かちかち山

※今回は残酷描写、暴力描写が有ります。苦手な方はご注意を



 影響を受けた作品たち。第一回は子うさぎを主人公としたほのぼのとした絵本でした。


 第二回でも、うさぎが出てきます。童話です。皆さんも聞いたことがあるでしょう。日本の昔話、『かちかち山』今回はこれについて語ります。

 というわけで、まずは簡単なあらすじ紹介から……



 むかしむかしあるところに、畑を荒らすイタズラ狸がいました。

 イタズラに困ったお爺さんは、罠を仕掛けて狸を捕まえて、縄で縛って家に連れて帰りました。

 お婆さんに狸を預けたお爺さんは、「今夜は狸汁にしよう」と言い残して、畑仕事に戻ります。

 二人きりになった狸とお婆さん。すると狸は、「もうイタズラはしないから縄をほどいて」と懇願します。

 狸をかわいそうに思ったお婆さんは縄をといてあげますが、そのとたん狸は、助けてくれたお婆さんを殴って怪我をさせて、山へと逃げて行ってしまいました。

 怪我をしたお婆さんは寝込んでしまい、お爺さんは悲しみます。そこに一羽のうさぎがやって来て、一連の話を聞いたうさぎは、お爺さんとお婆さんに代わって、狸を凝らしめようとするのです。


 この後うさぎは、狸の背中に火をつけたり、泥でできた船にのせて川で溺れされたりします。自分が最初に聞いた『かちかち山』では狸は最後川で溺れて死んでしまうのですが、最近では反省してお爺さんお婆さんに謝るラストも存在するようです。



 とまあ、これが『かちかち山』のだいたいのお話です。

 えっ、ここまでストーリーを言っちゃった後に、今更いったい語るのかって? 実は自分はこの作品で、残酷描写を学んだのですよ。



 あれは小学校三年生の時でした。図書室で借りたのは『日本の昔話』、漫画風のイラストが描かれている、小学校低学年向けの本でした。

 いくつものお伽噺が書かれている本で、その中にあったのですよ。『かちかち山』が。だだ、自分が知っている『かちかち山』と、少し違う部分がありました。それは……



(この先が残酷描写、暴力描写有りとなります)



 狸が縄をといてくれたお婆さんを殴るところまでは一緒なのですよ。ただ、ここからが少し違いました。

 まず、殴られたお婆さんは怪我ではすみません。死んでしまうのです。そしてその後狸がとった行動が恐ろしい。


 狸は亡くなったお婆さんの皮を剥ぎ取り、それをかぶってお婆さんに化けました。そして皮を剥がれたお婆さんの亡骸を包丁でバラバラにして、鍋に放り込み、グツグツと煮込みます。

 そして帰ってきたお爺さんと一緒に食べるのです。お婆さんの姿をして、お婆さんの肉を……

 そして次の日、かぶっていた皮をとって狸の姿に戻り、お爺さんに真実を告げます。


「婆汁は美味かったか?お前が昨夜食べたのは、お婆さんだ!」


 狸は山へと帰って行って、残されたお爺さんは愕然とします。


 ここから先の展開は同じです。うさぎがやってきて、タヌキを懲らしめます。その際狸は最後、泥の船に乗せられて川でおぼれて死んでしまうのですが、狸のやった所業を考えると、同情はできません。


 これを読んだ小学三年生の頃の自分はこう思いました。


「へえー、お婆さんが食べられちゃうパターンもあるのか―」


 お婆さんが殺された。そしてそのお婆さんの肉だと知らずに、お爺さんは食べてしまった。だと言うのに、自分は大してショックは受けませんでした。ただ知っている昔話に、別パターンが存在しただけと受け取っていました。しかし、大人になるにつれて別の考えが浮かんできたのです。


 その本は子供向けに書かれていました。漢字にはフリガナがあって、可愛いイラストが所々に書かれていました。食べられて骨だけになってしまった、お婆さんのイラストも……


 はたしてこれを、子供に見せていいのでしょうか? 最近は昔話の描写が良くないとして、内容が変わってきていて、賛否が分かれています。『さるかに合戦』の『合戦』と言う言葉が暴力的だから、タイトルを『さるかに話』に変えたり、『桃太郎』できび団子で犬猿雉を家来にするのが良くないとして、家来にするのではなく友達になると言う風に。


 正直それ等は、気にしすぎなのではと思っています。そんな風に過剰反応しなくても、子供にそんな悪影響は与えないと言うのが自分の見解です。

 ただ……ただそれでも、この『かちかち山』は、内容をもっとソフトなものにするべきだと思います。いくらなんでも、これはグロすぎますもの。読んだ当時はすんなり受け入れることができたはずなのに、大人になるにつれてこれはダメだと思うようになったのです(>_<)



 現在自分は、『残酷描写有り』、『暴力描写有り』と注意がある小説も、あまり抵抗なく読んでいます。なぜなら『かちかち山』に比べたらマシなんじゃないの?」と思うからです。


『かちかち山』のおかげで、自分はグロテスクな描写にも耐性がつきました。ただそれでも、これは子供に見せるべきではないかなあって、思っています。皆さんはどう思います?

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