第12話スマホゲームで3億の課金ってどんな事が出来るんだ?

 マロンさんのお仕置きが終わり自分は淡々とパンツを履き替える。

 慣れて来たなぁ、もう癖になってるんじゃないかなぁ。

 悲しみにくれながらパンツの装着を終えると、フィリさんがギルドマスターと共に到着したようだ。


「ジルアちゃん怪我はない?傷の跡とかないよね?お姉さん心配したんだぞ!」


 …真面目に怒られた。

 すまんなフィリさん。


「派手にやったな。嬢ちゃん。何があった?」


 俺の両手の中にいる獣人の子供を見てテンカさんは尋ねてくる。

 俺は大体の話ををしていくがこの子が奴隷になっているのを聞くとフィリさんは尻尾の毛を逆立て、テンカさんは青筋を立てていた。

 ギルマスあんまり力むとどっか切れるよ?


「それでこの子はどうなります?」


 この子の将来が不安な俺はギルマスに聞いてみる。

 ギルマスは難しい顔をして考えているがあまりいい話じゃなさそうだ。


「奴隷解放ってのは中々出来ないのよ」


 いつの間にか来ていたマロンさんが悲痛な顔で獣人のの子を見ている。


「今のこの子の所有者は貴方でしょ?でもね、奴隷を養うって大変なのよ。今の貴方には難しいかもね」


 残酷な結果を聞いてしまう。

 俺は泣かないように上を向いてマロンさんに聞く。


「手放す場合はどうなるんですか?」


 表情の消えたマロンさんから更なる地獄の結末を聞く。


「特別なスキルが無ければ鉱山とかで永久に掘ることになるわ」


 俺はマロンさんの脚にしがみつき懇願する。


「他に方法はないんですか?奴隷にされた子が幸せになったらいけないんですか⁈」


 落ちる涙を止められず俺はマロンさんに感情をぶつける。


「この子は!幸せにならなくちゃ!こんな未来私は認めない!」


 マロンさんは黙って自分の右手をたくし上げる。

 その腕の上腕部に入れ墨が入れられているのを俺は見てしまう。

 これは獣人の子の首にある入れ墨に似ている。

 まさかマロンさんも奴隷⁈


「奴隷はね、生きていくことが難しいの。貴方にその覚悟はあるの?」


「私は不幸になる子を見たくはない!子供にこんな酷いだけの人生じゃないって教えてあげたいんだ!」


 フィリさんが俺を後ろから抱きしめてくる。

 テンカさんは空を見ている。

 マロンさんは笑って俺を撫でてくれる。


「いうこと聞かねえ嬢ちゃんだな。そんだけ言えるならその子ぐらい養えるだろ。テンカ、俺はこの子を支持する。お前はどうなんだ?」


 マロンさんがテンカさんに問い掛ける。


「バッキャロー!ガキにここまで言われて大人が逃げれるかよ!手前ら、うちのギルドに新人追加だ。喜べ!」



「「「おう!」」」


 みんなが同意してくれる。

 みんなが俺を助けてくれる。

 俺はこの世界に来て始めて本気で笑うことが出来た。


「やっべーー!あの顔反則だろ!」


「誰かあの顔を永久保存する方法を教えろ!」


「これはいい幼女!」


「やべえ!小さい子でもいいやって気になってきた!」


「「「衛兵さん。変態はこっちです!」」」


 俺はこの日、この世界で生きて行く事を決意した。

 そして次の日の朝






 俺より5cm程高い身長ながらガリガリの体の為、幼く見える。

 背中まで伸ばした白い髪は艶があり普通に綺麗だ。

 肌は小麦色で髪とのコンストラクトがいい感じだ。

 胸は…俺よりあるんだよなぁ、栄養足りない癖に生意気な!頭にくるりと巻いた角とお尻にモフモフの尻尾がある以外は人と変わらんな。

 そんな獣っ子がこれから俺の奴隷になった。


「という訳で君の主人となりました。よろしくお願いね」


 俺はあの後自分のお金で宿を取った。

 フィリさんは号泣した。

 仕方ないよね、これは俺の我儘だし。

