第60話課金して手に入れたキャラがだんだん使えなくなるのは悲しいよね? 新しいキャラだけ出すんじゃ無くて既存のキャラも課金で強くして欲しいな

「さて、ジルア……ちゃんと説明をして貰おうか? 」


 何故か俺は正座をさせられている。


 確かに少しだけ調子に乗っていた事は否めないが、ダンジョンで正座なんてハードプレイ過ぎる。


「えーとね。まずおかしいと思ったのは、ダンジョンの灯りの事を聞いた時かな? 」


 俺の言葉に怪訝そうにするカルパス。


「最初にカルパスがダンジョンはこんな物だと言ったけど、このダンジョンって出来たばかりにしては綺麗過ぎない?」


 俺の言葉に「あっ! 」と声を上げるクレア。


「どうしたクレア? 何か気付いたのか? 」


「そうよ……出来たばかりのダンジョンなのによく出来過ぎているのよ! 」


 クレアの言葉にしばらく考えていたカルパスだが、ようやく気付いたのか俺の方へと顔を向ける。


「なるほど…こんな所に突如として発見されたのに普通のダンジョンのように全て整っているのがおかしいという事か」


 カルパスの言葉にまだ分からないようなシロがいるので、簡単に俺が説明する。


「多分ダンジョンっていうのは人にいっぱい入ってもらわないと、成長出来ないんだと思う。だから発見された直後のダンジョンが、こんなに元気だなんておかしいんだよ」


「なるほど、本来なら飢えているはずの魔物が既にお腹いっぱいで待ち構えているのはおかしいという事ですね! 」


 シロが納得した感じで答えてくれるが、ちょっと違うと思う……まぁいいけど。


「なるほどね。それでジルアちゃんが他におかしいと感じたのは何処なの? やっぱり最初のゴブリン? 」


 セシルが俺に話し掛けてくるが、セシルの方も大体の事は分かっているはずだ……俺に説明を続けさせたいのかな?


「次におかしいと感じたのは最初に会ったゴブリンだね。セシルも見てたから分かると思うけど、全く動いてなかったんだよね…一階層のオーガみたいに。それで魔法で攻撃したんだけど、攻撃されても痛がらずに死んじゃったし…どう考えてもおかしいよね? 」


 俺の言葉に納得するカルパス達。


「それからゴブリン達の魔石を拾っていて気付いたんだけど、普通のゴブリンの魔石より小さかったんだよね」


 ゴブリンスレイヤーとして数多くのゴブリンを倒してきた俺だ、ゴブリンの魔石の事なら任せろ!


「次はケットシーが見つけてくれた小さな珠だね。あれはセシルなら分かると思うけど『監視カメラ』みたいな物だと思う」


 セシルとケットシーがうんうんと大きく頷いているが他の面々は不思議そうな顔だ。


 この世界には無いものだし仕方ないか。


「最後はボス戦の出来事だね。多分ボス前の扉は触る事によってボスが目覚めるようになっていたんじゃないかな」


 これは推測だけど間違っては無いはず。


 こう考えると地球の人なら思い当たる事が1つ……




「あぁ! テーマパークのアトラクション何ですね! シロやっと分かりました」


 シロの大声に周りの人達がびっくりする……でも、シロの答えで合っているだろう。人造ダンジョンはテーマパークアトラクションとかなり類似する所が多い。


「そうなると……このダンジョンを支配している人物は『異世界転生者』の可能性が高くなるわね」


 セシルの言葉に俺とシロの表情が固くなる。


「異世界転生者って……勇者とか賢者に良くあるって言う称号の事か? てっきり噂だけの称号かと思っていたぞ? 」


 カルパスは驚いた様子だがクレアの表情が暗い……何か知っているのか?


「それで、ジルアが完全にそう思ったのはオークの動きって事で良いのか? 」


 カルパスが俺に話し掛けて来るが、何となくだがクレアから意識を逸らそうとしている気がする…まぁクレアも聞かれたく無いみたいだし、その辺は合わせていこう。


「そうだね。オークの【鑑定】結果を聞いたから分かると思うけどゴブリン以下の強さだから間違いないだろうね…ほら、この魔石見てよ。オークならもっと大きいはずだよね? 」


 カスパル達にオークもどきの落とした魔石を見せるが、完全に一階層で拾った魔石と同じ大きさだ。


「なるほどな……これは確かにオークの魔石とは思えんな。だとすると魔物の強さもゴブリン以下になるのも納得だ」


「そうだね。だからここからは前衛をセシルとケットシーで罠を中心に確認してもらって中衛をシロとカスパルで、後衛を私とクレアで行く事にするよ」


 超攻撃型布陣で行く事を提案してみんなの了解を得る。




 そこからは会う敵はすべて蹴散らしていく、一方的な虐殺が始まる。


 二階層では未だ罠が発見されず、見つける事が無かったためにすいすいと攻略が進んでいく。


 やはりオークもどきの動きはゴブリン以下のようで、4人の前衛がほとんど薙ぎ払っていくので後衛の俺達はやる事がない。


 魔石集めも面倒なのでそのまま放置しているのも攻略速度が上がった理由の1つだろう。




 そうして二階層のボス部屋に来たのだが……







「開いてるね」


「開いてるな」


「開いてますね」


「開いてるわね」


「開いてるのは、きっとジルアちゃんの所為ね」




 最後のクレアの言葉にみんなが頷くのはいじめだと思うんだ……


「まぁいいや、中にいるのは……ミノタウロスかな?」


 3m以上の巨体に牛の顔をつけた大きな魔物がこちらを見ながら待っている。


 どうやらボス部屋からは出れないようだ。


「ご主人、『ミノもどき』と名前が出ています。何か美味しそうな名前です! 」


 前世の記憶に牛のミノの味が残っているのかシロの目つきがかなりやばい…気の所為か、ミノもどきも若干怖がっているようにさえ見えてくる。


「でも、能力値はかなり高いです。特に筋力は200を超えています」


 シロの分析結果にみんなの気配が変わる。


 銀クラスの戦士の力を持つ魔物だ…下手をすれば大怪我をしてしまう。


「だから、安全策で行こうか」


 俺は扉の前から(ファイア・ランス)を5本程用意して、部屋の隅に逃げようとしているミノもどきに次々と放っていく。







「これまた酷い攻略法を見てしまいました」


 シロのジト目がこちらをずっと見ているがみんなの安全の為だ、仕方がない。


「ジルア……お前は本当に非常識なエルフだな」


 カルパスまでそう言うことを言ってはいけないと思います。


「ジルアちゃん……」


 言葉が無いのは地味に傷つくんでやめてくださいクレアさん。


「本当は褒める所だと思うんだけど……」


 セシル……お前は俺の奴隷だよね?


「流石、姫! 敵に何もさせない事に関してはどんな人にも負けませんな」


 そうだね。ゲームじゃ攻撃されると即死とか良くあったからね。


 みんなのジト目を受けながら、俺はミノもどきの魔石を拾って三階層への階段を降りていくのだった。






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