第4話音ゲーは無課金には優しいほうだね。タイミングさえ取れるなら
(名前)
ジルア・オシト
15歳 ♀
(種族)
エルフ
(職業)
魔法騎士
(スキル)
なし
(称号)
なし
「魔法騎士って伝説の中級職業なのにスキルが無いなんて…おまけに能力ステータスが出ないなんて初めてですよ?この子本当にどっから拾って来たんですか!」
フィリさんがヒステリー気味にカルパスさんに喰ってかかっている。
俺は唖然としながらもステータスオープンと念じて二つのステータスを見比べてみる。
これはもしかすると…
「これじゃ冒険者として登録出来ないじゃないですか!こうなったら受付嬢として頑張ってもらうしか…」
フィリさんがいつものにへら顔になる。
顔が赤くなっているのは何故だろう!聞いてはいけない気がする…
「ちょっと待ってください!お願いしたい事があります。」
俺はそう言うと真剣な目でフィリさんを見て一つのお願いをするのであった。
「本当に大丈夫なのかい?無理しちゃ駄目だよ?いざとなったら他にも仕事なんて幾らでもあるし。」
心配そうな顔で俺を説得しようとしてくれるクレアさんだが今回は確かめないといけない事がある。
丁重に説得を断りながら俺は訓練場で色々試すことにした。
俺の予想が正しければ…いける!
「それじゃ少し試してみるからみんな離れていてね」
俺はそう言うと的に向かって「ドラゴンファンタジア」ではお馴染みの火の初級魔法の(ファイア・アロー)を念じる。
俺の周囲に五本の炎によって生み出された矢が浮かび、獲物を探すように漂っている。
俺は的に集中すると炎の矢は獲物を見つけたかのように的に向かって飛び掛かる!
「グゥオォォォォン!」
炎の矢が命中すると爆発する。
連続して爆発音は続き、五回ほどで爆発音が止まると辺りは煙に覆われる。
しばらくして煙が晴れるとそこには焼け焦げた地面しか無かった。
誰もが言葉を失った中で俺は的のあった場所に近寄る。
思ったよりも激しかったな。
画面のエフェクトと確かにそっくりだったが現実ではこれ程凄いとは思わなかった。
「はぁあああ⁈どうしてスキル無しで魔法が使えるんですか⁈」
完全にパニック状態のフィリさんは置いといて次は接近戦の確認だ。
ショートソードを片手に持つと「ドラゴンファンタジア」の初級剣術である(ソニック・ブレード)を念じて放つ。
ショートソードの一振りからオーラによって作られた刃が鉄の鎧の案山子に当たり鎧を断ち切る!そのまま接近戦の技である(レイヴ)を念じて発動、案山子まで飛ぶような速さで走っていくと三連続の剣戟で鉄の鎧をスクラップに変えてしまう…どうやら「ドラゴンファンタジアで使えた技は問題なく使えるようだ。
ご機嫌な俺はみんなの元に帰ろうとするがみんなは何も言わずに黙って俺を見ている…やり過ぎたか?
「ジルア…お前…」
カスパルさんが今まで見た事がない真面目な顔で俺を見ている。
調子に乗って色々試したがどうやらやり過ぎたか、普通ではないものと認識されたのかも知れない…馬鹿だなぁ俺。少し考えれば分かるのにどうしてこんな事をしてしまったんだ?異世界でチートとは言えないがそれなりに生きていけると分かったから調子に乗ってしまったのか?考えが無さすぎる、涙が出てきた。
「ジルア!お前凄いじゃないか!それなら充分冒険者としてやっていけるぞ。流石は俺の娘だ!」
カルパスさんが興奮して俺を空中に投げる。
要は高い、高いなのだが。高すぎる!10mぐらい飛んでるんじゃないか?屋根がある所ならぶつかっているぞ?
