんが復帰を試みてくれているが効果はイマイチのようだな。だが、北風から視線を感じる…。やっぱり姉ちゃんのファンだったのか…。そういうことだよな?


「12月勉強頑張ったご褒美だ」


「ご、豪華すぎません!?私、何話せばいいのか分からないんですけど!!」


「大丈夫だって!所詮は同じヒト科の人間なんだから。なんにも変わらないよ。それに家じゃ負けず嫌いが激しい意地悪なまぁ…お母さんみたいなもんだ」


「そうは言ってもですね!同じヒト科でもオーラってものがですね!」


「そんなもん気にすんな。その理屈でいえば同じDNAである俺にもオーラが宿っているわけにもなるが、残念ながら俺にはそんなオーラ的なもんはない。というかあってこの現状なら泣く」


「いや、まぁ、それはそうかもしれませんけど…」


「否定しないのかよ…」


いや、まぁ、わかってるけどね?けど俺も欲しいなぁ、光源も分からない謎のオーラ的なやつ。あれさえあれば青春満喫できるんだろうなぁ。後ろからスポットライト常に当ててもらったら友達できるのかな?……新学期で実践してみるか……?


「陽くんの妹なのよね?初めまして!」


「ひゃ、ひゃい!初めまして!い、いつも雑誌…見てます!」


「ふふ。ありがとう。」


そう言って姉ちゃんは陽菜ちゃんの手を握る。上手いな…。動作が自然だ。あれができる陽キャの動きか…。


「あ、あの!サイン!お願いしても…いいですか?」


「もちろん!陽くんにもあげたからね!」


「え?そうなんですか?」


陽菜ちゃんが陽の方を睨んでいる。コイツ…。言ってないどころかサインを見せてすらいないのかよ。陽はそれに気づき、視線を逸らす。


「お前、今絶対嫌われたぞ」「…ん。同感」


「そんなぁ……」


「っていうかなんで言ってなかったんだよ?」


「だって神楽が秘密にしたいことかもしれないし、広まったら面倒くさいだろ?」


「あぁ、広まったらめんどくさいけど家族ぐらいなら別にいいけど」


なんか悪いことしたな。ちゃんと言っておけばよかった。俺の学校で広まるのはめんどくさいがそれ以外で広まるなら特に何も感じない。


「あ!でも…今何も持ってなくて……」


「大丈夫よ!神楽、何か持ってきてくれない?私の部屋行ったら雑誌とかあるから」


「もう持ってきてる」


「準備いいな!?」


まぁな。我が家ではあるルールが存在する。勝負で負けた方は勝った方のお願いをひとつ聞く。昔から勝ったことの無い俺は雑用のように扱われた。そして学校での陰キャ生活が空気を読むというスキルを磨き、この行動すなわち高度なパシリを可能にしたのだ!!


