第24話
昼食を食べ終わったら、陽との時間が迫っていたので姉と2人で仮面売りの方に向かうことにした。姉にも俺のこの学校での唯一の友達のことをしていて欲しかったからだ。
「おぉ、神楽帰ってきたか!どうだった文化祭…は?って誰?お前の隣の人」
「前にも言ったろ?俺の姉ちゃんだよ。」
「神楽の…お姉…さ…ん?」
めっちゃびっくりしている。まぁそうだろうな。弟である俺から見ても可愛いんだから。
「初めまして。荒木神楽の姉の荒木月夜です。川野陽くんですよね?」
「は…はい。荒木神楽の友達の川野陽です。」
?よく分からないがめっちゃ緊張してるな。
「いつも神楽がお世話になってます。面倒くさがりで、大変でしょう?弟と付き合うの。」
「い…いえ!そんなことありません。確かに面倒くさがりでだらしなくて、やる気もあんまり出てるところ見たことないけど、優しくて良い奴です。お世話になってるのはこっちの方ですよ。」
お前は俺のことをそんなふうに思っていたのか…。最初はちょっとイラッとしたけど、最後の方は真面目な声で答えていたので嘘では無いのだろう。それを聞いたら怒りはなくなった。さすがは俺の親友だ。
姉ちゃんが何も言わないので、そっちを見ると
「……いい子…。なんていい人なの。神楽のことを見てる友達が本当にいる。」
感動していた。まぁ、陽が良い奴なのは認める。そうじゃなければ俺とここまで仲良くなることはなかっただろうしな。
昔に色々あったから姉ちゃんもずっと心配してたんだろうな。まぁ安心してくれたようで何よりだ。
「あ…あの。1つ聞きたいことがあるのですけど、よろしいですか?」
そんな空気の中陽が、姉に質問した。
「なに?なんでもいいよ!」
「では。え…ーと、月夜さんってモデルとかしてらっしゃいます?」
「よくわかったな、陽。知ってるのか?」「ええ、してるわよ」
「やっぱりですか。もしかしてモデルのtukiさんですか?」
「よくわかったわね。その通りよ。」
そんな芸名なのか。知らなかった。
「その顔!?まさか神楽、お前家族のことなのに知らないのか!?」
「モデルしてるってこと以外知らない。あと最近テレビ出るようになったぐらいかな。」
はぁ〜。と陽が大きなため息をつく。別れて住んでるんだし、そんなに会わないから情報交換なんてしないんだよ。姉がテレビ出てても見ようなんて思わないだろ。なんか恥ずかしくなるし。
「モデルtukiさん、月夜さんはな人気ファッション雑誌セブンテ○ーンや、CanCa○で表紙を飾るような今日本でも人気のモデルだぞ!」
まじか…。そんな有名なのかよ。というかそんな人が身内にいるの?とんでもないな、俺。
「でも、陽はなんでそんなに詳しそうなんだよ。普段雑誌なんて見ないだろ?」
「海咲がファンだから、結構教えられた。多分今どきの高校生なら名前ぐらいは知ってるんじゃないか?」
あぁ、雨宮さんか。なるほどな。でも、そんなに有名なんだ。
「ふふっ。ありがとね。陽くんは神楽の昔のこと聞いた?」
「両親がなくなったっと言うのは…。」
「そうそう。だから、お金が無くてね。そのためにモデルになって結構努力したんだよ。歩き方とか、姿勢とか色々。当時は苦労したよ。」
「ハイハイ。それぐらいでいいよ。なんか湿っぽいし。それ以上の話はファンである雨宮さんが来てからしなよ。」
本音はこれ以上聞くと俺が泣きそうになるからである。まぁ、聞いたら陽も泣くと思うが。
「そういえば、陽は雨宮さんのところに行かなねぇの?」
「あぁ〜。海咲は休憩に入って用意があるからな。それが終わったらこっちに来るらしい。だから、それまではここにいるよ。」
そうなのか。なら雨宮さんも姉ちゃんに会いたいだろうから姉ちゃんはここにいて大丈夫そうだな。
「雨宮さんって陽くんの彼女なの?」
「はい、お察しの通りです。雨宮海咲と言いまして、ずっと月夜さんのファンだって聞いてます。」
「へぇ〜!そうなんだ!嬉しいなぁ!ならたくさんサービスしないとね。」
こういうサプライズみたいなテレビありそうだな。
そうして3人で談笑していると、
「あっ、荒木くんと川野くん!」
俺と陽が呼ばれたのでお客さんかなと思って声の聞こえる方をむくと、そこに居たのは
「木村さんに小林さんと、中村さん」
いつも北風と一緒にいる3人だ。北風だけいない。
陽が聞いてくれた。
「どうしたの?3人で」
あの時感じた嫌な予感を感じた。
「真美知らない?」
ドックン!