「ちょ!やめ!やめてったら!高すぎる。落ちたらしんじゃう!」
必死に止めようとするが興奮したカルパスさんは止めれない。
ボールのようにポンポンと空中に飛ぶ俺を他のみんなは微笑ましく見ているだけであった。
「まぁあれだけ出来るなら冒険者としては問題無いですね〜でも一応クエストを受ける時はちゃんとカスパルさんかクレアさんに確認を取ってから受けてくださいね〜」
そんな感じで間の抜けた口調で冒険者ギルドの説明をしてもらった。
先ずは冒険者ギルドの鉄則として犯罪を犯さないと言う事だ。
称号に犯罪者関連の称号が現れると冒険者カードは自動的に失効されるらしい。摩訶不思議な事だが神様が関わっているだそうでそれで一応納得した。
後はクエストを失敗すると罰金が掛かるそうだ。
罰金は冒険者ギルドが肩代わりしてその間の冒険者は「借金奴隷」として冒険者ギルドで働くらしい。
その話をしていた時のフィリさんの目はどこかおかしかった…まさか俺を借金奴隷にするつもりじゃないよね?ちょっと尿漏れしちゃったかも。
冒険者ギルドの階級は銅クラス、青銅クラス、鉄クラス、銀クラス、金クラス、白金クラスの六段階に分かれる。
始めは銅クラスから始まるのが基本だそうだ。
俺も銅のカードで登録されたから銅クラスだな。
一般的に鉄クラスが冒険者として認められる階級らしい。
カルパスさんとクレアさんはなんと銀クラスだ!そんな人達が何であんな森にいたんだろう?…話が逸れた。今の所白金クラスは名誉クラスとして引退した人しか持ってないらしい。
現役で最高は金クラスという訳だ。
「あと税金はクエスト報酬や魔物の買い取りなどで自動的に落とされますから気をつけてくださいね。
鉄クラス以上の人だと国を跨いで活躍出来ますがそれより下の方は冒険者カードでは国外に出られません…このぐらいかな?大事な事は」
頭を捻りながら話すフィリさんに若干の不安を覚えるが仕方のない事だと諦めよう。
周りの人もフィリさんはあんなもんだと納得しているみたいだし…それでいいのか受付嬢。
さて、これで説明は終わり後はお金の問題だがそれよりステータスの事でわかった事を纏めよう。
恐らくだかこちらの世界のステータスでは俺のステータスの中でこちらの世界にないスキルや称号はなしとしか出ないのではという事である。
そう考えればスキルと称号には納得できる。
もう一つは俺の今のステータスやスキルは「ドラゴンファンタジア」のものだからユニークスキルの【無課金ゲームLv1】の中にしか存在しない為、こちらの世界のステータスに表示されないのではないかと考えている。
こちらは穴だらけの仮説なので余り期待は出来ないがそれなりに納得できる。
そんな風に今の現状を分析していたのだがフィリさんは俺の髪を三つ編み状態にしようとしているし、クレアさんは俺の口にお菓子をせっせと運んでいる。
俺はそのお菓子をパクパクと食べているだけなのだがそれを見ている冒険者達は何か悟ったような顔でこちらを見ては微笑んでいる…怖すぎる。
「エルフの幼女ってこんなに可愛いかったんだなぁ」
「俺、自分の嫁はエルフにするわ。そんで嫁と子供と一緒に平和に過ごすんだ…」
「お菓子がそろそろ足りなくなってきたぞ⁈誰か早く買いに行け!」
…中々カオスである。
そんな中、隣の分厚い扉が勢いよく開き、中から2mを越すスキンヘッドで顔中傷だらけ、おまけにアイパッチまでつけた髭もじゃの大男が飛び出てきて竜のように吠えた!
「うっるせーんだよ!少しは静かにしやがれ!こんな所に固まっていないで仕事しやがれ!何だそのガキは⁈誰が連れてきたんだ!」
………チョロチョロチョロ………
…あかんねん。
急に怖い顔見たらどうしようもないねん。
半泣きになる自分を感じながら子供のお股は本当に弱いんだなとつくづく感じました。
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