3丁目のタマ うちのタマ知りませんか?

 まずは作品の解説です。


 この『3丁目のタマ うちのタマ知りませんか?』は、自分が子供の頃に放送していた、ある町の三丁目に住んでいるタマと言う猫を主役としたアニメで、三丁目に暮らす猫や犬といった友達、飼い主である人間達との交流を描いたものです。

 出てくる猫や犬がとても可愛らしく、自分は動物が好きなので、夢中になって見ていました。


 この作品で出てくる猫や犬は、元はファンシー文具のキャラクターでした。小学校低学年向けの文具に、タマのイラストが使われていたのを覚えています。

 しかしアニメ『3丁目のタマ うちのタマ知りませんか?』は、必ずしも子供向けとは言えないのです。この作品はウィキペディアで、以下のような解説がされていました。




 本作は、全体的に幼児向けアニメとしてのイメージが強く、大半の作品は、ほのぼのとした雰囲気の中で動物たちの楽しげな生活を描いた物である。しかし作中では、「出会いと別れ(生と死)」といった描写がされることもしばしば見られる。

 時折織り込まれるギャグの部分にも、成人以上をターゲットとした表現がなされることもある。




 と言うわけです。思い返してみたら、確かにそう言う部分もあった気がします。ほのぼのとしたタマ達の日常を描いていますけど、中には優しかった飼い主や生まれて間もない仔猫の死を描いた話、戦争の悲惨さを訴える話などもあって、それらは強く印象に残っています。


 中でも自分が特に印象に残っているエピソードは、『笛のささやき』と言う回です。

 このお話では、タマ達の飼い主達が毎日忙しくて、全然遊んでくれないという所から、物語が始まります。どんなに構って攻撃をしても、忙しいと言われて、相手にしてもらえません。そんなタマたちの前に、猫を連れた笛吹が現れます。笛の音を聞いていると、何だかいい気持ちになってきます。すると笛吹の連れている猫が、タマ達に言うのです。


「一緒に来ないかい?主人の事や友達の事を考えなくてもいい、ずっと良い気持ちでいられる、そんな所に」


 動物をどこかへ誘おうとする笛吹。言わずと知れたグリム童話、『ハーメルンの笛吹き』のパロディです。

『ハーメルンの笛吹き』は、約束を破ってはいけないと言うのが教訓でしたけど、今作の教訓は、飼っている猫や犬を蔑ろにしてはいけない、です。

 笛吹の不思議な力のおかげで、忙しくなくなった人間達。だけどそれでも、猫や犬と遊んでくれません。そんな冷たい人間達に愛想をつかしたタマ達は……


 この話では、笛吹の正体が何だったかは、明確にはされていません。ただ忙しさのあまり、猫達に構ってあげられない人間の元から猫達を連れて行こうとする、不思議な存在として描かれていました。


 だけど、謎を残したままだったからこそ、印象に残ったのだと思います。いったいあれは何だったのだろうと、何度も考えますからね。いくら忙しくても、ちゃんと構ってあげないと、いつか大切なものを失ってしまうというテーマも、心に刺さりました。



『3丁目のタマ うちのタマ知りませんか?』にはこういった教訓を与える話以外に、ほのぼのした話もあります。小学校の写生の時間に犬や猫達が乱入して、皆でお絵描きをする話や、仲間の猫と一緒に裏道を探す話等。これらははしゃぎ回るタマ達がとても可愛かったですね。


 あと、今思い返すと驚くような登場人物も数多くいました。

 住宅街の一角で普通に飼われているオラウータン。独自の技術で、自由に動き回る事のできるネコ型ロボットを開発した歯医者さん。そして龍!


 随分と設定がメチャクチャな気もしますけど、それでもどれも楽しいお話でした(^^♪


 自分の書く話では『狐と二人と稲荷寿司』や『ハチミツ色の日々』など、度々動物が出てきますが、原点は間違いなくここにあります。


 ほのぼのと感動を教えてくれた、素敵な作品です!(^^)!

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