学校であった怖い話
自分が小学生の頃、ちょっとしたオカルトブームが起きていました。図書室ではポプラ社の『学校の怪談シリーズ』が次々と借りられ、映画『トイレの花子さん』が公開され、テレビでは『木曜の怪談』が放送されていましたっけ。
自分もその怪談ブームに乗っかり、怪談話や地元に伝わる妖怪の話を読んだり調べたりしたものです。仲の良かった友達はごぞって怪談ブームに乗っかっていたので、休み時間になると怪談を語り合ったり、妖怪の名前でしりとりをしたりもしていました。
そんな怪談ブームの真っ只中、強く印象に残っているオカルトゲームがありました。それはスーパーファミコン用ソフトの、『学校であった怖い話』というゲームです。
文章を読んでいって、時々表れる選択肢を選んでいくという、ノベルゲームと呼ばれるもので、たしか値段は一万円くらいしたと思います。
小学生のお小遣いではかなりの痛手になる金額ですね。欲しかったけど、高くて中々手が出ませんでした。昔のゲームソフトって、どうしてあんなに高かったのでしょうね?
だけど幸いにも、自分には同じようにそのゲームを欲しがる、双子の兄がいたのです。こういう時ほと、双子で良かったと思うことはありません。だって欲しい物が、割り勘で買えるのですから。
そうしてお金を貯めて、買うことができた、『学校であった怖い話』。ストーリーを紹介すると、以下の通りです。
舞台はたくさんの生徒を抱える、大きな高校。主人公は新聞部に所属する、一年生の男子生徒です。
夏休み目前、もうすぐ古くなった旧校舎が取り壊されることになりました。この旧校舎、今では立ち入り禁止となっていますけど、様々な怖い噂がある、曰く付きの場所でした。
そこで新聞部では、取り壊されるこの時期に合わせて、学校の七不思議の特集を組もうと言う話になったのです。そしてこの七不思議特集を任されたのが主人公というわけです。
彼は新聞部の先輩が集めてくれると言う、怪談に詳しい七人の生徒からこの学校に伝わる怖い話を聞いて、記事を纏める事となりました。
取材の当日、新聞部の部室に向かうと、そこには怖い話をするために、六人の生徒が集まっていました。
主人公は彼ら彼女らから、怖い話を聞いていいきます……
とまあ、これがこの作品の冒頭の流れです。
面白いのは、集まった怪談の語り部が、七人でなく六人だと言うこと。七不思議特集なのに、先輩は七人集めると言っていたのに、これはどう言うことでしょうか?
とりあえず集まってるメンバーから話を聞いていきますけど、六人の話を聞き終えた頃には、七人目は表れるのでしょうか? それとも……
百物語でも言えることですけど、怪談を全て語り終えた時には、何かが起きるというのが定番です。最後はいったいどんな結末が待っているのか、ドキドキしながらゲームを進めていったものです。
さて、ここで一つ、言っておかなければならないことがあります。実は後で分かったことなのですが、どうやら自分は怪談話が好きではありましたけど、それらを読んでもちゃんと『怖い』とは思ってはいなかったようなのです。
どういう事かと言いますと、バトルもので敵にやられそうになってハラハラしたり、事件もので犯人から追われているシーンを読んだ時に、ドキドキしたりするじゃないですか。それらも面白いことには変わりはないのですけど、恐怖を感じるとは違う気がするのですよ。ホラー小説やドラマを読見ても、面白い、ハラハラすると思うことはあっても、怖いとは思えませんでした。
だけど、この『学校であった怖い話』は違ったのです。ちゃんと恐怖を感じることができました。
どうして今作に限って、そのように感じたのかは分かりません。画面上での演出、怖さを誘う音楽、それらが上手く噛み合った結果なのかもしれません。
そんなわけで、小学生だった自分に恐怖を与えてくれて、強く印象に残ったゲーム、『学校であった怖い話』。実はカクヨムを始めてから、もう一度やってみたいと言う気持ちになりました。
カクヨムでホラー小説を読んで、自分も何か書いてみたいと思ったからです。幼い頃に怖さを教えてくれたあのゲームをやれば、良いアイディアが浮かぶかもしれません。しかし残念ながら、もう既にそのソフトは自分の手元にはありませんでした。確か友達に貸したきり、戻ってこなかったと記憶しています。
仕方がないので、今から新しく買えないかと調べたところ、プレイステーションに移植されていたり、そのプレステ版がプレイステーションVitaでダウンロードできることが分かりました。
そして、もう一つ。少し前にリメイクされたパソコン版のソフトが発売されていたと言うことを知りました。
パソコン版のソフトはシナリオライターはそのままで、収録されている怪談はスーファミ版とは一新されているそうです。
せっかくだから、全く知らない話を見てみたい。そう思ってパソコン版を購入しました。上手くいけば、これを参考にホラー小説を書けるのではないかと思いながら。
そしてプレイした結果……なんかもう凄すぎて、自分の手には負えそうにありませんでした。
スーファミ版と比べて、グロテスクさがパワーアップしているように思えました。恐怖がある、面白いと思う、しかしこれを参考に話を作れるだけの力量は、自分にあるとは思えません。
ホラー小説への道は、まだまだ遠そうです。
そしてちょっと以外だったのが、怖い話だけでなく、ホラーだけどなんだか笑えてしまう、コメディ要素を盛り込んだお話も収録されていたと言うこと。ゲーム画面を見ながら、思わず何度も笑ってしまいました。
もし内容を丸パクリしてカクヨムに投稿したら、人気が出るのではないかと思ってしまうようなホラーコメディ。もちろん絶対にそんなことはしませんけど、笑えるホラーというのも有りだと思いました。
もしかしたら本格ホラーよりも、こっちの方が書いてみたいかも。
一口にホラーと言っても、コメディ要素を絡めたり、はたまた恋愛要素を絡めたりすることで、話の幅は無限に広がります。
いつか自分だけのホラーを、作りたいものです。
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