第30話課金アイテムってその時期のみってのも多くなったよね。これが時期物ってやつなのかな
シロを俺のベットに寝かせ隣の荷物部屋にスプリガンに布団を用意してやる。
「どうした主人?添い寝が欲しいのか?言ってくれればいつでもしてやるのに」
そんな事を言いながら俺の顎に手を持ってくるんじゃありません!頭を叩いて部屋を出る。
「マスターの部下は個性的だのぅ。弁財天様が喜んでマスターの部下になる訳じゃ」
納得顔で訳が分からない事を言っている家鳴りには別の仕事をあげよう。
「ま、マスター我にこの狼は不味すぎる。こら、舐めるな。力が抜ける!これ!止めろと言ってるじゃろう!…やめなさいよ。それ以上したら泣いちゃうからね!本気なんだからね!」
…聞かなかった事にするべきだな。
俺は家を出ると石の多い場所に行き中級召喚魔法の(サモン・サーバント)を念じる。
「ドラゴンファンタジア」で使われる召喚魔法で石の石像であるサーバントを作り出し攻撃させる魔法だったのだが今回は別の使用方法を考えてみる。
石が変形し、3本指の腕と足が出来る。
石の中央が胴体となり鎧のように変わっていく。
最後に頭が飛び出てフルフェイスの騎士の外見となる。
完成されたサーバントに俺に付いて来るように命じる。
問題なく家まで付いて来たので玄関前に待機させる。
「今からお前はこの玄関の番人だ。俺の命令があるまではここで待機。今家の中にいる人物以外が訪問してきたら稼働してそいつを止めろ。それすら拒否するなら戦闘も許可する」
俺の命令を聞いたのか石像は玄関前で動かなくなりポーズをとって動かなくなる。
「さて、後は稼働時間だな。どの位持つか確かめないとな」
後は放置でお任せだ。
カルパスとクレアが来た場合問題になるが防衛力の為には仕方がないことであろう。
そろそろフェンリルに対してのアプローチがあると思ったのだがまだ反応がない。
仕方がないので生活魔法での魔法の練習をしながら森の中を散策する。
考えてみたらこの森の事もよく知らないんだよな。凶月を呼び散歩と行こう。
凶月も尻尾がブンブンと揺れているので嬉しいのだろう。
…スプリガンが間引きしたせいか全然モンスターに会わない。
森の中は見た感じ食べれそうな物が多そうだが俺には鑑定が無いので危険すぎる。
ソシャゲに鑑定って聞いた事がないしな。
凶月がたまに何かに反応しているぐらいだ。
散歩から戻ると家の前に石像に捕らえられた人がいる。
よく見ると冒険者の人だ、石像に行動を中止させ、ここまで来た理由を聞かないとな。
「おっちゃん久しぶり〜こんな危険な所に来ちゃ駄目だよ。今はちょっと私が狙われているみたいだからピリピリしているんだ。何か用があるならカルパスかクレアに言付けをお願い」
俺が石像に拘束を解かせ説明するも冒険者のおっさんは顔色が悪い。
怖がらせ過ぎたのかとも思ったが事態はそれ以上に悪くなっていた。
「ジルアちゃん!大変なんだ。カルパスとクレアが指名依頼失敗とされ捕まった。現在トリフ男爵の所で拘束されている!」
『はぁ?』
思わず声に力が入ってしまう。
凶月がお腹を見せて降伏の証をするぐらいには自分は苛立っているようだ。
冒険者のおっさんも腰を抜かしてその場に座り込んでしまった。
「ごめん、ごめん。ちょっと訳が分からなくて切れちゃった。どうしてそうなったの?私はフェンリルを預かっているから会いたければ自分で来るようになって言ったはずなんだけど…」
もしかして貴族だから呼び寄せるなど無礼千万に当たるのだろうか?しかし、そうなると指名依頼では捕獲だったのか?いや、神獣と言われるぐらいだからそれは無いだろう。
一体どうなっているんだ?訳がわからん。
「カルパスとクレアが受けた指名依頼は東の森に異常が起きているみたいだから確認して欲しいというものだったらしい。それを今回カルパス達がフェンリルの子供がお前さんらの所に居て、会いたければ森まで来いと言ったもんだからトリフ男爵が怒ってフェンリルを連れて来いと言ったらしくてな。カルパス達はそれを拒否したんだが、この指名依頼は失敗だと男爵が難癖つけだしてな。無理矢理男爵の家に連れていかれちまった」
…成る程聞けば確かに難癖だ。
確認なのに捕獲では話が全然違う。
その辺はギルドは何をしているのだろう?
