緋色の王様

作者 三上 エル

王様はスラムの教会で、今日も幸福を願う

  • ★★★ Excellent!!!

王都のすぐ隣にある壁で隔てられたスラム。そこには身寄りのない子供を集めて教会で世話をする一人の青年がいた。子供たちに暖かい食事と寝床を与えて童話を読み聞かせ、真紅の長い髪と瞳を持つことから、『緋色の王様』と呼ばれるその青年。しかし、彼の周りには一人を除いて、大人の姿はいない。では成長した子供たちはどこへ行くのか……。

本作品は、この緋色の王様を中心に紡がれる、複数の人間の思いが絡み合う群像劇だ。

子供に生きる意味を問いかける闇商人、王都で暮らすお姫様とその幼馴染、幼いころに誘拐された貴族の子供、りんごを報酬がわりにするスラム一の情報屋、そして王様が《神様》と呼ぶ地下に隠された謎の生物……、いずれもいわくありげな人物ばかりだ。

人々が何かを願うことが魔法になるというこの世界で、果たして誰の願いが結実し、誰の願いが打ち砕かれるのか。

怪しげな雰囲気と複雑にもつれていく人間関係が魅力の、先が気になってついつい読み進めたくなる一作だ。

(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=柿崎 憲)

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