第17話昔パ○ヤという課金ゴルフゲームがありましてね、ホールインワンが当たり前のその世界を見てそっと画面を閉じた記憶があります

「ご主人、そのスキルの数々は私を尋問で私の精神をボロボロにした後、言葉巧みに私を籠絡して調教するって意味合いですね?…流石にそんなプレイはしたくないんですが」


 珍しくシロがドン引きしてる。

 どんだけシロの中の俺は鬼畜なんだ?


「勝手に変態さんにしないように。昨日散々暴れて人攫いを尋問したからスキルついたんだと思うよ。弁舌はシロを奴隷と認めさせる為に頑張った所為じゃないかな。調教は…ほら、今も言うこと聞かないシロを言うこと聞かせる為に頑張っているから…」


「ご主人の話の方がよっぽど変態チックじゃないですか!ほら見なさい。男共の腰が引けてるじゃないですか!」


 周りを指差すシロ。

 冒険者達よ…おまいらは何でこんな幼女に反応してるんだよ!


「それよりご主人、スキルに攻撃系がないじゃないですか。私が肉盾でも攻撃する人がいないとどうにもなりませんよ?」


 肉盾と認めつつ俺を心配するなんて愛いやつだ。

 俺は(ファイア・アロー)を5本程待機状態で念じる。

 俺の周りに現れた五つの炎の矢にシロは絶句して固まる。

 周りの冒険者達は訓練場で見ている人も多いのかそれ程驚いてはいない。


「な、何ですかそれは。スキル無いのに何で魔法が使えるんですか⁈ 」


 その辺は面倒だからあまり言いたくないんだよな。どう説明するべきか…


「こら、ギルド内で攻撃魔法を使うんじゃない!ジルアもやる事あるならさっさとしろ!」


 テンカさんがナイスタイミングで怒ってくれた。

 この流れに乗ってしらばっくれよう。


「シロ、怒られたからさっさと仕事に行くよ。シフォンさん。これお願いします」


 ゴブリン退治の依頼書を取りシフォンさんに渡して受注印を貰う。


「それじゃ行くよ。舌噛まないでね。」


 凶月を呼び寄せてシロを乗せて凶月と共に町の外に向けて走る。

 その内、幼女二人が爆走する噂などが立つかも知れないな。




 さて、目的地に到着だ。

 まずはゴブリンを探そう。

 その前にシロの介抱が必要かな?オロオロと黄金色のモザイクの入った液体を口から流すシロ。

 どうやら乗り物酔いしやすいようだ。


「あ、あんなに飛んだら跳ねたりする乗り物はありませ…ん」


 そうかな?結構楽しいのだが。

 シロを運んだ凶月が悲しそうな顔をしてるのでモフモフしてやる。

 良い毛感触だ。


「さて…いたな、世界の害虫め!」


 危険察知に反応があったゴブリン目掛けて(ファイア・アロー)見事に燃え尽きて香ばしい匂いを辺りに漂わせる。


「シロは燃え尽きているゴブリンから魔石を取る係りね。これから忙しくなるよ」


「ヒィィ。奴隷扱いが激しいご主人ですー」


 そうこう話しているうちに辺りからゴブリンが現れる。

 必見確殺、見つけたら殺す見つけたら殺す見つけたら殺す…シロが走り回る姿を見ながら連続コンボ数を増やしていると今までと違った事が唐突に起こる!


「な、なんかデカイゴブリンが来てます!…ホブコブリンって言うみたいです。」


 シロの報告に緊張感が跳ね上がる。

 二十体程ゴブリンを引き連れた大きなゴブリンが俺に向かって来ている。

 それはいいがホブコブリンの吠え声で縦一列となってこっちに来てる⁈


「うへ、前のゴブリンを盾にしてる!頭良すぎる!」


 魔法の矢系統は追尾はするが基本前に飛ぶ。

 前に障害物があれば流石に先に当たる。

 ホブコブリンを狙うには上からでも狙うしか無いがここは平原。

 あれ?ピンチ?