全く…中学ではボス格みたいな存在だったはずなんだけどなぁ。やはり姉には逆らえない。


「陽も慣れればこれくらいできるぞ」


「いや、慣れたくないから」


?そうか?慣れれば便利なんだけどな。


ちなみに雑誌はきっちり5冊分ある。念の為にと陽たちの分も持ってきた。


「ふふ。はいこれどうぞ」


「ありがとうございます!!」


陽菜ちゃんは心底嬉しそうにそれを受け取る。うんうん、これはご褒美と呼ぶにふさわしいだろ。


すると姉ちゃんは陽菜ちゃんの耳元で何かを囁いている……ように見える。


「…………」


その瞬間に陽菜ちゃんの顔が真っ赤に染め上がった。


「ひゃ、はいぃ……」


「ふふ。やっぱりね」


?何がなのか全く分からない。すると陽菜ちゃんはそそくさと離れて雨宮さんの近くに寄ってきた。

まぁ、姉ちゃんのことなので軽いイタズラかなんかだろう。とはいえそこまで嫌がるようなものでもないと思うが。


「あ、そうだ。こっちが俺の友達。文化祭で友達になった」


「え?私、文化祭の時に友達になれたの?」


「え?違うのか?」


「私は…修学旅行当たりからは友達だと思ってたのに……」


北風がショボーンとなってしまった。こんなこと言えないけど文化祭前までは他人にカウントしてしまっていた。友達の定義って難しいな……。


「あ!じゃあ、神楽が電話で言ってた子ね!」


「あ〜、そうそう」


そうか。今思い出したけど北風は姉ちゃんが会いたいって言うから誘ったんだっけ。なら最初に紹介すれば良かったかも。


「は、初めまして!北風真美です。荒木……か、神楽…くんには…文化祭で色々と世話になりました……」


……なんか、北風が俺のフルネーム呼ぶのって違和感があるな…。ほとんど苗字でしか呼ばれたことないから。ちょっと新鮮。


「妹の北風雪乃です。姉がお世話になってます」


こんなこと言ったら北風は怒るかもしれないが、雪乃ちゃんの方が立派に見えるな…。姉妹逆なんじゃないだろうか?


「荒木くん?」


「なんでもないよ〜」


ヒュンと冷たい北風が吹いた気がした。何故考えることがわかった!?


「うん!初めまして!いつも神楽がお世話になってます」


「あ、そうだ。料理は北風から教わったんだ。雪乃ちゃんにも結構世話になってるんだ」


「そうなんだ!とりあえず陽菜ちゃんと同じでいいかな?何かリクエストとかある?」


地味なアシストをかましたら俺は直ぐに姉ちゃんの隣に移動。そして雑誌とペンをもう一度手渡す。


「神楽のやつ…結構手馴れてるな……」「……陽菜ちゃんは見ちゃダメ……」


いや、見ちゃダメってどういうことだよ!?ただパシリですけど!?


「神楽がお世話になったね。あの子結構不器用だから教えるの大変だったでしょ?」


「い、いえそんなことないです!それに…料理は助けてもらったお礼ですから……」


別に助けたつもりないけどな。これをいえばまた反論してきてーっていう流れになるから言わないけど。


「ふふ。良い人そうでよかった…。これからも神楽をよろしくね♪」


「は、はい!こちらこそよろしくお願いいたします!」


そう言ってサイン雑誌を手渡す。なんかこういう会話を本人の前でやられるとめっちゃ恥ずかしいんだけど。よろしくしてくれんの?来年から嫌われるとかないかな?




「…………」


?先程と同じように北風だけに聞こえるように姉ちゃんが北風に囁く。


「!?!…な、なんで…?」


そしてまたも顔が真っ赤に染め上がる。いやまじで何言われたんだ?


「ふふ。勘よ。でもその様子だと当たったみたいね。応援してるわ」


「北風、何言われたんだ?」


「な、なんでもないから!」


何故か知らないがすごい勢いで否定されてしまった……。これはよろしくされないかも……。また…友達が1人減った……気がする。


「雪乃ちゃんもありがとね〜」「いえ世話になってるのはこちらです」


一方姉ちゃんの方では雪乃ちゃんが話していた。その瞬間…


ドゴォォン!と何となくだが、雷が落ちた気がした。本日二度目の雷だ。今日…晴天なんどけどな…。幻覚か?


ただ1回目と違い、何も感じなかった。


よく分からないが、雪乃ちゃんと姉ちゃんが硬い握手を交わしている。


「ど、どうした?2人とも…」


「何となく、同じ感じがするの」


??全く意味がわからん。なんだろう?姉ちゃんのこんな顔久しぶりに見たな。理解者を得たって感じがする。


「私もそこら辺苦労してるのよ……。」「その気持ち分かります。私も姉のことで……」


どうやら完璧に意気投合したようだ。


「やっぱり神楽の家族って感じがするな……」


「うん!わかるわかる!」


「……似てる……同じ姉兄肌…」


「「「それな!!」」」


どうやら俺以外の人はみんな同意らしい。いや、マジでわからん。俺は末っ子なんだけど?甘えてばっかりだけど??


全員の自己紹介が終わったところで、俺たちの正月が始まったのである。

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