江戸川乱歩 『怪人二十面相』『少年探偵団』等
今このエッセイと一緒に、角川つばさ用の作品を投稿しているのですが、そっちを書きながらふと考えてみました。自分は小学生の頃、どんな物語が好きだったかと。
そうして記憶をたどってみると、小学校時代よく友達との会話で話題に上がっていたのは、江戸川乱歩の『怪人二十面相』や、『少年探偵団』でした。
あの頃、どうしてこれらの物語を夢中になって読んでいたのか。小学生向けの小説を書くためには、自分が小学生の頃、どんなものが好きだったかをちゃんと理解するべき。と言うわけでこれらの作品のどこが好きだったかを、自分なりに分析していこうと思います。
なお、この分析には思いっきり主観が入っています。そうじゃない、これは違うと言う声もあるかもしれませんが、その辺はどうぞご了承ください<(_ _)>
さて、そう言うわけで作品紹介と、分析を始めていきます。きっと本を読んだことが無い人でも、これらの作品の名前は聞いた事があるでしょう。
変装の名人で予告状を出しては美術品を盗み出す、世間を騒がす怪人二十面相。そんな二十面相と、毎回知恵比べをするのが、名探偵の明智小五郎と、その助手の小林少年。そして、小林少年が団長を務める少年探偵団。彼らの活躍を描いた作品は、『青銅の魔人』や『宇宙怪人』など、数多くあります。
これらの作品のストーリーは、大まかに言うとだいたいこんな感じです。
町に異様な姿をした怪人が現れて、その怪人が盗みを働いたり、大きな騒ぎを起こします。調査に乗り出した明智小五郎や少年探偵団。仲間たちと協力して事件のことを調べていき、やがて怪人を追い詰めていく……
こうやって見ると、ストーリー自体は単純明快。だけど言い方を変えれば、分かり易いという事。正義の味方も悪役もはっきりしていて、難しく考えなくても、頭に入って来ることができますね。
変に凝った作りにする必要はありません。勧善懲悪の分かり易いストーリーは子供に、もちろん大人にだって、すんなり受け入れられますもの。
そして友達と、好きなキャラクターについて話していると、小林少年と怪人二十面相にと答える人が多かった気がします(あくまで自分の周りでは)。
どうしてこの二人に人気があったのか、少し考えてみました。
と言うわけでまずは、小林少年から。やはり小林少年は、読み手と年齢が近かったのが大きいと思われます。やはり自分に近い年齢のキャラクターの方が、受け入れやすいのでしょう。
推理漫画の『名探偵コナン』も、小学生にも人気ですが、おそらくこれも主人公のコナンが小学生(コナンの場合、設定が少し特殊ですが)なのも大きな理由でしょう。自分に近いキャラクターの方が共感できて、応援したくなりますよ。
名探偵明智小五郎の助手として、大人に交じって事件に挑んでいく小林少年は、格好良かったです。
そしてもう一つ。小林少年がただの探偵ではなく、探偵団を率いる団長だったという事も大きいでしょう。たぶんですけど、一人で何でもやるのではなく、仲間と協力して難題に挑むという点が、子供心を掴んだのではないかと思っています。
シャーロックホームズにも、ワトソンと言う助手がいました。戦隊ヒーローだって、チームで戦っています。誰だって一人でいるよりも、頼りになる仲間がいた方がいいものです。
読み手と歳が近くて、共感する事が出来た。頼れる仲間がいた。その二つが、人気を集めた大きなポイントだったのではないかと、自分は思います。
次に、怪人二十面相です。泥棒で、ポジションとしては敵。だけど不思議な魅力のある、人気キャラです。
良い作品と言うのは、ヒーローだけでなく、敵も魅力的な事が多いですよね。最後は明智小五郎や少年探偵団に追いつめられる事の多い彼ですけど、毎回様々な騒ぎを起こし、世間をあっと言わせる様は、読んでいて不思議と応援したくなります。
盗みは働くけど、人を傷つけない事をモットーとしている二十面相。変装の名人であり、格闘技にも長けていて、何度警察に逮捕されても、その度に脱獄して勝負を挑んでくる。たくさんの特技と不屈の精神を持った悪役です。
本来何かを盗み出すと言うのは、反社会的な行為。しかし彼の場合、何だか悪事を働いていると言うよりも、名探偵相手に大掛かりなゲームを挑んでいるような印象を受けていました。
もしこれで二十面相が人を平気で傷つけて、金目当てで盗みを働くだけの悪党だったら、おそらく好きにはならなかったのでしょう。例え悪役でも、確かな信念を持ってきて、越えてはいけない一線をちゃんと分っているキャラと言うのは、格好良く思えるものです。
悪い事はしても、非道なことはしない。欲望のままに動くのではなく、彼なりの理由やこだわりがある。それが読む人を惹きつける、二十面相の魅力なのではと思います。
少年探偵団シリーズの魅力は、もちろん他にもあります。日本一の名探偵と言われる明智小五郎も、もちろん好きですし、SFやホラーっぽい作風も、人気の秘密でしょう。
人によって、好きなポイントは違ってくるかもしれません。キャラクターや作品の雰囲気、世代をこえて愛されている名作なのですから、ハッキリとは気づいていないだけで、探してみればきっとまだ、惹きつける魅力はたくさん出てくると思います。
多くの魅力にあふれた、怪人二十面相や少年探偵団シリーズ。子供の頃を思い出しながら、もう一度読み返してみたら、新しい発見があるかもしれません。
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