第13話課金ゲームのコラボは本当に多いよね。好きなキャラが弱いとへこむけど

シロを引き連れ冒険者ギルドに向かう。

俺の横を新しい服を身に纏ったシロが並んで歩いているんだけど全然周りの人を気にせず悠々と歩いている。

…おかしいな?ラノベだとご主人様がいないと歩くのも怖いとかそういう流れのはずなのにな…まぁ面倒がなくていいか。


「ご主人。冒険者ギルドでどんな仕事をするんです?」


気軽な感じで話してくるシロ。

今日は初日になるからやっぱ討伐系かな。


「ゴブリン退治のクエストを受けるつもりだよ。それしかした事ないし」


俺の言葉に動きが止まるシロ。

こっちを見て固まっている。

どうした?


「ちょ!ゴブリン退治なんて銅貨十枚程度ですよね?宿屋代だけでも銀貨十枚払ってたじゃないですか。ゴブリン10匹以上狩るなんて大変ですよ?」


焦りながら話をしてくるシロ。

でもゴブリンが一番楽なんだけどな。

勝手に寄ってくるし。


「ゴブリンなら昨日100匹以上狩ったから大丈夫だよ…絶滅する可能性があるか。ある程度残さないとご飯の種が無くなるな」


日本のうなぎみたく漁獲量が激減しても困るしな。

そんな事を考えているとシロに肩を掴まれ揺さぶられる。


「ゴブリン100匹って、ご主人はバーサーカーか何かですか!大体みんなで分けたらそれでも少ないですよ。もうちょっと現実的な考えで行きましょうよ」


奴隷に人生設計を言われる主人…周りの人も微笑ましそうに見るのはやめて下さい。男どもは頰を赤らめんな!


「私一人で100ぐらい狩れるよ。ってか狩った」


俺の言葉に青褪めるシロ。

やっぱり普通の事じゃ無いみたいだな。

今後ある程度シロにこの世界の事を教えてもらわないといけないようだ。


「なんてデンジャラスなご主人なんですか!夜もきっとデンジャラスなんですね。私の体壊れちゃう⁈」


馬鹿っ子獣を張り倒す。

朝から何いってんだこいつ!シロを引きずりながら冒険者ギルドに向かう…これ本当に大丈夫かな?


冒険者ギルドに入るといきなり二人の男に挟まれる。

何だ?俺何かしたっけ?シロは既に逃亡済みだ…後で尻尾を撫でてやる!


「ジルアちゃん。昨日は助けてくれてありがとう。護衛なのにやられた挙句命を助けられるなんて恥ずかしい限りだけとお礼を言いたくて…」


思い出した!昨日血塗れになってた人達だ!

…良かった、ちゃんと助かったんだな。

喜びで涙がでる。

涙腺もあそこもゆるゆるだな。


「良かった…一応魔法が効いたから助かったとは思ったけど本当に良かった…」


俺の言葉に二人も照れ臭そうだ。周りの人は…あれ?何か変だぞ?


「くそ!俺も護衛をしていればあの笑顔を貰えたのに!」


「あいつら後で訓練場行きだな…」


「某も護衛に戻りたいでござる」


…まぁそんな事もあるよね?二人共がんばって!


「私のご主人は男を虜にする魔性の女なんですね。これなら男に囲われて生きていけそうです」


ニコニコ顔のシロの後ろにそっと回る。

シロ知ってるか?人間ってやつはエロい事で進化してきた生き物なんだぜ?


「にょおおおおおおお⁈」


シロの尻尾を先から根本に逆に撫でてやる。

本来なら不快になるのだが力を微妙に変化させながら撫でるので気持ちが悪いのに気持ちが良いという訳の分からない事になる。

根元までいくと少し力を入れ今度は根元から尻尾の先っぽまで指を絡ませながら撫でていく。

これ尻尾だからノクターン行きじゃ無いよね?シロはその場で崩れ落ちる…ふぅ良い仕事をした。


「や、やべえあの幼女マジでやべえ!」


「フィリがあれ見て失神してるぞ!他の獣人達もやばい状態だ!」


「誰か担架を持ってこい!大至急だ!」


「俺の尻尾も撫でて欲しい…」


「「「衛兵さん。変態がいます!」」」


何だか冒険者ギルドがえらいことになったな。

仕方がないのでフィリさん以外の受付嬢の所までシロを引きずっていく。

受付嬢の顔が真っ赤だが、まぁいいか。


「すいません。これを冒険者にしたいんですが奴隷でも冒険者になれますか?」


受付嬢はハッとした表情から真剣になり、何か書類を確認している。


「はい。奴隷の方でもなれますね。注意事項がありますので今から説明いたします。まず奴隷の冒険者の方の報酬は主人に全て払われます。その中で報酬から既に税金が支払われているわけですが奴隷はその税金分が自分の解放の為の金額となります。ですので貴方がいつまでも奴隷を働かせようとしても奴隷の冒険者はいずれ解放されるという事です。仮に貴方がクエストを受け奴隷をタダ働きさせようとした事が発覚した場合、重罪の為貴方が奴隷になります。クエストを受ける場合は奴隷の方と一緒に受けて下さいね」


意外としっかりとしたシステムなんだな。

これならシロも安心だ…?何でそんなに不満そうなんだよ!⁈


「これは盲点でしたね。働いたら解放されるとは…ご主人。冒険者になるのはやめましょう。これではいつまでもご主人の元で気軽に生きていけなくなります」


…受付嬢も、冒険者達もドン引きだよ!何働いたら負けみたいな事言っちゃってるの?シロの老後までは俺の決意に入ってないよ⁈


「な、中々忠義心に溢れた奴隷の方ですね。ある意味感心します」


「これ忠義じゃないから!たかって生きて行くつもり満々なだけだから!」


俺と受付嬢の話を全く聞かず周りの冒険者から食べ物を恵んで貰い食っているシロを引き戻すと強制的に冒険者にさせる。

泣きわめくシロを水晶に触らせているとまるで予防接種に連れられて来た犬のようだ。


それで出てきたステータスがこれなんだが…




(名前)

シロ?

12歳 ♀


(種族)

半獣人(山羊族?)


(職業)

不正奴隷


(ステータス)

力 5

知力 30

魔力 10

敏捷力 99

生命力 99

幸運 99


(スキル)

スキル

・危険察知Lv8

・気配察知Lv8

・精神耐性Lv10

・苦痛耐性Lv10

・飢餓耐性Lv10

・頑強Lv10

・毒耐性Lv10

・礼儀作法Lv5

・回避Lv3


(称号)

滅亡した国の王女




…をぃ?何だこりゃ?受付嬢も固まってるぞ?何でシロはそんなに珍しそうに見てるんだよ?お前のステータスじゃねえか!


「ほーこれが私のステータスですか。中々面白い事になってますね。やっぱり死んだババァの言った通りですね」


うんうんと頷くシロを見ながら俺はシロと共に受付嬢にギルマスの部屋まで連れて行かれる。

この水晶に触っている人にしかこのステータスは見えないので連れて行かれるのだろう。


「もう!何でフィリが居ない時にこうなるのよ!私はオチ担当じゃないのよ!」


地が出ている受付嬢を見ながら俺はギルマスに何を言われるか頭が痛かった。










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