「ご主人、いざとなったら私を盾に!」


 シロが凄い勢いで戻ろうとしてくる。

 俺は「パズルスライム」からあるスライムを召喚する!




 ランク1


 ランスライム


 発射すると騎士の馬上槍の形になり直線上の敵を貫通していくスライム。

 威力は弱いが敵を若干怯ます為、使い勝手がいい。


 赤い線を敵に合わせ直線的にやって来るゴブリン達をターゲットする。

 野球ボール程度の白いスライムは俺のオーバスロから放たれると同時にランス形態となりゴブリン達を貫いていく!


「何ですかそりゃあああああ‼︎ 」


 シロの絶叫が木霊するがまだ気は抜けない。

 ゴブリン達は絶命したようだがホブコブリンは未だこちらに向かって来ている。


 俺は腰の鞘からショートソードを抜くと(オーラ・ブレイド)を放つがそれでもホブコブリンは血を流しながらこちらに走ってくる。しぶとい!


「ご主人、ここは私が!」


 シロがホブコブリンの横から飛び蹴りをするが手で払われて飛んで行く。

 …シロ、君攻撃スキル無かったね。

 仕方がないので「ドラゴンファンタジア」でよく使っていた火の中位魔法の(ファイア・ランス)を念じる。

 2mを超える炎の槍が燃え盛りながら現れる。

 ホブコブリンも流石にこの魔法には怯えだすがもう遅い!ホブコブリンをターゲットにして発動!猛獣が解き放たれたようにホブコブリンに激音を立てながら向かう炎の槍。

 ホブコブリンは辺りのゴブリンの死体を盾にするがそのままなんの苦もなく貫いてホブコブリンを捉える!その瞬間、爆音は衝撃に代わり炎の衝撃波が辺りを襲う。

 火の嵐となった爆心地はガラス状となった土がその威力を物語る。




「あかん………これ人様には使えん魔法や」


 放心してその現状を見ていた俺。

 お股が少し冷たいのはいつの間にか漏れていたらしい。

 しかしこれは仕方がない。

(ファイア・ランス)は対個人の魔法だったのにこの世界で使えばこの有様だ。

 俺の技や魔法って派手すぎて使いづらいよ…


「ご主人ーーーー⁈これは酷すぎます!」


 シロが青褪めた顔で俺の所に戻ってくる。

 どうやら怪我ひとつないようだ。とことん頑丈だな。


「仕方ないじゃん。ここまで威力があるとは思わなかったんだもん」


 涙目でパンツを脱ぎながら言い訳するエルフ。

 そろそろ本当に癖になってそうだ。


「あー。本当に予想外だったんですね。ちょっと待ってください…3人ほど人がいますから脱ぐ時は気をつけて。ちょっと懲らしめに行ってきます!」


 それだけ言うと疾風の如く走り去るシロは場所を特定しながら飛び蹴りを放っていた…こんな近くで見られてたのかよ!いそいそと着替えてパンツにクリア。

 凶月の背中の上に置いて乾かす。

 凶月がこちらを悲しそうな瞳で見ているがそれは最重要品だ、無くすんじゃ無いぞ。


 あの後ゴブリンは全く現れなくなったので魔石を集めて冒険者ギルドに帰る。

 ホブコブリンの魔石はゴブリンの十倍以上の大きさがあったんだがこれクエストで換金出来るのだろうか、心配だ。


「お帰り〜ジルアちゃんとシロちゃん。お姉さん寂しかったよ〜」


 どうやらフィリさんが復活したようだ。

 隣のシフォンさんが目でフィリさんの方に行けと言っている。

 仕方がないので魔石と受注書をフィリに渡す。


「今日は大人し…何ですか⁈この魔石は!」


 どうやら今日も問題だったようだ。

 隣のシフォンさんがホッとしている。

 流石元斥候、危険察知は抜群ですね。












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