概要
本当の願いを見失うことなく、願い続けろ。
以下、もっと詳しくあらすじが読みたい方向け
短編版『緋色の王様』あらすじ
今夜も赤い月の下、緋色の王様は貧民街の子供を拾う。子供たちに慕われる優しいはずの王様には、誰も知らない秘密があった。神聖な教会に身寄りのない子供達を匿って、神を讃える賛美歌を歌いながら、彼は冒涜的な願いを抱いて世界を赤に染めるのだった。
長編版『緋色の王様』あらすじ
貧民街で暮らす17歳の元貴族、ベルモンド(ベル)は、ある日縄張りの中で瀕死の少年を見つける。真っ赤な血に染まって生き絶えた少年が最期に遺した「緋色の王様を止めて」という言葉を無視出来ず、「緋色の王様」という存在について調べ始めたベル。同じく元貴族だが貧民街
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!それぞれの願いの果てに
壁で隔てられた王都とスラム。「緋色の王様」というキーワードをきっかけにして、少年少女たちの「願い」の物語が幕を開ける。
人々の願いは、大きな力の源。果たして彼らは何を願い、物語にどんな結末をもたらすのか。
この作品の良い点を挙げていけば、きりがないほどです。無駄のない構成、うまく配置された伏線、色の巧みな使い方、個性的で魅力的なキャラクター。
その中でも特にこの「緋色の王様」という物語を輝かせているのは、生き生きとしたキャラクターたちです。全員にきちんと血が通っていて、その思いや願いが交錯する様が、そのまま美しい物語となっていきます。
ダークな世界観ですが、描かれるテーマはとても美しい。物…続きを読む - ★★★ Excellent!!!願いが力になるダークファンタジー
願いが力になる世界に生きる子供たちと緋色の王様を中心に物語は展開します。
基本的にはシリアスな内容なのですが、その中に作者様ならではのユーモアも感じることが出来ます。最後のほうのネズミのシーンとか(笑)
キャラクタや世界観などの設定がしっかり作りこまれていて、読んでいて人物や状況の把握が容易に出来、とても読みやすかったです。
それと幕間の入れ方が絶妙です。幕間までのあらすじを入れてくださってるんですが、それが物語の一部のような書き方になっていて、物語の続きを読むようにすっと入ってくる! 上手いやり方だなと思いました。ですので幕間にも注目してみて欲しいです。幕間があるおかげで、物語をより理解…続きを読む - ★★★ Excellent!!!赤色に閉ざされた世界には、何色もの鮮やか色が隠されている
読了後のレビューとなります。
短編として拝読させて頂いた時、【赤】という鮮明な色への恐怖を感じ取りました。【赤】という色からここまで広がっていく世界がある。驚嘆と同時に感じた深い恐怖。
長編として続きが読めると知った時の、恐怖を越えたワクワクした気持ち。物語を読み進めていく中、多くの絶望や恐怖を感じながら登場人物ひとりひとりに共感し、明かされていく事実に驚き続けました。
短編を読み終えた頃は、何度か繰り返し読むといくつもの違う見方が出来るのかな?という印象がありました。長編となった物語を読み進めながら、その印象は鮮やかな【色】の描写から来ているのかな?と思いました。
そうなのです、この…続きを読む - ★★★ Excellent!!!不穏な雰囲気が新感覚なダークファンタジー
スラム街で育った少年たちと謎の多い《緋色の王様》にまつわる話です。
願いを叶える力が魔法になるファンタジーの世界観がいいです。
元は短編だったものが15万字となって生まれ変わりました。ハラハラする展開、謎の数々が無駄なく、最後まで飽きさせません。
作者様の小説は、キャラクター重視であり、本作でもそれは遺憾なく発揮されています。キャラの名前から特徴まで全てに意味はあります。
《》の使い方が上手いです。《王様》の謎がより深まって、良い不穏な雰囲気を作り出してます。
後半の怒涛の伏線回収・展開は読む手が止まらなくなるはず。
コンテスト一次通過常連の作者様なので、読みやすいです。 - ★★★ Excellent!!!緋色の王様、あなたの本当の願いはなあに?
「人々の願い」が魔法の力になる世界。王都と壁で隔てられたスラムに暮らす緋色の王様は、子どもたちを集めて「神様」にある願い事をしようとします。
その裏にあるのは、彼の過去にまつわる悲しい愛と憎しみの記憶でした――。
とてもキャラクターを大切にされていて、その心を丁寧に描くことに定評のある作家様です。愛すべきキャラクターたちの心と心の交差する模様、そこに生まれる悲喜交々のドラマが大変魅力的です。
もっと簡単な言葉で言えば、「キャラとそのキャラ同士の関係性にめっちゃ萌える!」です。
多くのウェブ小説の読者様が、ファンタジー小説に求めるものではないでしょうか。魅力的なキャラに感情移入したい、彼らの…続きを読む - ★★★ Excellent!!!願いと想いが絡み合う、童話のような世界。
裕福な王都と、壁に隔てられたスラム。
スラムの教会で身寄りのない子供たちを集めてともに暮らす、緋色の王様。
無邪気で純真で、けれどどこか歪な王様を中心に繰り広げられる群像劇。
特筆すべきは、群像劇でありがちな登場人物への理解の困難さがこの作品にはありません。
それは作者の丁寧な心理描写とキャラクターたちの作りこみが、読者の認識へするりと入ってくるからだと思います。
幸福な者、不幸な者。
慈しむ者、妬む者。
登場人物たちの気持ちは願いとなり、それは魔法となって具現化していく。
そのような世界であるがゆえに、物語は大きく動いていきます。
誰かのために、あるいは自分のために願う人々の「願い」…続きを読む - ★★★ Excellent!!!王様はスラムの教会で、今日も幸福を願う
王都のすぐ隣にある壁で隔てられたスラム。そこには身寄りのない子供を集めて教会で世話をする一人の青年がいた。子供たちに暖かい食事と寝床を与えて童話を読み聞かせ、真紅の長い髪と瞳を持つことから、『緋色の王様』と呼ばれるその青年。しかし、彼の周りには一人を除いて、大人の姿はいない。では成長した子供たちはどこへ行くのか……。
本作品は、この緋色の王様を中心に紡がれる、複数の人間の思いが絡み合う群像劇だ。
子供に生きる意味を問いかける闇商人、王都で暮らすお姫様とその幼馴染、幼いころに誘拐された貴族の子供、りんごを報酬がわりにするスラム一の情報屋、そして王様が《神様》と呼ぶ地下に隠された謎の生物………続きを読む