圧倒的描写力で描かれた本格ファンタジー群像劇

剣と魔法の世界を舞台とした、本格ダークファンタジーですね。
人とドラゴンの戦いを軸に、各登場人物へ焦点を当てながら物語を紡ぎあげてゆく群像劇です。戦記またはサーガと言った方が妥当かもしれません。

この作品の魅力ですが、とにかく描写力が素晴らしいです。
人物描写・情景描写・そして戦闘描写。どれもが秀逸で、実際に映像で見ているかの如き臨場感を味わえます。
特にドラゴンとの戦いのシーンは圧巻。人類が強大な敵を相手に策を巡らせ、力を合わせ、多大なる犠牲を払いながら抗う姿は熱く、とても胸を打たれます。

作中には各登場人物の視点が登場し、それぞれの心境や過去を深く知ることで、どのキャラクタに対しても愛着が持てます。その中には、前述のドラゴンの視点までも含まれているほど。
それに対比するように最重要人物である「エシュー」に関しては謎が多く、物語への興味が尽きません。彼の登場するシーンは、いつも食い入るように読んでしまいますね。

読みごたえのある作品ですが、エピソードごとに話が綺麗にまとまっているため取っ付きやすいです。ダークファンタジーですが過激な描写は登場しませんので、安心してページを捲ることができます。
全体的に文章が読みやすく、完成度が非常に高いですね。

とにかく語り始めるとキリがないほどの、とてもオススメできる作品です。
間違いなく名作ですので、皆様も是非どうぞ。

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