長編版『緋色の王様』(短編版読了後にお読みください)
プロローグ 彼が大人になった日
逃げられない赤
「あれが、僕の大切な《神様》だよ」
無邪気な笑顔で、あの人が告げる。
神聖な教会の地下室で、僕は《神様》を見た。
かみさまって、優しくて、温かくて、僕たちを守ってくれる存在なんだと思っていた。
けれど。
僕をまっすぐに射抜いた、赤い瞳。
大好きな王様の髪と瞳の色に良く似た、赤。
あの赤が、瞼の裏に焼き付いて離れない。
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