 二人で一泊銀貨十枚となんとかやり繰りして生活していく事にする。

 この世界の奴隷は魔法の墨で入れ墨を入れられるらしい。

 この子にも首の後ろに何かの紋章の入れ墨を入れられていた。

 マロンさんは今は奴隷ではないが昔奴隷だったらしい。

 現在奴隷中は黒色で奴隷開放後は青色になるそうだ。

 右腕の入れ墨はその名残で跡が残る為奴隷解放後も大変なのだ。

 この子も解放した後の事を考えると入れ墨のフォローの為に「ビーストファーム」で名医を作っているのでその医者を呼ばないといけないかもしれない…どの位時間が掛かるか謎だが。


「君は現在僕の奴隷らしいよ?僕には分からないけど知ってる人がそう言ってたし」


「はい。奴隷になったのは覚えているんですけど、貴方がご主人なのは何故でしょう?」


 小首を傾けて悩んでいる獣人の子。

 かわええなぁ…おっと意識が遠くなってた。


「君を攫った奴は悪人でね、俺が退治したからさ」


 えへんと胸を張る俺。

 胸はないけどね!


「はーそんなに強いんですか。私のご主人は。それなら私も安心です」


 …なんか奴隷になっちゃってるのに色々と軽いなぁ。

 まだちゃんと分かって無いのかな。


「それで名前を知りたいんだけど教えてくれる?」


 女の子は何故かうんうん言いながら悩んでいる。

 何を悩んでいるんだ?


「どうしたの?名前忘れたとか?」


 記憶喪失なのか?更にひどい人生だ。


「いえ。名前なんか無かったもので、どの源氏名を言うかと迷いまして」


 もっとブラックだったー!何という人生を歩んでいるのだ。

 生まれた時から奴隷みたいな感じだったのか…


「ノワール、エリザベス、マリア、パトラシア、ディアーナ、エルミーナ…他何があったっけ?」


 …何だこの子、どんな生活してたんだ?ちょっと不安になってきた。


「まぁ大体シロって呼ばれてました。髪が白いから」


 成る程、一番使われそうな名前だったんだ。しかし前の生活が気になるな。


「言いたくなければいいけどどんな生活をしていたの?」


 俺が上目遣いをするとシロは楽しそうに俺に教えてくれた。


「前の仕事場は娼館で花売り娘でしたよ。まだ客は取れませんでしたけどね」


 俺は頭を思いっきりぶつけたよ!壁はとても固かったよ!思わず自分に(ヒール)したよ!


「何でそんな所にいたんだよ!娼館でしょ?その仕事をしたかった訳じゃないでしょうに…」


 益々不安が大きくなる俺にシロは遠い目をして壁を見ながら呟いた。


「体を売るくらいしかあの街では仕事がなかったんですよ。男は女を買う為仕事をし、女は男に買われてその金で飯を食うような街でしたから…」


 …拝啓父さん母さん。

 この世界は世紀末のような世界かもしれません。

 少しだけこの世界に来た事を後悔しています。


「流石に今の話が全部嘘だなんて言わないよね?」


 駄目元でこれが夢でないか確かめてみる。


「ふふ。ご主人は可愛いですね♪」


 俺はこのガキの胸を思い切り揉んでやった。







 普通の奴隷は主人に嘘はつけないはずなのだがこの子は嘘をつける。

 これはかなりまずい事だろう。

 この嘘つき獣っ子は俺じゃなければ多分処理されるだろう。

 助けた以上責任を持つつもりだ。

 俺はシロの更生を誓いながらシロの為服屋に急ぐのであった。



 ぱっつんぱっつんの服しか着てないシロをつれ服屋に到着。

 あれやこれを買っていると中々のお値段になってきた。

 残り金額も僅かとなってきた為、今日はゴブリンを狩りまくらなくてはいけないだろう。


「ご主人は何でそんなにパンツを買い込んでいるんですか?」


「言わせんなよ。恥ずかしい。」









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