絶対迷宮グリム 〜七つの鍵と楽園の乙女〜

 今回紹介するのは、『絶対迷宮グリム 〜七つの鍵と楽園の乙女〜』。きっとタイトルも知らないと言うかたも多いと思われます。

 これはPSP用のノベルゲームで、ゲームシステムは主人公の女の子を操作して、時折現れる選択肢を選んでいって、 攻略対象キャラの好感度を上げていくと言うもの。つまり乙女ゲームです。


 これは自分が初めてプレイした乙女ゲームになります。乙女ゲーム天性ものの小説や漫画をいくらか読んでいうるうちに、乙女ゲームそのものをやってみようと言う気になって購入しました。

 数ある乙女ゲームの中からこの作品を選んだのは、グリム童話がモチーフになっていたからです。

 たくさんのグリム童話のキャラクターが登場して、一緒に旅をしていくと言う内容で、自分はその時、丁度同じようにグリム童話のキャラクターが多数でで来る、『シンデレラとカボチャの煮付け』を書いていたので、何か参考になるかもと思ってこの作品を選びました。


 ストーリーは以下の通りです。


 おとぎ話が大好きな、元気が良くて少しドジな女の子、ヘンリエッタ。彼女は両親を亡くしていましたけど、従兄弟である三兄弟と一緒に、平穏で楽しい毎日を送っていました。

 しかしある時、彼女の前に夢魔が現れて、三兄弟の三男であるルードヴィッヒと共に眠らされてしまいます。そして目覚めた時には、二人が住んでいた村は荒廃して誰もいなくなっていました。見れば自分達の姿は、眠った時よりも成長しています。どうやら眠っているうちに、長い時間が流れてしまったみたいです。

 ですが絶望にくれている場合ではありません。二人の兄がどこかで生きていると信じて、ヘンリエッタとルードヴィッヒは旅に出るのでした……


 ヘンリエッタは召喚魔法、ルードヴィッヒは書いた絵を具現化する魔法を持っていて、それぞれの魔法を使って狼や魔女を退けながら、二人は旅を続けていきます。

 途中、赤ずきんやハーメルンの笛吹、ラプンツェルやカエルの王子と出会い、一緒に旅をしていくのでした。


 この作品では、グリム童話のキャラクターに大胆なアレンジが加えられています。

 例えば赤ずきんは、原作とは違ってちょっとやんちゃな男の子になっているのです。お婆さんを狼に殺されていて、復讐のためにメリケンサックを武器に、狼と戦ったりしてました。


 そして一番驚いたアレンジをされていたのがラプンツェル。彼女は性別は原作と同じ女の子のまま。選択肢によってはこの子と仲良くなって攻略することも可能(その場合恋愛関係になるのではなく、仲の良い親友になります)ですが、その性格は原作やディズニー映画のラプンツェルとは大きく異なっています。


 長年、塔の中に閉じ込められていて、外の世界を知らなかったラプンツェル。これだけ聞くと不自由な生活を余儀なくされていると思いがちですが、彼女は違います。通販でゲームやアニメのDVDを買っては、毎日テレビと向き合っているような子です。塔を訪ねてくる人がいても、ゲームでハイスコアがでそうだとそっちのけでコントローラーを握っています。早い話が、引きこもりオタクです。

 よくラプンツェルをこんな風に描けたものだと感心します。


 実はこのラプンツェルを見た時には、自分の作品、『シンデレラとカボチャの煮付け』でも既にラプンツェルの登場予定はありました。ですが自分がイメージしていたラプンツェルは、聞き分けの良い真面目な女の子、品行方正と言えば聞こえは良いですけど、このゲームのラプンツェルと比べるとどうしても地味に、インパクトが弱くなってしまうのです。


 同じラプンツェルなのに、雲泥の差です。自分の作るキャラクターは弱いのだと、思い知らされました。

 で、このままではダメだと思って、自分のラプンツェルは大幅にテコ入れをする事になりました。当初の予定にあった品行方正な女の子はどこへやら。悪い魔女を蹴っ飛ばして、頬を引っ張り、シンデレラがうじうじ悩んでいる時は渇を入れる、非常に元気の良い女の子に生まれ変わったのです。

 同じくゲームをプレイしていた自分の兄は、最初このラプンツェルを見て、「おい、なんだこのヤンキーみたいなラプンツェルは!?」と言っていましたっけ。ゲームのラプンツェルともあまりに違っていたので、驚いたようです。


 テコ入れの際にもっとも気を付けたのが、ゲームのラプンツェルに引っ張られ過ぎないようにすることでした。いかに衝撃を与えてくれたゲームのラプンツェルとは言え、真似をしてしまったのでは劣化コピーになってしまうと思い、性格は全く別のものにしようと最初から決めて、アレンジしました。


 その結果、ラプンツェルが気に入った、この子は好きだと言うコメントを多数いただいたので、このアレンジは成功だと思っています。おそらく最初の、品行方正な女の子だったら、こんな風に人気は出なかったと思います。


 キャラクターを作る際には、多少ぶっ飛んだ設定にするのも有りだと、教えてくれた『絶対迷宮グリム 〜七つの鍵と楽園の乙女〜』。もちろんこの作品にはラプンツェル以外にも、魅力的なキャラクターがたくさん出てきます。

 この作品に限らず、乙女ゲームは攻略対象キャラ一人一人が何らかの魅力を持っているので、キャラクターを作る際に参考にし易いのです。

 それらに負けないよう、自分も魅力的なキャラクターを、作っていきたいです!(^^)!



※あとこのゲーム、PSP版とパソコン版があるのですが、それぞれの主題歌、『秘密の森の舞踏会』と『星の銀貨あつめて』も良い歌でした。

 妖しげなメロディと、お伽噺をイメージさせる歌詞が特徴で、この歌を聞くだけで、物語が浮かんできそうです(*≧ω≦)

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