子うさぎましろのおはなし

 前回がこのエッセイの紹介だったので、ちゃんと作品を紹介するのは今回が初。と言うわけで、まず最初に紹介したい作品がこれ、『子うさぎましろのおはなし』です。



 知らないと言う人も多いでしょう。これは小説でも漫画でもありません。昔大好きだった絵本です。


 何だ絵本かと、バカにしてはいけません。小さい頃ワクワクしながら絵本を読んだ、読んでもらった経験はありませんか? それこそが物語に興味を持つ第一歩だと、自分は考えています。


 思えば小学校一年生の頃、クラスの友達と話すよりも、図書室に行っては本を読んでいた気がします。それか、校内にあったうさぎ小屋に行って、うさぎを観察しているか。自分はそんな子供でした。

 そのせいで一年経っても、クラスメイトの名前を全部は覚えられなくて……おっと、話が脱線してしまいましたね。


 そんなわけで図書室に入り浸っていたのですが、当時もっともハマっていたのがこの、『子うさぎましろのおはなし』という絵本でした。



 ここで内容を簡単に紹介します。


 クリスマスの日、白うさぎのましろは、サンタさんからプレゼントをもらいました。だけどもっとたくさんプレゼントを貰いたいと思ったましろは、体に墨を塗って黒うさぎに化けて、サンタさんにもう一度プレゼントを貰いに行きました。


 だけど生憎、プレゼントはもう全部配り終わった後。それでも何かないかと、袋の中を探すサンタさん。すると中に一粒の種があるのを見つけて、ましろはその種を貰います。


 と言うわけで種を貰ったましろですけど、この後ましろに、嘘をついてサンタさんを騙した罰が当たってしまうのです。


 罰が当たったましろは、自分のしたことを後悔します。

 ましろの悲しむ気持ち、嘘をついた事への罪悪感が、痛いほどよく描かれていて、読んでいるこっちまで悲しい気持ちになったのを覚えています。


 その後ましろは、貰った種を土に埋めるのです。嘘をついてもらった種だから、自分が持っているべきではないって思って。広場に行って、つもっている雪をかけ分けて、固い土を掘り返して、種を埋めます?

 その時の描写がとても細かいのです。雪はとても冷たくて、手が痛くなってもめげずに土を掘っていくましろがとても健気で。

 嘘をついたのは良くないですけど、こんなましろを見ていると、許してあげてって思ってしまいました。


 子供向けに書かれた絵本ですけど、ましろの心理描写がとても丁寧で。おそらく大人になった今読み返しても、学ぶものがあると思います。


 嘘をついてはいけない。悪い事をしたなら、ちゃんと反省しなければならない等、教訓もしっかり描かれていて、子供に読み聞かせるにしてもいいお話です。


 えっ? 罰が当たったましろが、その後どうなっちゃうかって?

 ご安心を、ちゃんとハッピーエンドになりますから。最後には可愛らしいましろの元気な姿が描かれていて、ほっこりするお話でした。



 自分は動物を題材とした話、ほのぼのとする話を書く事がありますが、おそらくそれらの原点はここです。と言うか、本にハマったのも、そもそもこれが最初だったかも。



 夢中になって読んでいた絵本、『子うさぎましろのおはなし』。機会があれば、また読んでみたいです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る