第71話デイリーボーナスの為だけにインする人っていませんか? すいません。それ自分です

 軍事基地と化した我が家の前でのお仕置きも終わり、俺たちは家の中へと入る事にする。


 内装はさほど変わっていないようだが、弾薬庫や司令室など物々しい部屋は見なかった事にする。


「ご主人様? 今回のバージョンアップによって自動迎撃システムと対空装備が充実しました。弾薬に関しましては館自体に自動生成システムを追加した為、長期の防衛戦も安心です」


「おかしいよね ⁈ 俺達がここを出てから1日ぐらいしか経ってないのに何でこんなに魔改造されたのさ! 」


 顔に満面の笑みを浮かべるミーアに、つい突っ込んでしまう自分が悲しい……


「前回の戦闘をこの家の記憶から読ませてもらった所、これでも不十分だとは思いますが少しは時間が稼げると思います」


「私の話をガン無視だよね? それなら前のままでも良かったじゃん! 」


 わざと俺を怒らせているじゃないかと思うほど俺を煽ってくるミーア。


 どうやら魔族に嫌味は通じないようだ。




「え、えらく斬新的なお家ですわね……」


「ファンタジーって何なんだろな? まぁ命が助かるならどうでも良いが……」


 初めて俺の家にやって来た二人は、遠い目をしながら我が家の中を見ているがこれが普通だとは思われたくない。


「おや?そちらの者達は新人かえ? マスターはいつの間にか人を増やすのが好きじゃのう」


「新人さんですか! これで訓練も捗りますね! 」



 家鳴りが感心したように二人を見て喜び、座敷童は後輩が出来たと勘違いして嬉しそうにしている、




「悪いけど新人さんではなく、護衛対象だよ。それに新人ならケットシーが……っていない ⁈ 」


 いつの間にかいなくなったケットシーに気付き、俺はどこでケットシーを見失ったのか愕然としてしまう……


「ケットシーさんなら『定時になりましたので帰らせてもらいます』と言って消えてしまいましたよ?」


 シロの不思議そうな返答に、俺は次呼んだ時には髭を引っ張る事を心に誓う。




「と、とりあえずこちらの女性がこの領地の領主であるタバサ伯爵の娘さんのライアと、シロやセシルと同じ異世界転生者のアクト。今回はこの二人のレベル上げの為にここまで来てもらったんだ。こちらのメイド服を着たのがミーア。あちらにいる軍服を着たのが座敷童。そして和服を着ているのが家鳴り。この子達は私の召喚した子達だよ。」


 俺がお互いを紹介していくと、ライアの目が輝きだす。


「まぁまぁ。どの子もとても可愛らしいですわ! 皆さん良ければ私とお友達になって下さいね」


 そう言ったかと思うと、一人一人に抱きついていくライアにミーアさえも戸惑っている。


「あ––、アクトという。大した者じゃないんで隅っこの方にでも置いてくれ……そっちのメイドの姉ちゃんはあまり殺気をこっちに向けないでくれ」


 ミーアを見て震えながら自己紹介をするアクトを見て、大体の状況を察してしまう。


「ミーア。その人は今後重要な役割があるんだからいじめないの! あと、座敷童もそんなに警戒しないの」


 全く紹介するだけで一苦労である。




 部屋が格段に多くなった館は俺達一人ずつに部屋を当てても充分に足りるようになっていた。


 黒い手達は俺を見て怯えていたが、手伝っただけのこの子達をいじめるつもりは全く無い。


 1人?ずつを撫でてやり、これだけ頑張ってくれた事を褒めてやる。


 新しく改装された自分の部屋に行ってみると、この間まで2部屋分を埋め尽くそうとしていたジルアの服が綺麗に整理されており、昔懐かしい感じのファンシーな部屋になっていた。


 それは良いのだが、何故俺の部屋のベッドでシロとセシルがマーキングのように体を擦り付けているのか……


「シロ、セシル。お前達にも新しく部屋を用意しただろ? 悪いけどそちらに行ってくれない? 今から少し聞かれたくない話をするつもりだから」


「一体誰と、いかがわしい話をするつもりなんですか! そういうのは奴隷1号のシロにするべきなのです」


「奴隷2号の私も混ぜて欲しいわ。最近ジルアちゃんと一緒に居られないから欲求不満気味なのよ? 」


 俺が2人に出て行く事を勧めたのだか、逆にムキになって出て行こうとしない。


「仕方が無い……黒い手さん?悪いけどその2人を部屋から追い出しておいて。あと、悪いけどアクトをここに呼んでくれる? 」


「な ⁈ 何であの人をこの部屋に呼ぶのですか? いくら仲間になったとはいえ、いきなり過激すぎます! 」


「ジルアちゃ〜ん? 男が欲しいのなら私に言ってくれれば良いのに……男だろうと女だろうと貴女好みになってあげるわよ? 今からでも遅くは無いから私と一緒に天国に行きましょう! 」


 段々錯乱してきた2人を黒い手に任せ、俺は椅子と机を用意してアクトが来るのを待つ……これからの話は出来るだけ知られたく無い話だ、だから……


「後、この部屋を覗いている奴は今なら許すから止めておけ。あまり楽しい話じゃ無いからな……」


 俺の言葉と共に、誰かの視線が消えていく……少しだけ違和感があったので、一応忠告したのだが、どうやら本当に誰かが覗いていたようだ。




「なんか黒い手に連れて来られたんだが、何か用があるのか? 」


 4つぐらいの黒い手に囲まれたアクトが戸惑いがちに部屋に入ってくる。


「あぁ……少し話しておきたい事があって来てもらったんだ。他の人にも聞かれたく無いしな」


 俺の言葉に少し警戒するアクトだが、俺が机の上に用意したお茶とお菓子を摘まみ出すと、少しだけ気が和らぐ。


「それで……何を聞きたいんだ? 」


「アクトのユニークスキルの性能……世界の守護者を殺せる程の力があるか知りたいんでね」




 静かな部屋の中で俺とアクトの秘密の話がここから始まったのであった……







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