第24話最近の課金ゲームはデータの容量も大きいよね?グラフィックが良くなってる所為かな?

 さて、この扉を開けて良いのか悪いのか。

「ホームでローン」は自分が操作するキャラの中に妖怪がいる。

 考えてみれば今まで召喚して来た奴らは基本的に俺に懐いていた。

 しかし、妖怪はどうなのだろう?しかもこのゲームの俺の最高のキャラにいたっては神様である弁財天だ…胃が痛くなって来た。

 開けるのは今度にしようか。


「ガタガタガタガタガタガタガタガタ!」


「こ、こわ⁈ 何だこれ?」


 俺の開ける前から扉が軋むようにガタガタ言い出した。

 これはあれか?霊障とかいうやつか?お祓いがいるか?…あれ音が止まった?


「だ、大丈夫かな?やっぱり呪われているのかな?開けるのは止めておこう」


『ガタガタガタガタガタガタ‼︎」


「開けます開けます!だからガタガタしないで!今から開けますから!」


 これ以上こんな怖いことに付き合えない!覚悟を決めて開ける事にする。

 涙が既に出ているが何とか踏ん張り鍵を開ける。


「カチャリ…」


 鍵を開け、扉をゆっくりと開ける。中は暗くて何も見えない。

 やっぱり霊障だったのか?


「おっそぉいっつーの!」


 横から少女の怒り声が聞こえるので見てみると、黒で統一された服の幼女が手には血塗れの包丁を持ち俺を鬼の様な顔で見ている。


「うぎゃぁぁぁぁぁあ!」


 ………………プッシュゥゥ………………


 …あかん。久々の大量や。

 幼女を見ながら俺は意識を失いながら失禁した…


「こ、こらいきなり倒れないで!漏らさないで!なんでこうなったのよー!」


 最後に幼女が焦っていたな…







「ご主人、ご主人!大丈夫ですか?貴女一体何したんですか!こんなか弱いエルフに失禁までさせて、同じ幼女同士の失禁プレイなんて高度過ぎます!何なら私も混ぜて…グフェ⁈ 」


「わ、悪かったのじゃ。まさかこんな事になるとは思わなかったのじゃ。許してくれや〜」


 何かいきなりテンションマックスのシロが俺達に襲い掛かろうとしていたので思わず殴ってしまった。

 やってしまったものは仕方がない。

 改めて起きてみると、まずパンツが変わっている。

 シロが取り替えてくれたのか分からないがこれはいい。

 だが何で幼女が泣いているのか?確か扉を開けて見た幼女だよな?


「お嬢ちゃん。何で泣いているのかな?」


 取り敢えずは泣いている幼女を何とかしよう。

 俺より小さいな。

 120cmぐらいか?黒髪に肩に髪がかかる程度のショートボブで昭和の日本人みたいだ。

 服装は和服だか色が黒い。

 喪服か?下駄まで履いて本当に日本人形みたいだ。


「そこの女子が粗相をして失神してるお主を見て我がしたと勘違いをしたのじゃ!我は無実じゃ!」


「いやいや、暗闇でその格好で包丁持ってたらみんな泣くから、血塗れの包丁はアウトだからね?」


 幼女をあやしながらこの子を何処かで見た事がある感覚になり、何処で会ったのか思い出そうとする。

 多分ゲームは間違いないが座敷童じゃないしな…ここまで出かかってるのに中々出ない。


「大体此処は何処なのじゃ?我はお主と過ごしたあの家が良いのじゃ!あそこの戸の軋みは我にしかだせんのじゃ!」


「あぁぁぁ!思い出した。《家鳴り》か!」


「やっと思い出したか!この唐変木め!この様な場所召喚しおって酷いのじゃ」


 やっと幼女の事を思い出したのでステータス確認で彼女の事を見てみる。




 家鳴り


 住宅L v1


 家の中で軋む音や、物音を出していると言われる妖怪。現在鬼切包丁装備中。


 成る程、あの血塗れの包丁の正体は妖刀か?それにしても余りメジャーなキャラじゃなかったな。


 正直攻撃力は殆ど持っては居ない。

 辛うじて物を動かし邪魔をしたり音を立てて注意をそちらに向けたりするキャラだ。

 こいつに持たせて会った鬼切包丁は一周年記念に貰えた武器なのだが攻撃回数が多く相手に追加ダメージを与える武器としてそこそこ使える武器だった。

 俺はそれを更に速さと弱体効果をつけて回転数で勝負させる為家鳴り持たせたんだっけ?


「他の者達も出て来たかったようじゃが我しか此処まで来れかったのだでな、我は扉の前でずっと待っておったのに…」


 成る程、暗闇の中ずっとその扉の前で待ち続けていたのか。

 それなら扉の前で俺がぐずぐずしていたら怒るのも分からんではない。

 しかし…だ


「なら、最初から言葉で言えよ!扉がガタガタしてるのは怖いだけだよ!」


「我は妖怪ぞ。人を驚かせてなんぼじゃ!」


「妖怪はビックリ箱じゃーねーよ!」


 家鳴りはまだまだ余裕がありそうだな。ほっとけばよかった。


「まぁ良い。それでマスターよ。我らはこの家を守れば良いのか?」


 家の辺りを見渡しながら家鳴りは確認するように俺に尋ねる。

「ホームでローン」は自宅を改造しながら守るゲームだったから、以前のように家を守る事が使命なのかな?


「他にやりたい事は無いの?外に出たいとか?」


 やりたい事ならやらせてあげたいがそれを聞いた家鳴りは顔を顰める。


「我らの存在意義は家に憑く事や、家を守る事それに家族を守る事じゃからな。外に出ては存在意義が失われるわ。家さえあれば何もいらんて」


 どうやら彼等は家の引きこもニートになるようだ。

 仕方がないね。

 それが存在意義なら。


「分かった。それじゃこの家を守ってくれ。因みに前の家の事は知らないか?」


「家と言うよりはあれは最早要塞じゃったろ。座敷童が泣いておったぞ。家を幸せにするどころか最前列で戦わさせられるのじゃからな。」


 あれは仕方がない。

 タワーディフェンス型のゲームの為なのか敵がこちら目掛けて永遠と襲ってくるのだ。

 生き残りたいならまず防衛は大事だ。

 俺の家なんかまだ無課金で出来るだけの事しかしてないから要塞止まりだが重課金兵達はお城やテーマパーク見たいになってたからな。

 家って何なんだっけ?…


「そうか…座敷童には悪い事をしたな。今度出逢えたら謝っておこう」


「もう遅いかもしれんぞ?何せ対物ライフルにギリースーツを装備させたままだったじゃろ?あれは相当怒っておったぞ?」


 …忘れてた。

 幸運値があのゲームで最高だから芋砂仕様にしてたんだ!


「彼女と会うのは最後にしよう…」


「コスト低いから直ぐ来そうじゃがな」


「そろそろ私にも構って下さいよ〜山羊は構わないと死んじゃう動物ですよ?」


「それはウサギだろ!」


 新しい仲間も増えたが悩みも増えて大変だな。






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