episode3 つかみどころのないカノジョ 空蝉
☆
一度だけ逢った空蝉と付き合いたい、せめてもう一度逢いたいと思う源氏は空蝉の弟を味方に屋敷を訪れますが、空蝉には逃げられてしまい、恋は成就しませんでした。
【超訳】空蝉
源氏17歳
―― もう一度空蝉のもとへ ――
引き続き空蝉サンとのお話。なんとかして空蝉にもう一度逢いたい源氏の君なんだけど、空蝉は会ってくれなくて、味方に引き入れた空蝉の弟の小君に愚痴をこぼすの。
「おまえのネーサン、なんでこんなに落ちねぇわけ?」
一方の空蝉も源氏がしょげて帰って行くのを申し訳ないわって思っていたみたい。手紙もこなくなったからきっとあきらめてくれたんだわって。でもこのまま忘れ去られるのも寂しいわ、けれども強引に口説かれるのも困るわ、だからこのへんで区切りをつけるべきなんだわって自分に言い聞かせているみたいなの。
源氏も空蝉が自分を相手にしてくれないからヒドイ
「忘れようと思ったって忘れられないんだ。小君、またお姉さんに逢えるように段取ってくれない?」
まだ子どもの小君相手にしょっちゅう愚痴っているの。でも小君は天下の光源氏が自分を頼りにしてくれているのがとっても嬉しかったの。
紀伊の
空蝉はそれほど美人ではないけど、振舞いが慎ましやかで雰囲気美人といった感じなの。反対に軒端荻は影のない明るいカンジで美人タイプでこれまたいいかもな、と源氏は思っちゃうの。
―― 蝉のぬけがらのように ――
夜も更け、皆寝静まったの。空蝉は軒端荻と一緒に横になっているけど、源氏のことを想うと眠れないみたいなの。そんなところに香りが漂ってくるの。一度だけ嗅いだことのあるそのかぐわしい香り。近くに源氏が来ていることを察知して空蝉は衣を一枚脱ぎ置いてその場を立ち去ってしまうの。
部屋にやってきた源氏はなんとなくこの前とは違うなって思うんだけれど、眠っている人を起こすの。そこでその人が空蝉でない人で、空蝉が逃げたことに気づくのよ。
でもまさか間違えましたとも言えず、結局朝まで軒端荻と過ごして、空蝉が脱いでいった衣装を持って源氏は二条院に帰ったの。
―― 空蝉のこころ ――
空蝉が立ち去るときに残していった
「こんなに嫌われているなんてな。もうさ、俺なんて伊予の介なんかよりツマラナイ男なんだよ」
源氏は小君相手に文句を言ってから、持って帰ってきた小袿を抱きしめて眠るの。
しばらく目を閉じていたけれど、
~ 空蝉の 身をかへてける
(キミは蝉が殻をぬけるように小袿だけを残していったけど、それでもキミのことが懐かしいんだ、恋しいんだよ、忘れられないんだ)
軒端荻にも何か書こうかと思ったけれど、結局何も書かなかったの。一晩一緒に過ごした軒端荻には文を書かないで、一緒に過ごせなかった空蝉に文を書いた源氏。
「ホントになんてことしてくれるのよ」
文を持って行った小君はこちらでも姉の空蝉からもお小言を言われるの。
「返事はありません。あるわけないでしょう」
そう言って小君を二条院に帰した空蝉だったけれど、こころのなかでは、結婚していない娘の頃ならどんなにときめいたかしら、って思っていたの。
源氏からいただいた文の紙の端に、
~ うつせみの 羽に置く露の 木隠れて 忍び忍びに 濡るる袖かな ~
(本当の気持ちは誰にも言えないわ。わたしもひそかに、涙で袖を濡らしているなんて)
こんな歌を書いていたんですって。
……、やっぱり好きになっていたのね。
◇人妻、空蝉サンとの恋のお話。空蝉サンの夫が自分より身分が低いからか略奪愛だというのにやけに大胆な源氏の君。若さゆえの勢い? ですか?
~ 空蝉の 身をかへてける
源氏宰相中将が空蝉を想いつぶやいた歌
~ うつせみの 羽に置く露の 木隠れて 忍び忍びに 濡るる袖かな ~
空蝉が源氏を想って密かに詠んだ歌
第三帖
☆☆☆
【別冊】源氏物語のご案内
源氏物語や平安トリビアについて綴っています。
よかったら合わせてご覧くださいね。
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