第64話毎週くらい更新されるガチャがありますが皆さんはどうしてますか?基本自分は好みのキャラがいる時だけです

 冒険者ギルドにつくとマロンが受付まで報告に行く。


 俺達はマロンに言われた通りにお留守番だ。


 カルパスとクレアが多少不服そうだったが、マロンのテンカと大事な話があるという言葉を聞いては納得するしか他にない。


 結局馬車の中で待っていたのにその馬車にシフォンさんからお呼びがかかる。


「すいません。ギルド長とマロンさんの話し合いは終わったのですが、ギルド長から皆様に話があるという事ですので……」


 そんな申し訳なさそうに話してくるシフォンを見ては、嫌とは言えない俺達である。


 まだアクトは意識が戻ってないので、ケットシーにアクトを任せて俺達はギルド長の部屋へと向かっていく。







「今回も活躍したそうじゃないかジルアちゃん」


「たまには俺達と依頼をしようぜ? 」


「シロちゃん、良ければこれを食べるかい? 」


「カルパス! ダンジョンはどうだった? 」



 色々な声を掛けられながらギルド長の部屋に向かう俺に横から何かが飛び出してくる!


「うわ〜ん! ジルアちゃん聞いてくださいよ〜」


 大きなお胸と頭の上の耳を揺らしながら、ギルドの受付嬢であるフィリが泣きながら俺に抱きついてくる。


 頭を俺の体に擦りつけるのはマーキングか何かであろうか?


「ジルアちゃんに綺麗にしてもらった部屋が気がついたらまた元の部屋に戻っていたんですよ〜クエストとして発行しますから何とかしたください〜」


「フィリさんまた飲み散らかしたの? 一体毎日どれだけ飲んでいるんだよ ⁈ 」


 えへへと笑いながらもじもじしているフィリさんだが、周りの冒険者達はドン引きしている……


「取り敢えず帰りにギルドに寄るからそれまでに発行してくれたら何とかしますけど……お酒はほどほどにしてくださいよ? 」


「はぃぃ…」と落ち込むフィリさんを置いて俺達はギルド長の部屋にと入る。




「すまんな、わざわざ来てもらって。1つだけ聞きたい事があるから呼んだんだが、噂の男は何処にいる? 」


 どうやらマロンがアクトの事を報告したみたいだが、肝心のアクトは泥酔中である。


「アウトならまだ寝てるよ。あれ? マロンは何処にいるの? ここで話を聞いていたんじゃないの? 」


 見当たらないマロンに気づいた俺は、テンカにマロンの事を聞くのだが、テンカは表情を固くして、ギルド長として威厳のある姿に変わっていく。


「重要な話とは、そのマロンについての話だ。マロンも伯爵の所に行くんだが、実はマロンには面倒な過去があってな。ジルアとシロは知らないだろうから今のうちに教えてておこうと思ってな」


 その言葉に、俺とシロ以外のみんな表情が変わる……一体マロンにどんな過去があると言うのか?




「実は……マロンは先代伯爵の子供でな。今の伯爵の異母兄弟なんだ」


「「は? 」」


 ちょっと待て! マロンが伯爵家の跡取りだと ⁈ おかしいだろ! 何で跡取りが奴隷に……あっ!


「気づいたか、そうだ。あいつは後継者騒動に巻き込まれてな……15の時だったか、山にウサギ狩りに行った時に行方不明になってな…10年後見つかった時には、奴隷の剣闘士をしていたんだ。それも素手で……だ」


 何という……壮絶な過去なんだ。


 シロやセシルの話も酷いものだったが、マロンは実の家族の争いごとに巻き込まれてそんな目にあったのか。


「見つけられた時には、獣のような有様でな、その頃には首謀者は捕まっていたが、そいつを本当に殺してやろうかと思ったぜ」


「テンカさんはその時の事を知っているの? 」


「あぁ……俺が現役を引退する少し前に先代伯爵から受けた依頼でな、一年ぐらい掛けて見つけたんだ」


 優しそうな声で、窓から空を見ながら俺達に話すテンカさん……


「そんで連れて帰ったはいいが、周りが元奴隷の貴族なんて認めないって言いやがってな、これについては伯爵も反論するのは難しくて困っていた所を…」


「『だったら俺が引き取る! 手前らみたいな人間の屑共にこの子は絶対渡さない』だったよな? 親父」


 テンカが話している所を、誰かがその話を継ぐように割り込んでくる。


 低い声ながら色気のある、聞いた事のある声に俺は声の主人を探そうと辺りを見回す。


 昔、俺とシロが着替えに使った部屋の奥から現れた男がそこにはいたのだが、俺の予想と違っていた。


 金髪の髪を後ろに流すような髪型で貴族の服を着こなした、体の大きい男が笑いながらこちらを見ていたのだ。


「誰なんだ? ギルマス」


 俺の言葉にテンカが話そうとするが、それを片手で止めて男は俺の前にまで無造作ながらも綺麗に整った歩行で俺の前まで歩いてくる。


「残念だな。昨日はあんなにやり合った仲なのに、そんなつれない表情をされてはこちらもかなり傷ついてしまう……」


 そんな事を言いながら男は俺の顎に手をやり、顔を男の方へと向けてしまう……何だこいつ? こんなアダルトな展開になるようなフラグを立てた男なんて、俺には記憶に無いぞ ⁈







「マ、マロンなんですか? 」


 音の消えた部屋の中にシロの確かめるような言葉が響き、ニヤリと笑う男。


 その男とテンカ以外の俺達はシロの言葉の意味を理解するのにかなりの時間を要したのだった。







「この馬鹿マロン! ちょっとだけドキンした私の心を返せ! 」


 ポカポカとマロンを殴る俺を撫でてくるマロンの手に、ようやく目の前の男がマロンだと認識出来る。


「シロちゃん。どうやってマロンだと分かったの? 私には全然分からなかったのだけど……」


「臭いで分かりました。整髪料の所為で自信はあんまりなかったんですけどね」


 セシルが恐々こわごわとシロに判断理由を聞き、シロも自信なさげに返答しているが、ここはシロがよく分かったと褒めるべきだろう。


 オネエのマロンがこんなに変わるなんて普通は考えないからな。


「それで、マロンはどうしてそんな姿になったのさ? 」


 俺の質問にダンディーマロンは顎を撫でながら答えてくれる……そういや髭も剃っているから尚更分からなかったんだな。


「伯爵にアクトの事を話しに行くんだろ? それなら俺がついていかないと、多分あの男は処刑になるだろうしな」


 ダンディマロンの言葉にカスパルとクレアは驚きを隠せず動揺している。


 シロは分からないようだが、セシルには心当たりがあるようだ。


「そうだよね。自分や他の貴族の領土に自由にダンジョンを作れる危険性のある人物を、あの公正な伯爵が見過ごすはず無いよね」


 そうなのだ、何処にでもダンジョンが作れると言うことは何処の領土にでも前線基地を自由に作れるという事なのだ。


「ジルアちゃんは分かっていたみたいだけど、どうやってあの頑固な伯爵様を言いくるめるのか興味もあったしね」


 ウインクをしてくるダンディーマロンを見ながら、俺は伯爵を懐柔するのに骨が折れそうだと大きなため息をついたのだった。










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