概要
彼の気まぐれな襲撃によって天涯孤独の身となった少年エシューは、復讐にたぎる闇を心に抱えたまま、力を得るべく傭兵集団「フクロウ団」の門を叩く。
同様に、赤竜に悩まされる北限の大国デルヴァン王国もまた、十将第一席ガウロの発案により、国策として赤竜討伐に舵を切る。
一方、甚大な被害を被ったスロデア公国は、国を護る為、伝説やお伽噺に名を遺す魔具「六災」の収集を秘密裏にフクロウ団へと依頼する―。
数多の戦いを経て成長し、英雄として名を馳せる事となったエシューは、後年、なぜ魔王と呼ばれ畏れられるに至ったのか?
赤竜に対峙する主人公、彼を取り巻く仲間や世界達。
宿命、野心、謀略…様々な色の糸に引き寄せられる群像劇と、そこから生まれる英雄譚
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!文間からリュートの音が聞こえてくる、秀逸なる叙事詩
圧巻の一言につきるこの壮大な物語は、ファンタジーというより、叙事詩と呼ぶ方が相応しいと思います。
奥行きのある世界観。体温や息遣いまで感じられる登場人物たち。絶対的上位者の前では人の小さな努力など無駄だと思わされる絶望も、それでも大切なものを守る為に足掻く必死さも、一方で、同じように魔竜の脅威にさらされながら、いつまで経っても手を携えるのではなく奪い合うことしかしない人のどうしようもなさも、全てがとにかく細密で、展開される物語に圧倒的な現実感を与えています。故に、登場人物たちを見舞う運命は時に非情ですが、ご都合主義的な奇跡が恵まれることがないからこそ、彼ら彼女らの生き方は、闇を照らす光と感じ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!圧倒的描写力で描かれた本格ファンタジー群像劇
剣と魔法の世界を舞台とした、本格ダークファンタジーですね。
人とドラゴンの戦いを軸に、各登場人物へ焦点を当てながら物語を紡ぎあげてゆく群像劇です。戦記またはサーガと言った方が妥当かもしれません。
この作品の魅力ですが、とにかく描写力が素晴らしいです。
人物描写・情景描写・そして戦闘描写。どれもが秀逸で、実際に映像で見ているかの如き臨場感を味わえます。
特にドラゴンとの戦いのシーンは圧巻。人類が強大な敵を相手に策を巡らせ、力を合わせ、多大なる犠牲を払いながら抗う姿は熱く、とても胸を打たれます。
作中には各登場人物の視点が登場し、それぞれの心境や過去を深く知ることで、どのキャラクタに対しても…続きを読む - ★★★ Excellent!!!ファンタジー大作映画を観ているような感覚です!
一つのエピソードを読み終わる毎に、壮大なファンタジー映画を観終わった時の、ここではない何処かの世界にどっぷりと浸っていた感覚になります。
赤の魔竜の圧倒的存在感!
登場していない回にも、魔竜の存在がこの世界に濃く影を落としていることが分かります。
天災とも言える無慈悲な凶行は、昔ながらのファンタジーとドラゴンを愛する方には刺さる要素ではないでしょうか。
そして、厚く創造された世界に登場する人物達の眩いこと!
各国に、それぞれ異なる目的や思想を持った人々(亜人も含め)が登場しますが、その誰もが人間臭く、作り物ではない感情を溢れさせるのです。
熱く、泥臭く、時には清々しく。
読み進めれば読み…続きを読む - ★★★ Excellent!!!赤の魔竜とそれに関わる人々の活躍が織りなす群像劇!
圧倒的な力を持つ天災というべき赤の魔竜レギアーリ。
物語は隊商の一団が魔竜に襲われるシーンから始まります。
魔竜の悪戯のせいで親を殺された子供のエシューが長い年月をかけて己の力を磨き、魔竜レギアーリと対峙していくのですが、その間に様々な人々と巡り合います。
エシューが子供から少年、そして青年へと物語の経過に合わして、多くの経験をし強くなっていくのも見ごたえがあります。
いくつのも国々や人々が幾重にも関わりながら物語は進んでいく。
まさに群像劇という言葉がピッタリな読み応えのある物語です!
良質な戦記ものが好きな方はぜひ読んでみてください!