四年霊組 こわいもの係、五年霊組 こわいもの係

 今回紹介するのは、角川つばさ文庫の『四年霊組 こわいもの係』『五年霊組 こわいもの係』です。

 本作は小学生を対象とした児童書ですけど、大人が読んでも十分楽しめると思っています。もしかしたら去年読んだ小説の中で、一番の当たりだったかもしれません。


 この『こわいもの係シリーズ』の第一作目となる『四年霊組 こわいもの係』は、次のような始まりです。


 あさひ小学校に通う女の子、友花。彼女は四年生に進級したその日、一つ先輩の女の子に案内されて、存在しないはずの四年霊組の教室に連れていかれます。

 そこで待っていたのは、一見するとトイレの花子さんのような風貌をした、座敷わらしの花ちゃんと、鏡の精の鏡子さんでした。


 彼女等の話によると、毎年四年四組の出席番号四番になった子は、小学校で起きる様々な霊的事件を解決する『こわいもの係』に任命されるそうなのです。案内してくれた先輩は去年のこわいもの係、そして今年は友花がこわいもの係になるのでした。


 花ちゃんや鏡子さんの力を借りながら、次々に起こる事件を解決していく友花。

 このお話はキャラクターがとても可愛くて、事件と向き合う時なんかも、不思議とほのぼのとした雰囲気があります。

 小学生がオバケや幽霊に立ち向かうという、題材としては決して珍しく無い話なのに、何故だかいくら読んでも飽きないのですよね。シリーズは全部で14冊あるのですけど、一度読み始めると止まらなくなり、次々と読んでいってしまいました。

 児童書ということもあって読み易く書かれていますけど、笑いと感動がしっかり詰まっていて、これは夢中になりますよ(^^)


 そしてこのこわいもの係シリーズの最大の特徴は、途中で主人公が進級してこわいもの係を引退すること。そしてこわいもの係は、次の代に引き継がれるのです。主役が交代するのです!

 作者の床丸迷人先生いわく、途中で主役が交代するのは、恐らく児童書初ではないかとのこと。

 主役が変わってからも物語は続いていって、たくさんの霊的事件を解決していきます。

 仲間と協力して事件に向き合って。時には先代のこわいもの係からアドバイスをもらって。そして中には、歴代のこわいもの係が集結して、一つの事件に立ち向かうという、ヒーロー大集合な展開……まるでこわいもの係版アベンジャーズみたいな大騒動もありました。


 起こる事件は大小様々。小さいものだと、校庭に現れるという犬の幽霊を成仏させる。大きなものだと、大昔に封印された巨大な妖怪、だいだらぼっちが復活して、このままでは日本が壊滅するかもしれないというとんでもない事態になったり。こんなもの、小学生にどうしろと言うのでしょうね(^_^;)

 だけどそんな大きな事件にも、この子達はしっかり立ち向かっていきますよ\(^^)/


 実は元々、自分も妖怪が出てくる小学生を主役とした話を書きたいって思い、参考にならないかと思って読み始めたのです。

 ただ、なんだか自分が描きたいとぼんやりとイメージしていた物語の完成形を見たような気がして、こんなの見せられた後に何を書けば良いんだと、書く手がストップしてしまいました。それほどまでに自分の描きたかった物が、ここには詰まっていたのです。


 その後なんとか、このこわいもの係に話を引っ張られないよう気を付けながら、執筆は始めました。読んで面白いって思った分だけ、自分の力になっているって信じながら。


 たくさんのワクワクと感動を与えてくれた『こわいもの係』。最近の児童書ってこんなに面白いんだ、こんな本を図書室で借りれるだなんて、今の小学生って羨ましいって思いました(#^^#)

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