第15話昔課金ゲームにハマっていましてね。全部で幾ら使ったんでしょうねぇ…覚えていません
「悪いけどテンカさん。私に奴隷制度を教えてくれないかな?」
俺は二人の殺気を無視して話し始める。
テンカさんは怪訝な様子で俺の顔をを見るがどうやら教えてくれそうだ。
「奴隷制度っても簡単だぞ?借金奴隷、犯罪奴隷、不正奴隷の三つだ。借金奴隷はこのギルドにもいるが基本普通の人間と変わらん。借金返すまでギルドから逃げれないように括り付けているだけだ。
犯罪奴隷は国が管理してるな。犯罪者としてこの国に貢献させる為に奴隷にしている。要は殺すには惜しいから命を対価に言う事聞かせて国に貢献させる事で国の利益にしてるって事だ。
不正奴隷は意外と多い。奴隷商人が人買いで買われた人間を奴隷にする訳だが奴隷商人ってのは本人の同意さえあれば誰でも奴隷に出来るからな。本来は国が管理するべきなんだが…色々訳ありの奴隷商人もいてな、そういう奴隷商人が金以外の報酬で契約させた奴隷を不正奴隷という。例えば衣食住を与えるからずっと働けとかだな」
「不正奴隷は犯罪奴隷に近いって事ですか?」
「そうだな。そういう風に捉えられている。但し契約は契約だからな。そのままだ。解約されたりはしない。何故なら不平等な契約は結ばれないよう神様に管理されてるからな」
「最後に子供の奴隷は居ないんですか?」
「奴隷制度の契約書の中に15歳以下の奴隷契約は認められないように書かれているんだが…」
「おかしいですよね?彼女は12歳なのに契約出来てますよ?」
「そこがおかしいから拘束するんだ。お前も納得しろ!」
「だったら何で私が助けた時に拘束しないんですか?そっちの方がおかしいじゃないですか!」
「それは…そうだな。こっちの不手際だ。だがそれとこれとは話が別だ。自分を奴隷にするなんて聞いたことがない!」
「聞いたことがなくても神様がそれを認めているんですよ?それを反故にするんですか?神様に逆らうという事になりますが?」
「…なんか俺、お前に騙されてないか?シフォン。これどう思う?」
「確かに奴隷契約は神様に認められないと契約が成立しませんからね。それを前提とするなら確かに私達は神に逆らう事になりますね。」
「でも、何かおかしいよな?何でこんな事になったんだ?」
「ジルアちゃんとても口が達者みたいで…弁護士みたいですね…」
「これでシロの事は問題無いですね。それじゃあ武器を戻してください。これで問題解決です」
『それだと私が問題を起こしたらどうなるんですか?』
まさかシロから俺に言ってくるとはなあ…テンカさんと受付嬢のシフォンさんも俺の口八丁に気づいたようでこちらを睨んでいる。あぁ面倒くさい。
「それは分からないな。主人であるシロになら分かるかも知れないな?」
俺の言葉にニヤリと笑うシロ。分かってて言ってるよね?後が大変だよ?
『それだと今の私は貴方の奴隷ではないはずですね。ではここでお別れです。さようなら』
シロはそう言うとギルマスの部屋を出ようとする。
しかし、俺がシロの手を掴んで離さない。
『どういう事ですか?もう私は貴方の奴隷ではないはずですよ?関係ないじゃないですか。離してください』
シロはそう言って手を離そうとするが俺はがっちりと握っている。
俺はシロにニヤリと笑い返す。
「シロは嘘を言えないのに俺に嘘を言ったままいなくなるつもりか?それは駄目だろう?」
俺の言葉にシロは目を大きく見開くがすぐにいつものひょうひょうとした感じに戻る。やっぱこの表情は作り物か〜
「何を言っているんですか?貴方もここに来る前に気づいていたじゃないですか。私はこういう女なんです」
「やっぱり言葉には出来ないみたいだね。
違うならこう言ってよ。《私は嘘をつけます》ってね」
俺の言葉にシロは歯ぎしりを立てて睨んでいる。
いいねぇ、生の感情を出してくれるシロを見て喜んでいるとテンカが腑に落ちない様子で俺に尋ねてくる。
「あの子は自分が主人なんだから嘘をつけるんじゃないか?そうじゃないとわざわざお前を怒らせてまで出て行く事もないだろ?嘘がつけないなら黙っていなくなる方が簡単だし」
「それだと彼女は口にしていた言葉を曲げる事になります。それが嘘になるなら彼女は出ていけないはずです」
「曲げる事になるってどういう事だ?」
まだ分からない様子のテンカ。
何かがおかしいと感じ始めたシフォン。
そして青褪めているシロ…
「彼女はここに来るまで私の事を《ご主人》と呼んでいます。私が彼女の事を否定しない限り私は彼女のご主人です。私が主人である事を否定する言葉をしたら無効になりそうですけどね」
シロは涙を浮かべながら俺に叫ぶようにいう!
「だって!さっき私が私の主人である事を貴方は認めたじゃないですか!だったら貴方は私の何なんですか?言えないんですか?だったら貴方は私の「俺は君のご主人だよ?」
俺は口を挟んで最後まで言わせない。
もし彼女が俺の事を完全に否定したら嘘と認識されるかも知れないからだ。
「主人が二人いてはいけないなんて誰が決めたんだ?君が私の事をご主人と言うなら私は君のご主人だ。神様にすらそれは覆させない!」
俺の言葉にポロポロと涙を流すシロ。
はっきり言って俺の言ってる事はゴリ押しで自分の事しか考えていない我儘な事かも知れない。
それでも、無意識でもシロが俺をご主人と呼んでくれるなら俺はシロのご主人でありたい!
…そんな時シロが光りだす!何だ?その光はシロの胸から溢れ出している。
シロの服はその光に破られ、その胸に見たことのない紋章が見える。
そしてその光が収束しだして俺の胸を指し示す!その光が薄れだしついには光が消えた時、俺の服も破れており俺の胸には見たことのない紋章が刻まれていた。
「マジ…かよ?主人である印が同時に二つ存在する…だと?いや違う!主人の紋章が二つに割れたのか!」
テンカの言葉に俺は自分の胸とシロの胸にある紋章を見比べる。
それは割れたハートが一つずつお互いにあるかのように対称的な形だった。
「な、何で貴方が私のご主人になっちやったんですかーーー‼︎」
彼女は驚き、泣き、そして喜んだ顔で俺を見ている。
俺は笑いながら神様に感謝してシロに答えてやる。
「それはシロが俺をご主人と認めちゃったからじゃないかな。それとも神様が俺の頑固さに呆れてご主人にしちゃったのかも知れないな」
俺の奴隷はどうやら俺を主人と認めたようだ。
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