第28話課金ゲームのサービス終了は唐突ですね。終了後も動いているものもありましたが

 宝石についてはカルパスに目茶苦茶怒られた。


 どうやら傷一つ無いのが素晴らしいらしい。


 金貨で100枚は行くそうだ…1000万換算か。


 そりゃうちの奴隷の目がおかしくなる訳だ。



 渡した物は好きにしていいと言っておいたので問題無いだろう。


 それよりも仲間として雇ったのだから呼び捨てにしろと二人に強く言われた。


「…じゃあ、クレアとカスパル。これからもよろしく…」


 少し恥ずかしかったので俯き加減で言ったのが悪かったのか二人に嫌という程可愛がられた。







 そして、翌日。


 二人が街に戻る為に帰った後、俺達は今後の為の修行に入る。




 さて、指名依頼の相手が来る前にしなくてはいけない事が山程ある。


 少しずつでも終わらせていこう。


「と、言う訳でこれからシロにはこの相手と模擬戦をしながらレベルアップしてもらおうと思います」


「…既に嫌な雰囲気が立ち込めているんですが…」


 シロの視線がきついようだが関係ない。


 これからシロには強くなってもらわないと俺が死ぬ。


 間違いなく俺が死ぬ。


 何せ攻撃が強すぎて人に使うのは躊躇うほどなのだ。


 このままでは接近戦しか対人は出来なくなってしまう。




 スプリガン


 コスト2


 財宝の番人と呼ばれる妖精。

 大きさを自由に変えられる。

 攻撃力と素早さはそれなりだが妖精を護衛する為、防御力が高くなっている。




 防御力系妖精スプリガン。


 彼にダメージを与えれるようになればかなりのものだろう。


 財宝の番人と呼ばれるだけあって防御力系魔法も多少は使えるし「フェアリーダンス」では良くお世話になったキャラだ。


 本来は醜い小人のような姿らしいがフェアリーダンスでは生意気なショタっ子として人気がある。




「んで、俺はこの山羊っ子を躾ければ良いのか?主人」


 出て来て早々、強気のショタっ子である。


 大きくなれば大人バージョンもあるので二度美味しいなどお姉さん達に大人気だがシロには合わない相手らしい。


「ご主人、私はこいつをボコボコにすればいいのですか?」


 既にトンファーを振り回してやる気満々のシロに対し、シロを見ただけでやる気のなさそうなスプリガン。


 いいコンビになりそうだ。


「それでは二人で模擬戦をして実力をつけてからモンスターを倒しに行ってね。くれぐれも無茶は駄目だからね」


「主人の奴隷に相応しくするから安心しろ。山羊っ子は俺の言う通りにすればいい。何も考えるな」


「そのふざけた脳味噌シェイクしてやるから今の内に遺書を書いておくのをお勧めします」


 …いやー仲が良くて嬉しいな。


 俺は後ろを振り返らずに家に戻る。


 こちらは家鳴りと家の改修だ。


 ある程度の改修が「ホームでローン」のお陰で出来るようなので今から家鳴りと話を進める。


「やっぱりクレイモアぐらい使いたいのぉ。レベル1だと殆ど無理のようで悲しいぞ」


「仕掛け弓やワイヤートラップでいくか。基本庭や玄関と窓付近だけでいいよ。それ程大きな罠は付けれそうにないしね」


「なら庭に釘入りの火薬玉で仕掛けて置くとしようかの」


「…あんまり庭を壊さないでよ?」


「一応善処はしてみるとするの」




 ああだこうだ言いながらトラップハウスが出来上がる。


 家鳴りしかいないから防御面に不安はあるが無いよりはマシだろう。




 さて、ここからは俺も自分の力を確かめるとしよう。


 現在の戦力はこのレジェンドエルフの体に「ドラゴンファンタジア」の装備一式となる。


 正直これだけだと厳しい戦いになりそうだ。


 消耗品は無くなれば増やすことが出来ず、アイテムも多いというわけでも無い。


 数で来られるとあまり持たないだろう。




 スライム召喚はレベル2まで呼べるようにはなったが基本室内限定であり、室内だと部屋ごと攻撃される可能性もある。




 妖精召喚はコストが2までに増えたがそれまでだ。


 やはり数では相手にならない。




 競争獣召喚が実は一番役に立っている。


 攻撃は余りさせたくはないが輸送力とスピードでこの世界の相手を出来るだろう。







「やっぱり俺が覚悟を決めるしかないんだろうなぁ…人を殺す覚悟を」


 自分で呟いて自分で驚く。


 異世界に来たのだから覚悟はしていたつもりだが、つもりだけだったようだ…俺の力は人を簡単に殺せる。


 すでにかなりの数を殺しているが、最初の三人は反射的にやった事であり、人攫いの時は怒りの余り記憶が跳んでいたので自覚が薄かった。


 これからは違う。


 自分の意思で殺さなくてはいけないかも知れない。


「まぁ…殺すんだけどな」


 俺はそう言うと、窓の外にいた武器を持って囲んでいる者達に(サンダー・アロー)を念じる。


 家の窓越しに現れた雷の矢は玄関近くにいた三人程を黒焦げにする!


「な、何だ?何が起こった?」


「ジャ、ジャイルが黒焦げに…」


「三人に一気にやられたぞ?楽な仕事じゃなかったのか ⁈ 」


 驚き戸惑う奴らを無視して気配察知に引っかかる相手を片っ端から撃っていく。


「どうした ⁈ 敵か?」


 驚く家鳴りに微笑みながら残りの気配を探るがやはりこちらから探知するのはジルアは苦手なようだ。


「大体倒したつもりだけどまだいるかも知れないから家鳴りは家で待機ね」


 不満そうな家鳴りを置いて玄関から出て行く。


 肉の焼けたような臭いがするがあまり好ましいものでは無いので鼻を手で塞ぐ。


 何人かは生きているようなのでその者達を置いて残りの死体を(ファイア・アロー)で纏めて焼いてしまう。


「…何だよ…話が違うじゃねーか…」


 まだ意識のある者に(ヒール)を掛けてこれからは尋問タイムだ♪




「それじゃ話を纏めると、人攫いの仲間をやられた盗賊ギルドが原因のエルフを求めてここまで来たと。見つける事が出来たのは森から出てくる二人組が来た道を逆に探りながら来たからだと…これで全部かな?」


 確認をとるが既に返事は出来ないようだ。


 しかし困ったな。


 指名依頼の相手以外にも狙っている人はまだまだいそうだ。


 カルパスから貰ったネコミミ帽子は知っている人には意味がないだろうし…


「まぁ今はこの遺体を処理しとくか」


 思ったよりも苦しくないな。


 なんか映画を見ているような感じで実感が無い。


 遺体を引きずり纏めるて燃やす。


 やっぱりゴブリンの時と大して変わらない。


 ゴブリンを殺しすぎて慣れたのかな?




 夕暮れ時の紅い景色を見ながら俺は現実感の無いまま今日の仕事を終了した。


















 

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