たいていの人間は、ある日突然、異世界に飛ばされてしまったらかなり驚くし、困るし、不安や恐怖を覚えたりするものではないでしょうか。
しかし、この物語の主人公(ヤクザ)とその相棒(子分)は、呆れるのを通り越して感心するレベルでタフです。『こうなった以上は仕方ない』とばかりに目の前の現実に適応し、悲観もせず悲愴にもならず、『俺たちの町を護る』という強い気持ち一つを武器に、あくまで明るく奮闘します。
その醍醐味は、何といっても、登場人物たちの軽妙洒脱な会話です。ボケもツッコミも、考え出すには知識と教養が必要ですし、センスとテンポの良さも不可欠です。現実の芸人さんなら、表情や口調というエッセンスを加えられますが、文章で表現する場合は言葉選びと文のテンポが全て。それが、非常に秀逸です。
思わずブフッと吹いたり、『そうはならんやろ』と画面のこちら側からも突っ込んだり、全く先の読めない展開に、次はどうなるのかなとワクワクしたり。そんな楽しい読書タイムを過ごしたい方は、是非。
町ごと異世界へ転移した主人公のカガリと弟分のカツ。
二人の職業(?)はヤクザ。
そして、転移や転生モノにお約束のチート能力は皆無。
つまり、荒事に強いただの人間。
突然の転移に驚いた彼等がどうするのかと思えば、なんと当面の目標は、彼等の属する組のシマである、この町を守ること。
……え、探索とかしないの?(笑)
と思いましたが、突然現れた見知らぬ町。
自然と、向こうから魔物も人もやって来ます。
とはいえ、いくら荒事に強いヤクザと言っても、剣や魔法、魔物や、それこそドラゴンなんている世界。
そんな世界で、二人のヤクザが町を守れるのか!?
仁義を重んじ、弱い者を助けるために体を張る。
どこか昭和チックな任侠魂を匂わせるカガリの男気に、いつの間にやら増える仲間達。
なぜかボケとツッコミだらけの中で、彼等が目指す先は何処なのか!?
異世界転移とヤクザの組み合わせ、このミスマッチがめちゃくちゃ面白い。
読みながら変な笑いが込み上げるばかりの物語。
ぜひぜひ読んで、ツッコミまくって頂きたい!
多分、作者様も喜ばれます(笑)。
絶妙です。お勧め致します!
「ありがとうございまあすウホ」
「おい、ちょっと待てや。ありがとうございます、でいいだろが。なんで隙あらばウホを挟む!そもそも、なんでゴリラさんはもっと好きです、で頬を赤くしてんだお前は!」
転移者、ヤク○なの?
回れ右、をされそうな方、どうか、少しだけこちらをご覧になってみてください。
ウホ、ではなくてツッコミの方が、我らが主役のヤ○ザのカガリさんです。
ウホ、さんは人か、ゴリラさんか。その謎も、ご覧になればすぐに解けます。
ファンタジー世界はあまり知らなくて、の方にもおすすめです。カガリさんの舎弟さんが、明るく楽しく語ってくれます。
カタギには優しい、ツッコミ○クザ。このツッコミは、癖になります。
そして、あなたもきっと、ゴリラさん(?)を好きになります。
そんな本作を、どうぞよろしくお願い申し上げます!
タイトルとキャッチコピーとあらすじに偽りなしです。ここでは魅力を語りたいなと。
主人公たるカガリは、1人の舎弟と、思い出の町と共に異世界転移。
いわゆる異世界モノへの前知識が0なカガリは、襲い来るモンスターや説明無しのシステムに文句を言いながら、自分の全てが詰まった「町」を守るために奮闘します。
親しんだ住民もいない、町から出れば異世界。それでも故郷を壊されるのは許せない。
そういうちょっと切なくもアツい人間味が行動原理になっているのが大好きです!
そしてギャグ。
異世界に詳しい愛すべきアホ、舎弟のカツを始めとして、仲間になる人達が頼もしくもちょっとずつおとぼけなんです。
増えていくツッコミポイントを淡々と処理するカガリ。お疲れ様です。でも正直面白いです。笑
このバランスが丁度いいんです。私はもう既にカガリとその仲間達、そしてこの町が愛しくなっています。
気軽に読める、味わい深い作品です。先が楽しみ! もっと読まれろー!
街ごと異世界転移したヤクザの主人公が、舎弟と共に街を守りぬく物語ですね。本格的なファンタジーを執筆されておられる作者さまならではの「世界感の作り込み」もさることながら、ゲーム的なわかりやすい要素もアクセントとなっているために、非常に読みやすく仕上がっております。
なんといっても魅力は主人公の『兄貴』こと『カガリ』と、弟分である『カツ』の掛け合いですね。転移の影響か無人となり、魔物の脅威にさらされ続ける街ですが、この二人がいることによって「住みたくなる街」に思えてくるのですから不思議です。
もしかすると読者さまの中には「ヤクザ」に忌避感をいだかれてしまわれる方もおられるかもしれません。しかし、誰しもの人間がそうであるように、彼らにも様々な側面があるものです。彼らの『街』を思う真っ直ぐな心に、私は胸を打たれました。
キャッチコピーにあるとおり、「タワーディフェンス型のRPG」を踏襲してはいるものの、マニアックな要素はありませんので、幅広い読者さまにオススメできる作品です。笑って、泣いて、熱くなれる、そんな素晴らしい物語。ぜひ多くの皆さまにも、お読みいただきたい作品ですね。