第56話最近はソシャゲをする時間が減ってきました。忙しいと中々やる気にならないんです…
赤子の母親から感謝のお礼を受けた後、周りの人からも色々な褒め言葉を受けながら逃げるように森へと帰る。
「ご主人、どうしてそんなに急いで帰るんですか?街の人達も喜んでいたのに」
「シロちゃん。ジルアちゃんはきっと褒められる事に慣れてないのよ。ほら、耳まで真っ赤になっているし余程、恥ずかしかったのね」
シロとセシルの言葉を聞きながら、セシルに図星を突かれた所為か激しく身悶えしそうな状況を振り払うべく、早く家に戻ろうと白閃を全速力で走らせる。
白閃も久し振りの全力での疾走に喜んでいるのか、俺の思い通りに動いてくれる。
「あわわわわ! 百閃さんに当てられて、無影さんまで本気になっちゃいました。このままだとシロ達、持たないかも知れません」
「ちょっと待ってジルアちゃん!
後ろで何か言っているようだが、残念ながら今の俺は帰る事で頭がいっぱいだ。
「はいよ白閃! ここから更に上げていくぞ! 」
「絶対あれ分かっていてしているわよ ⁈ シロちゃん何とかしなさい! 」
「シロ…そろそろ気分が悪くなってきま…した」
そんな2人を振り切りながら、俺は一足先に家に帰りましたとさ。
家に帰ると頑張ってくれた白閃の為に、汗を拭いてやり毛並みを整えてやる。
髪の毛を甘噛みされながらの作業だが、白閃の親愛行動なので笑って受け入れてやる。
しばらくすると青い顔をした2人を乗せた無影も帰ってくるが、俺と白閃を見るなり更にスピードを上げ、乗っている2人を振り下ろさんばかりの勢いで俺の前に駆けつける。
こちらも汗を拭いてやり、毛並みを整えてやるのだが、無影から降りた2人が降りるなり虹色の液体を口から出していたので、ミーアを呼んで介抱させておく。
ご機嫌になった白閃と無影には「ヴァーミリアンスタジアム」時代から好物だった林檎をあげて労ってから元の世界に戻してやる。
さて、次は鋼竜を呼ぶわけだが…掃除するにも俺だけでは足りないので全員に外に出てもらい掃除の準備をしてもらう。
ミーアに介抱されたシロとセシルも元気になったようなので、デッキブラシを渡していき総勢7名揃った所で鋼竜を呼び出す。
呼び出した鋼竜だが未だ激闘の跡が身体中に残っており、鱗も所々剥げていたり割れていたりしている。
自慢の角も少し欠けており、血こそ出てはいないものの痛々しい様子だ。
「ごめんね鋼竜。お前は本当は戦闘なんて嫌いなのに…こんなに傷だらけにしちゃうなんて…本当に不甲斐ない主人を許してね…」
途中で少しだけ涙が出てしまったが、俺が覚えていたあの優しい目で俺の事を見ていた鋼竜は顔をこちらに寄せてくる。
「今日は今まで沢山助けて貰ったお礼に身体を掃除してあげるからゆっくりしててね」
「グゥルル…」
鋼竜はこちらの言葉を聞くとその場に伏せて俺達の掃除を受け入れてくれたのだった。
「この汚れ中々取れません。ご主人、高圧洗浄をお願いするです」
「本当に鋼竜ちゃんって大きいわね。でも、こうして見ると愛嬌もあるし可愛いものね」
「セシル様、手が止まっていますよ? 世界守護者相手の功労者なのですからもっと労ってあげてください。ご主人様、こちらも高圧洗浄お願い致します」
「ほんに大きい竜よの。我が見た中でも1、2を争う大きさよ……ここが痒いのか? ちょっと待っておれ、すぐに擦ってやるからの」
「やれやれ…それにしても女だらけの場所なのに華やかさが足りないときたものだ…主人よ、みんなを水着にしてから洗わないか? …危ない! 高圧洗浄を人に向けるな ⁈ 」
「いいなぁ…みんな仲よくて。来たばかりの私には中々馴染めそうにないよ…毛玉ちゃんどうしたの? ほらいい子、いい子」
みんなで仲良く鋼竜を洗っているが何気に高圧洗浄を生活魔法の(ウォーター)で再現している所為かみんなに呼ばれる回数が多い。
後、座敷童安心していいぞ? 君の個性はこいつらに引けを取らないからな。
そうして洗い上げた鋼竜はピカピカになりみんなに喜びの頬擦りをした後、元の世界に戻っていった。
さて、最後は凶月と風月の番だな。
2体を呼び出すと凶月には毛繕いを、風月にはこちらで取れた魔獣の肉をプレゼントだ。
風月は調子も良かったみたいで喜んで人型の豚の死体を食べている……ってかあれ間違いなくオークだよな? この世界にもやっぱり奴等はいるんだな、気をつけないとノクターンへの移籍が決まってしまう。
凶月も嫌な事ばかりさせていたからな……何気に酷い扱いをしてるな俺。
丁寧に毛並みを整えてやり、満足させてやると俺の膝で眠りだす凶月。
風月の方もお腹いっぱいになったのか、俺の背に頭を寄せてこちらもお昼寝だ。
競争獣達はあまり手元に置いておく事が少ないのでこんな時間も必要だろう……そう言う事だから、他のみんなはそんな目でこちらを見るんじゃない!
そんな感じで凶月と風月の2匹と夕方までお昼寝を楽しみました。
夕飯は俺とミーアで作っていき、それをその他の人達が食べるという何とも主人泣かせの状態である。
ミーアにも向こうに行くようには言ったのだが、俺と料理をする方が良いらしく2人で黒い手の助けをもらいながら大量の料理を作っていく。
俺は焼き飯や野菜炒めなど簡単な物を、ミーアは手の掛かる料理を受け持ちながら何とか欠食児童達の腹を満たしていく。
最後はお風呂となったのだがミーアが私と入った事が無いと主張して、料理を作った事をアピールする事で俺との入浴を勝ち取ったようだ……というか、そういう理由で料理を手伝っていたのか。
「さて、ご主人様のお肌にやっと触れられるのですね。これで私の勝ちは決まったようなもの……ご主人様にレジェンドナイトメアの真髄をお教えしますわ」
えらく上機嫌なミーアを余所に、不満気なシロとセシル…家鳴りと座敷童まで不機嫌になってるよ ⁈
でもまぁ、態々こんな所まで俺を探して来てくれたんだからそれなりにもてなすか…
「じゃあ、ミーアは私が全力で洗ってあげるよ」
その言葉を聞いたシロと家鳴りがおかしな表情になっていたが、それに気付かないミーアはお風呂場で俺の全力のおもてなしをその身に受ける。
結局、洗っている途中で失神したミーアをシロに渡して、セシルと座敷童もある程度手加減しながら洗っていったのだが、2人とも洗い終えると同時に腰が抜けたようなのでまたまたシロに運んでもらう。
「マジでマスターの手洗いは危険物じゃのぅ……」
「何か魔法かスキルでも使っているのか? そうでなければあまりにおかしな状態だぞ? 」
風呂上がりにみんなの様子を見に行くと、家鳴りとスプリガンがのぼせた人達を団扇で扇ぎながらこそこそ話しをしていた。
こんな感じで、みんなとの森での生活が始まったのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます