願いが力になるダークファンタジー

願いが力になる世界に生きる子供たちと緋色の王様を中心に物語は展開します。
基本的にはシリアスな内容なのですが、その中に作者様ならではのユーモアも感じることが出来ます。最後のほうのネズミのシーンとか(笑)

キャラクタや世界観などの設定がしっかり作りこまれていて、読んでいて人物や状況の把握が容易に出来、とても読みやすかったです。
それと幕間の入れ方が絶妙です。幕間までのあらすじを入れてくださってるんですが、それが物語の一部のような書き方になっていて、物語の続きを読むようにすっと入ってくる! 上手いやり方だなと思いました。ですので幕間にも注目してみて欲しいです。幕間があるおかげで、物語をより理解して読み進められるので、読了後の満足感が増したと思います。

スラムと王都、姉と弟、幼馴染同士、母と息子などなど、この物語には沢山の壁が存在します。後半で語られる身勝手な人々の願いは、まるで現実世界で起こっている様々な分断の根幹を言い当てられているようで、ゾクッとしました。私たちの世界は何処に進むべきか、今見えにくくなっています。そんな私たちの世界にも、この作品は1つの答えを示してくれているように、私は感じました。
その答えは……是非、ご自身で読んで確認してみてください。

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