恐怖コレクター
少し前まで、角川つばさ文庫小説賞に出すための作品を投稿していましたけど、実は角川つばさ文庫の小説をちゃんと読んだのは、去年のことなのですよね。
文庫自体は知っていて、赤川次郎先生の『セーラー服と機関銃』や、『死者の学園祭』等、好きだった小説がこの角川つばさ文庫からも出ていたので、前々から興味はあったのですけどね。
児童書って、どんな内容なのだろうと思って読んでみたら、思いの外面白くて、今では毎月、新しく出る本をチェックしています(^^♪
ですがその角川つばさ文庫用の小説を書くにあたって、一つ悩んだ事があります。それと言うのも、構想していた小説の内容は、小学生を主人公としたホラー。ほのぼのした雰囲気を目指して、ホラーだけど怖いのが苦手と言う人でも読めたらいいなと思ってはいましたけど、それでもホラーはホラー。となると、残酷なシーン、凄惨なシーンが、ある程度は出てくるかも。しかし児童書となると、それらをどこまで書いていいのか、それが気になったのです。
さっき例に挙げた赤川次郎先生の二作品では、殺人事件が起きたり麻薬が絡んでいたり、人を拷問にかけるのが趣味なのではと思うような、危ない医者なんてのも出てきました。その事を考えると、ちょっとやそっとの残酷描写や暴力描写ならいける気がしましたけど、これはあくまで元々あった作品を、角川つばさ文庫でも出版した物。初めから角川つばさ文庫用に書かれた作品ではないわけです。
では角川つばさ文庫が初出の作品では、暴力描写や残酷描写はどうなっているのか? 気になった自分が、本屋で手に取ったのは、角川つばさ文庫の人気シリーズ、『恐怖コレクター』でした。これを物差しにしてみたら、描いていいものの基準が分かるのではと思い、そのままレジに持って行ったのですが、これがなかなか面白かったのです。
この『恐怖コレクター』は、現在十巻以上刊行されていて、毎巻五つか六つくらいの物語が載っている、連作短編となっていました。
そしてその内容と言うのは、「杉沢村」や「七人ミサキ」、「ミミズを材料にしているハンバーグ」等、ネットで検索すれば出てくるような都市伝説をテーマとした現在の怪談と、不幸にもそれに巻き込まれてしまった人達の話となっています。
各話にはそれぞれ別の主人公がいて、毎回怖い都市伝説の怪物や現象に巻き込まれて、大変な目に遭うのが定番です。
そして悲惨なのが、都市伝説に巻き込まれてしまった人達の末路。中には事件に巻き込まれても、何とか助かる人もいますけど、主人公の女の子が、血だらけの鉈を持った女に追いつめられたところで話が終わったり、化け物におそわれた人が、その後行方不明になってしまって終わりと言う話も、数多くありました。
とりあえず、人の死を連想させるくらいなら、角川つばさ文庫でもOKという事が分かりました(;^_^A
そしてここからが、この『恐怖コレクター』の大きな特徴。今の説明だけだと、都市伝説に関するホラーの短編集ですけど、これらは連作短編。全ての物語は、実は繋がっているのです。
実は恐怖体験をする各話の主人公たちの前には大抵、赤いフードを被った男の子が現れるのです。その子の目的は、都市伝説を『回収』すること。町から町へと旅をして、その町で怒っている都市伝説を封印していくのが、赤いフードの男の子の目的です。
その子の名前は、千野フシギ。『恐怖コレクター』の真の主人公で、都市伝説を回収していること以外は謎に包まれている少年ですが、物語が進むにつれて、何故この子が都市伝説に関わっているのかが、少しずつ明らかになっていきます。
ただの短編集ではなく、それらを繋ぎ合わせる事で、大きなストーリーになるのが面白いですね。都市伝説の怪談をドキドキして読みながら、千野フシギが何をしようとしているのかを追って行く、二重の楽しみ方が出来ますね。
巻を重ねるごとに物語が動いていって、だんだんと真相が明らかになってくるので、どうしても先が気になってしまうのですよ(^^)/
自分が小学校の頃は、「学校の怪談」シリーズが流行っていましたけど、今の子供にも怪談は人気なようですね。きっと面白いと思うものの根っこって、何年経っても変わらないのでしょうね。
おっと、最初に行っていた、暴力描写や残酷描写をどこまで描いていいかは、まだ結論を出していませんでしたね。
とりあえずこの『恐怖コレクター』を見る限りでは、人が死ぬのはOK、ただし死の瞬間は、描かない方がいい、と言ったところでしょうか。読み返してみましたけど、死んだと思われる描写は有っても、どれも死の瞬間は書かれていませんでした。
これなら、自分の描こうとしているホラーなら、問題無さそうなのでホッとしました。
怖いだけじゃない、楽しめるホラーを、作っていきたいです!(^^)!
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