小学生の頃、バスの中で見た野球アニメ
今回紹介するのは、自分が小学生の頃に、意図せず触れることとなった作品です。
皆さんは小学生の時、宿泊研修ってありませんでしたか? 一泊二日くらいで自然の家なんかに行って、アスレチックで遊んだり皆でリクレーションを行ったりする行事が、自分の通っていた小学校にはありました。もしかしたら林間学校や臨海学校って呼んでいる学校もあるかもしれません。
自分は宿泊研修中も、暇さえあれば施設内にあった図書室みたいな所に足を運んでは、本を読んでいました。せっかく学校を離れたのに、やることはいつもと変わらなかったわけです(^_^;)
まあ宿泊研修のことはこの際置いといて良いのですけどね。本題は宿泊研修そのものでなく、その帰り道に起きた出来事なのですから。
宿泊研修も終わって家に帰る時。クラス毎にそれぞれバスに乗り込んで、学校へと帰っていきます。
それでもそれなりに動きはしましたし、疲れもあったので眠ろうかと思っていると、バスの前方にあったテレビに、映像が流れ出しました。
小学校の頃、学校行事でバスに乗ってどこかへ行く時って、バスの中でアニメや映画を見せてもらえることがたまにあったのですよ。流す作品がどんなものになるかは、運次第ですけど。
見入ってしまうしまう面白い作品だったり、つまらなくて途中で眠ってしまうような作品だったり。そもそも何も流してくれなかったりと、バスによって当たり外れがありました。
それでも始まる前は、どんな作品が見れるのかとワクワクするもの。バスに乗っていたクラスメイト全員が、テレビに注目しました。そして映し出されたのは……なんだかよく知らない野球のアニメでした。
当時自分のクラスでは、野球はあまり人気がなくて、「なんだ野球か」と、皆落胆していました。誰も全く知らないアニメ、しかも題材が興味の無いものとなると、テンションが下がってしまうのも無理ありません。
まあそれでも、せっかくですから見はします。つまらないからといって途中でバスを降りるわけにもいきませんし、どうせ暇だからと皆期待せずに、友達とお喋りしながらも時折テレビに視線を送っていました。
その野球アニメはこういうものでした。
主人公は高校生の双子の兄弟。弟は野球部のエースですが、兄は部活に入らずにグータラしているという、格差のある兄弟です。そんな双子には野球部のマネージャーをやっている女の子の幼馴染みがいて、そんな三人の恋模様を描きながら、甲子園を目指すというお話でした。
……もう皆さんお気づきだと思います。見ていたアニメというのは『タッチ』です。達也と和也と言う双子の兄弟や、幼馴染の南が出てきて甲子園を目指す、あの『タッチ』です。
それはタッチの劇場版、『タッチ 背番号の無いエース』という作品でした。タッチと言えばアニメ史に残る名作ですけど、放送されていたのは当時としても大分前。小学生だった頃の自分達は、その存在を知りませんでしたし、興味もありませんでした。
しかし、良い作品って、予備知識が無くても良さって分かるものですね。最初は興味が無かったはずなのに、話が進むにつれて皆だんだんとテレビに釘つけになっていったのです。
そして物語は後半、言わずと知れた、あの事故が起きてしまいます。
劇場版では、ここからの展開が原作やテレビアニメとはちょっと違うのですよ。事故が起きた後も、甲子園行きを掛けた試合は進んでいきます。
終盤まで負けていましたけど、チーム一丸となって逆転して、九回ツーアウト。後ひとつアウトを取れば勝てるという場面です。この頃になると最初は興味無さ気だったクラスの面々も、固唾を飲んでテレビに集中していました。自分も当時野球のルールをよく知らなくても、目を離すことができませんでした。それくらい面白かったのです。
果たして試合には勝つのか負けるのか、事故に遭ったアイツは無事なのか? 様々な重いが渦を巻いていたその時!
……もうすぐ学校に着くということで、無情にもテレビは消されてしまいました。
ちょっと待って先生! 今一番良い所です!
クラス一丸となって、もう少しだけ見せてもらえないかと懇願しました。しかし先生は聞き入れてくれません。そう言えば関係無いかもしれませんけど、この先生はアニメに対して否定的で、お子さんにも一切アニメを見せていないって常々言っているような先生でしたっけ。そりゃ無理ですね。
かくして、一番良い所で観賞会は強制終了となってしまいました。学校に着いて、バスを降りた後も、あの後どうなったのだろうと皆口々に言っていました。
特に自分は、気になる物語を中断させたままにしておくだなんて我慢できませんでした。そしてその日以来、続きを知るために奮闘する日々が始まったのです。
とりあえずその時見ていたアニメがタッチであると言うことは簡単にわかりました。しかし原作コミックを読んでも、自分が見たものとは展開が違っているのです。
もちろん原作は原作で面白いけど、バスの中で見たあの話の続きではありません。ネットで調べて、あれはタッチの劇場版であることを突き止めることはできたのですが、生憎近くのビデオレンタル店には置いていなくて、買うと高くて。
結局この気になる話の結末を知れたのは、あのバスで見た日から五年後の事でした。
執念が実を結んで、遠くの町のビデオレンタル店で見つけてようやく見ることができました。長かったなあ(遠い目)
今でこそ野球も恋愛も好きですけど、タッチを初めて見たあの頃はまだ全然興味がありませんでした。
だけどあの日、バスの中で見て、その後必死になって探しているうちに、だんだんとそれらのことに興味を持つようになっていきました。
作品との出会いなんて、どこに転がっているかわかりませんね。
素敵な出会いを、これからも大事にしていきたいです(^∇^)
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