「ギルドではこの話はどうなっているの?こんなのまかり通っていたら誰も指名依頼なんて受けないよね?」
「その通りだ。今はギルマスが抑えているが冒険者のほとんどがトリフ男爵への抗議の為、依頼を全て断っている。ギルドの方も領主や国王に嘆願書を出しているらしい」
益々おかしい。
こんな誰にでも分かることが男爵にも分からないはずはない。
これがまかり通るなら、こんな大事になるはずもない。
「トリフ男爵ってどういう人なの?暗愚で金持ちで性格悪いとか?」
俺の中ではこんな感じになってしまうトリフ男爵だが世間の評価は違うらしい。
「いや、それが…真逆なんだよ。温厚で貧乏だが領民の事をよく考えている人でな、今は領主の元で働いているが元々国の官僚だったお人だ。だから今回の件が男爵を良く知る人には理解出来ない話なんだ。」
…明らかにおかしい。
カルパスとクレアの動きを止めたかった?フェンリルの子供の件とは別の話なのか?カルパスとクレアにしか分からない事…
俺はおっちゃんに確認する。
「おっちゃん。ここの場所は誰に聞いたの?」
「連れていかれそうになったカルパスがお前に知らせろと教えてくれたんだがどうした?」
ようやく話が見えてきた。
俺は二人の無事を信じておっちゃんに全てを託す。
「おっちゃん!お願いだからトリフ男爵の家族の状況を調べるようにテンカに言って!盗賊ギルドが関係している可能性がある。おっちゃんはこの凶月に乗って街まで帰って!凶月。この人を街まで全力で輸送しろ。但し森の中を出来るだけ見つからないようにだ!頼んだぞ」
俺はそれだけ言うとおっちゃんを無理矢理凶月に乗せ走らせる。
時間がないのでスプリガンをこの場に召喚、家鳴りも召喚する。
「い、いきなりどうしたのじゃ?外に呼ばれるとは思わなんだぞ」
「主人は強引だな。だがそこがいい」
二人共急に呼ばれて戸惑っているようだが今は付き合っている時間が惜しい。
丁度いい具合にフェンリルも来ているので駄目元で試してみる。
『お前、俺の言葉が分かるだろう?何でこの森にいるんだ?』
《おはなしわかるの。いつのまにかへんなひとたちにかこまれていたの。でもにげていたらおなじにおいがするものがあったからとんできたの。ままとはちがったの。でもごはんくれるからいいの》
こちらはこちらで別口に追われているのか?取り敢えずは保護しておこう。
訳が分からないという顔をしている二人に俺は非情だが必要な命令をする。
「スプリガン。この家とこの毛玉を襲うために襲撃者が来る可能性がある。殺して構わんから全力でこの家を守れ。俺が帰還するまで死んでもだ」
俺の言葉に何かを感じたのかスプリガンは頷き魔力を解放する。
その魔力がスプリガンを包み込み5mを越える巨人へとスプリガンは変身を遂げる。
「家鳴りはこの子を最優先で守れ。お前は最悪死んでも構わないからフェンリルの身の安全を最優先だ」
我ながら酷い命令だとは思うが家鳴りは何も言わない。
タワーディフェンス型のゲームでは死ぬ事を前提にゲームをしていた事もある。
無課金なのでギリギリの戦闘が多かったのだが、まさかこんな所でまで同じ事をする事になろうとは…
「主人は気にしすぎだ。我らは守る者。守れるなら死ぬ事など大した事ではない」
「我を舐めるなよ。マスターの命なればこの身全てを捨てる覚悟よ」
二人の言葉にちょっと涙してしまう。
こちらに気を使わせるなんて主人失格だな。
「後は任せた。存分にその力を使え ! 」
俺はそれだけ言うとシロを起こしに家に行く。
彼等に全てを任せた今、俺がするべき事はトリフ男爵の身内の確保だ。
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