心臓の音が大きくなるのを感じる。
「俺は見てないけど…。神楽は?」
俺は顔を取り繕って笑顔で答える。
「見たよ。確か、南高の生徒と一緒にいたと思うけど…。」
「「「南高!?その人って金髪だった?!」」」
「うん、金髪だったと思う。」
遠目からだから顔は分からないが、金色の髪の毛をしていたのは、はっきりと見えた。
「やっぱり!」「どうする?」「ヤバいかな?」
なんて三者三様の反応をする。
さすがに気になったのか陽が聞いてくれた。
「何があったんだ?その人と北風さんに。」
「うーん。川野くんと荒木くんなら。」「真美も仲良さそうだったしね。」
と3人の中で結論が出て俺たちに教えてくれた。
「いい!絶対に他の誰かには言わないでね!」
「あぁ」「わかった。」
俺と陽の同意を確認して教えてくれた。
「1年ぐらい前にね、真美が南高の生徒に告白されたことがあったの。それを私たちに相談して、お試しで付き合ったら?っていう結果になったの。その時真美は告白されることにうんざりしていいて、「好きとか、付き合うとかなんなんだろうね??」ってよく聞いてきたの。だから、付き合ったら分かるかな?ってことで男避けの意味もあってその返事をOKにしたの。でも、結局なにも分からなかった。それにその人もあの南高で、かなりのワルで有名だったから。だから、1ヶ月ぐらいで振ったんだけど、多分そいつはまだ根に持ってるんだよ。」
な…るほどな。理解した。なら、あいつがあの後北風に何するだろうな?ゆっくりと劇を観賞しに体育館に向かったのではないだろう。
なら、簡単だ。俺のやることは決まってるな。
いつもならめんどくさいとかって言いそうだが、今回は関係ない。やる気が溢れてるからな。
「陽、ワックス持ってたよな?それちょっと貸して」
「この話聞いた後に!?なんでだよ!」
陽は今すぐに行こうとしてるが、オススメしないな。向こうも強そうだし。
「とりあえず貸せ。説明は後でする。」
「わかったよ!ほれ!」
「姉ちゃん、頼む。髪の毛、俺だとわからないようにセットして」
「了解〜」
「陽、連絡したらすぐにそこに先生呼んでくれ。頼む。」
「分かったよ。それでお前はどうすんの?」
「それ聞く必要あんの?」
「いや、全くないが確認だな。それに気に食わないんじゃなかったの?」
「それとこれは別。今はそんなの関係ない。悪いんだが、俺が帰ってくるまで店番しててくんない?雨宮さんにも悪いけどさ、姉ちゃんと話してて貰えないかな?」
「わかった。海咲には説明しとく。」
「整えたよ。神楽。」
「サンキュー、姉ちゃん。悪いな陽。木村さん達も5組のメイド喫茶で待っててくれない?そこに北風さん連れていくから。
そんじゃあ、行ってくる。」
俺は自分たちが売ってるライダーものの仮面を被って、北風達を見た体育館の方に移動した─
後書き
文化祭も半分ぐらいまで来ました!
文化祭のお話を書くにあたって実は1番書くのが楽しかったシーンが、今回の最後の神楽と陽と月夜姉ちゃんの会話なんですよね〜。
さて、どうなるのでしょうか?
少しでも面白い、続きが読みたいと思った方はレビューと★をください!
感想もお待ちしております!
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