第46話課金アイテムのセール品っていつも値下げしてるよね?あれ本当はもっと安いんじゃ…

 疲れた顔のテンカに連れられて、ギルマスの部屋に入る。


 部屋の中には鑑定出来る水晶と、職業を変えられる水晶まで用意されている。


 準備万端だね!


「お前らの事だ、どうせとんでもない事になっているだろうしな。フィリとシフォンには悪いが、お前らは生け贄みたいなもんだ。諦めてくれ」


 フィリさんとシフォンさんは、がっくりと肩を落とし溜め息をついている。


 後で、お菓子でも渡しておこう。




「それにしても、セシル。お前がジルアの奴隷になったのも驚いたが、まさか盗賊ギルドの長だとは俺も気付かなかったよ」


 不機嫌な顔でセシルに文句を言うテンカとは別に、フィリさんとシフォンさんは驚いてセシルを見ている。


「えぇ〜! そうだったんですか? それは驚きです〜」


「確かに普通の斥候とは全く動きが違いましたけど、まさか盗賊ギルドのマスターだったとは…」


 フィリさんは単純に驚いているようだし、シフォンさんは少しだけ予想外だった感じの驚きようだ。


「伯爵様からお前の事は聞いたが、これからはジルア付きの奴隷として鉄クラスの奴隷冒険者として扱うから、2人とも覚えておけよ」


「「分かりました」」


 フィリさんとシフォンさんの声が、はもって唱和される…あぁ、何か出来る受け付け嬢って感じがするな。




「それではお前ら3人のステータス確認だ。今回は俺達3人のギルドの職員が、そのステータスを確認する為、誰にでも見れるタイプの『能力珠』を用意した。フィリとシフォンはここで見た事は絶対に口外するなよ」


 テンカはそう言うと、俺を手招きして能力珠と呼ばれた水晶玉を俺に触らせた。


 そして、俺の少しだけ変わったステータスを見て驚くわけだが…


「ジルア! 手前のステータスはどうなっているんだよ ⁈ レベルは出ないわ、能力値は出ないわ、挙げ句の果てに攻撃用のスキルも出てねぇじゃないか! フィリから聞いてなかったら、この球が壊れたと勘違いしちまうだろうが! 」


「相変わらずデタラメなステータスですねぇ…調教スキルって……お姉さん調教されちゃった? 」


「確かに…事前には聞いてはいましたが、これほど異質とは……私が担当で無くて本当に良かったです…」


 何か3人共ぐったりとしている…そんなにおかしいかな?




「ま、まぁこんなもんだと思う事にしとこう。これ以上考えてもどうにもならんしな…次はシロ…だったよな?お前の番だ」


 シロは赤いメイド服をなびかせながら、水晶玉を軽く触る…


「…何だこのステータスは、既に銀クラスを超えてるじゃねーか…しかもレアクラスを2個も所得しているだと? 一体何をしたらこうなるんだよ?」


「幸運が999 ⁈ カンストですか? ジルアちゃんの奴隷になれば幸せになれるって事なんですか ⁈ 」


「あわわわわ! 前より酷くなっている…嘘でしょ? まだ、そんなに日にちは立ってないのよ? 」


 あかん! またシフォンさんから出てはいけないものが口から出ている!


 急いでシフォンさんの元に駆け寄り、出てはいけない物を押し込める…ふぅ、何とか戻った。




「色々衝撃的だったが、次だ次。セシルは『職業珠』で職業を決めてからステータスを見せてくれ。職業の方は本人しか閲覧出来ないから、主人に報告な」


 セシルは何事も無かったように職業珠に手を出して…固まる。


「あの…ジルアちゃん。私、職業欄が凄く増えちゃったいるんだけど?」


 困った顔で俺に助けを求めてくるセシル…俺にどうしろと?


「そう言えばシロの時も、かなり多かったですよ?ご主人の奴隷になれば増えるんじゃないですか? 」


 何気なく言ったシロの言葉に部屋の中の人間全てが固まる…それってヤバくね?







「取り敢えず合いそうな職業ですと、前に就いていた怪盗、それ以外ですと夜叉とか魔導姫とか、魔導忍者なんていうものもありますね…」


 テンカは開いた口が塞がらず、フィリさんは何を言っているのか分からない様子、シフォンさんは……よし!元に戻した。


「セシルが就きたい職業でいいよ。今ならシロが探索も出来るし、無理に斥候で無くてもいいから…ただまぁ魔導忍者は心惹かれるものがあるけどね」


 小さい頃は、男なら忍者になりたいと思った事があるはずだ…今は幼女だけど。


「魔導忍者にしました!」


「はやっ ⁈ 」


 俺の言葉と同時に、職業に就いてしまったセシル…自分の人生なんだからもう少し考えた方がいいよ?


「もうなんでもありだな、こいつら…じゃあ能力珠に触ってくれ」


 テンカの声に今度は恐る恐る能力珠に触るセシル…まぁ何が起こるか分からないもんなぁ……




(名前)

 セシル

 168歳 ♀


(種族)

 ダークエルフ


(職業)

 魔導忍者Lv60(不正奴隷)


(ステータス)

 力 74

 知力 224

 魔力 250

 敏捷力 282

 生命力 78

 幸運 88


(スキル)

 レアスキル

 ・感知Lv7

 ・探知Lv7

 ・怪盗Lv5

 ・魔導Lv1

 ・精霊魔法Lv3

 スキル

 ・短剣術Lv6

 ・回避Lv8

 ・投擲Lv10

 ・鑑定Lv5

 ・毒耐性Lv3

 ・尋問Lv5

 ・弁舌Lv6

(称号)

 ジルア・オシトの奴隷




「ずるいです! レアスキルがいっぱいあるのは反則なのです! でも、ババァだから仕方がないです」


「エルフは人間より十倍の寿命があるのよ! ババァ呼ばわりするんじゃないの! 」


「お前ら…ステータスの方で話をしろよ。それにしても銀クラスでも1、2を争うだけの強さがあったが、こりゃもう金クラスの能力だな」


「ええええええ ⁈ ダークエルフ? 何それ ⁈ どう見ても人間ですよ? 」


「成る程、前から経験豊富な人だとは思っていましたがそう言う事ですか。納得のいく答えですね」


 シロとセシルまで話に加わったから、ややこしい事この上ない…それにしても。


「セシルは元から精霊魔法を使えたんだね。私にも精霊魔法を教えてよ」


 そうなのだ、セシルのスキルに精霊魔法があるのだ…これを教えてもらえば俺にもこの世界の魔法が新たに使えるように……


「多分ですけど無理ですね。精霊達が怖がっていますから…ジルアちゃんを怖がっているんじゃ無いですよ? 恐らく、『フェアリーダンス』の妖精達の気配が強くて、近寄れないのではないでしょうか」




 ……何ですと?












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