episode2 男子会の恋バナ 帚木
☆
17歳に成長した光源氏の恋物語。憧れの人との恋はうまくいかないので、いろいろな女子と付き合っています。男子同士の恋バナも盛り上がったようです。
【超訳】帚木
源氏17歳
―― 雨夜の品定め ――
源氏の君は成長して17歳になっていたの。そのイケメンぶりと仕事の評判は宮中でも有名だったわね。結婚した葵の上との夫婦仲はあまりよくないんだけれど、他のオンナ遊びが派手というわけでもないの。(当時は一夫多妻制)憧れの藤壺の宮さま(父帝のお妃、源氏のお母さんではない)への恋心は禁じられた関係だから進められないしね。
宮中には
ある雨の夜、夜勤の彼らは女の子の話を始めたの。男子会の恋バナね。欠点などをお付きの女房達がカバーしてしまっている上流階級の姫よりも、そのままの性格がよくわかる中流階級の女子の方が実はいいんじゃね? などと頭の中将が話し出すから源氏も興味を持ったのね。他の男子ふたりも混じってどんなコが好みのタイプか話は盛り上がったみたいね。
◇これが物語でも有名な「雨夜の品定め」ね。まぁ、いつの時代の恋バナも変わらないわね。男子も、女子も。
―― 頭の中将の恋バナ ――
「あるバカなやつの話なんだけどさ」
と頭の中将が話を始めたの。
身分のそう高くない女性とつきあうようになったんだよ。
そんな頭の中将の話を聞きながら夜は更けていったの。
◇男子4人の恋バナ大会。それはそれは盛り上がったみたいだけれど、ひとりだけ冷めたヤツが。そう、源氏の君。自分が辛くて叶わない恋をしていたから、他のヤツの恋バナなんてどうでもよかったみたい。だからといって、自分のその恋バナは誰にも話せないしね。誰との恋かって? episode1で憧れたあの方よ。
―― 空蝉との一夜 ――
この時代は占いや陰陽道なども信じられていて、その日は源氏の君は方角的に葵の上の家には行ってはいけない日だったのね。
そこである貴族のお屋敷に泊めてもらうことになった源氏は他にも今日そこに泊まっている人達がいることを知るの。
女性達の話し声が近くの部屋からしてくるから、こういう人たちが昨日頭中将たちが話していた中流階級の人たちなのかと思ったらしいの。
お屋敷の主の
「そんな若い女性がキミの継母なの? ちょっと可哀想だね」
そんな風に源氏は紀伊の守をからかうの。
寝付けなかった源氏は話し声が聞こえていたあたりの部屋へ行ってみるの。
「お客様はお寝みになられたの?」
「お寝みになられたよ。評判の方を見たんだ。ほんとうに美しい方だったよ」
姉弟で話をしているみたいで、さっき話に出た伊予の介の後妻とその弟だってわかるの。少しのあいだ話をして弟は別の所に寝に行ったの。
「中将はどこかしら?」
ひとりになった女性が女房(女性の召使のこと)を探しているみたい。
「中将を呼んだのは俺の気持ちが通じたからなんだね」
源氏中将がそう言って寝室に忍び込むの。
「俺はね、ずっと前からキミのことが好きだったんだ。やっと逢えた」
そんな風に源氏は彼女を口説くけれど、彼女は驚いて抵抗しようとするの。
「出来心じゃないんだよ。俺の気持ちを聞いてほしいだけなんだ」
源氏は彼女を抱き上げて連れていこうとすると、さっき彼女が探していた女房の中将が戻ってくるの。彼女を抱き上げている男性が源氏だってすぐにわかるんだけれど、大騒ぎしては彼女の不名誉になるし、女房ひとりでは源氏の行動を止められないの。
「夜明けにお迎えに来て」
源氏は女房にそう言って襖をしめてしまったの。
ふたりきりになると源氏は女子なら誰でもトキメクような胸きゅんコトバで彼女を口説くんだけれど、彼女の態度は頑ななの。
「私のような低い身分の女は何をしてもいいと思っていらっしゃるのね」
でも結局、ふたりは一夜を一緒に過ごしたの。
―― 空蝉の悩み ――
この女性が伊予の介の後妻の
「ずっと前からお姉さんのことが好きだったんだ」
「そうだったんですか? 知りませんでした」
そりゃそうよね。ずっと前からなんてウソであの夜初めて出会ったんだもんね。
「だからさ、俺に協力してくれる?」
「はい!」
まだ子どもの
~
(いると思って近づくのに、見えなくなってしまうから、キミの心を奪えなくて困っているんだ)
空蝉にしてみても、一時の勢いで過ちを犯してしまい、なかったことにしてしまおうと必死だったのね。人妻だしね。そうはいってもやっぱりイケメンで有名人の源氏の君が熱心に口説いてくるのに少しはときめいたんだけれど、そこは流されないように自制したの。
~ 見し夢を 逢ふ夜ありやと 歎く間に 目さえあはでぞ 頃も経にける ~
(夢が叶ったあの夜からまた逢いたいって想っていて、眠れない夜を何日も過ごしてるんだ)
源氏は目も眩むほどの美しい手紙を小君に持たせてお姉さんのところに行かせるけれど
「こんなお手紙をいただく人はここにいませんって言っておいて」
空蝉は小君にそう言うの。
何度ラブレターを贈っても返事も来ないので、源氏はまた口実を見つけて空蝉の元へと行こうとするんだけれど、あいかわらず空蝉は頑として拒むからキューピット役の弟の小君も困っちゃったみたいね。
◇年頃になった源氏の君の恋バナの章ね。(一部は頭の中将や他の方の恋バナ)奥さんの葵の上はあいかわらず冷たい態度だし、憧れの藤壺の宮さまには逢えないし、いろいろな女の子と遊んでいたというところかな。身分も高く、イケメンで、若くてモテモテだったから「俺が口説いて落ちないオンナなんていないだろ?」くらいの勢いだったでしょうね。空蝉サンとの一件なんかを見ているとね。
~
源氏宰相中将が空蝉に贈った歌
第二帖
※帚木 遠くから見れば箒を立てたように見えるが、近寄ると見えなくなるという伝説の樹。それになぞらえて、近づいても逢ってくれない人、逢えそうで逢えない人の喩えに使われた。
☆☆☆
【別冊】源氏物語のご案内
関連するトピックスがあります。よかったらご覧になってくださいね。
「雨世の品定め」で源氏を除く男子3人が好き勝手に語っています♬
好きな女の子のタイプってどんなよ?
https://kakuyomu.jp/works/1177354054881765812/episodes/1177354054881766179
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