episode20 男女の友情は成立する? 朝顔
◇朝顔ざっくりあらすじ
源氏と源氏の
その後源氏は紫の上に今まで付き合った女性の話をします。そのせいなのか、その夜源氏は女院(藤壺の宮)の夢を見ました。
【超訳】朝顔
源氏 32歳 紫の上 24歳
明石の君 23歳
―― 文通相手の朝顔の君 ――
源氏の従姉である朝顔の君のお父さん、
朝顔の君は叔母の女五宮(桐壺院の妹)と同じお屋敷に住んでいるの。女五宮は源氏にとっても叔母さんなので様子を伺いに行く口実で屋敷を訪ねるの。女五宮のお姉さんは葵の上や頭中将のお母さんの大宮さまなのね。
「お姉さまはあなたの孫(夕霧)を育てていて羨ましいわ。ここの兄(亡くなった桃園式部卿宮)もあなたを婿にって願っていたけれど叶わなかったわね」
女五宮さまはそう言うの。故桃園式部卿宮は娘の朝顔の君と源氏を結婚させたかったのね。源氏も朝顔の君のことが好きでアプローチしていたんだけれど、ずっと朝顔の君に恋人関係になることを拒まれているの。
女五宮さまとの面会のあとで源氏は朝顔の君のお部屋に行くの。朝顔の君と会うときはいつも女房が彼女のかわりに話をしたりしてとってもよそよそしいの。源氏はもちろん好きで恋人になってほしいと思っているんだけど、朝顔の君はOKしてくれないのよ。でも手紙のやりとりはしてくれて完全に拒否されてるってカンジでもないのね。
手紙の内容は素晴らしくて、女院(藤壺の宮)や六条御息所が亡くなった今となっては高貴で才能のある女性はこの人しかいないなぁって源氏は思うの。若くもないからそろそろ落ち着かなきゃいけないんだけど、昔から好きで、けれどもうまくいかない朝顔の君に源氏は何度も手紙を送るのよね。
~ 見し折りの つゆ忘られぬ 朝顔の 花の盛りは 過ぎやしぬらん ~
(昔会ったキミのことが忘れられないんだ。俺の朝顔はまだ咲いているの?)
~ 秋果てて 霧の
(秋が終わって霧がたちこめる垣根でしおれていて、そこにあるのかないのかわからないような朝顔が今のわたくしよ)
朝顔の君と一緒に住んでいる叔母さま(桐壺院の妹)もいいご縁だから源氏と結婚したらいいわ、と勧めるの。そんな噂は紫の上にも届くのね。また新しい人が加わるの? って紫の上は戸惑うの。源氏は紫の上に朝顔の君の話はしていないの。
紫の上は結婚以来、誰もが認める「源氏の最愛の人」だったんだけど、自分より身分が高い朝顔の君と源氏が結婚したら彼女が正室になっちゃうんじゃないかと心配するの。葵の上が亡くなってから「正室」はいなかったのね。きっと源氏は自分のことを捨てたりはしないんだろうけど、それでも愛情は薄れちゃうんじゃない? って落ち込んじゃうのね。
―― 朝顔の君の決断 ――
ある雪の日に源氏は朝顔の君の叔母さまのお見舞いに出かけると紫の上に言うんだけど、紫の上は返事もしないの。
「なんか、機嫌が悪いんだね。あんまり一緒にいすぎるのも見飽きるんじゃないかって思うから出かけてるんだよ?」
源氏は紫の上にそう言うの。
「見飽きられてるのはわたしでしょ?」
紫の上を怒らせているって源氏は焦るんだけど、相手先との約束もあったから出かけたの。
叔母さまへのお見舞いを終えて源氏は朝顔の君の部屋へと行くの。雪降る中の月明かりで淡く美しい夜なの。もう結婚の望みがないのならはっきり伝えてほしいと源氏は言うの。朝顔の君は若いころに父親の桃園式部卿宮が源氏との縁談を勧めたときにもお断りしたのに、結婚適齢期をすぎた今はとてもお受けできませんと伝えたの。
~ つれなさを 昔に懲りぬ 心こそ 人のつらさに 添へてつらけれ ~
(昔からフラれっぱなしだったけど、キミのつらい想い出にしか俺は加わらないんだな)
そんな源氏の歌に女房はあんまりにもお気の毒だからと朝顔の君に返歌をお願いするの。
~ 改めて 何かは見えん 人の上に かかりと聞きし 心変はりを ~
(他の人は気が変わるなんてことも聞くけれど、わたくしの心は変わらないのよ)
そんな返事を受けて想いがかなわず帰って行く源氏を女房たちは「もったいないっ!」って残念がるの。けれども朝顔の君は多くの源氏の恋人たちが体験している源氏の惚れやすさに悩まされたくなかったのね。決して源氏のことはキライではないのよ。源氏の人柄を素敵だと思っているんだけど、他の人みたいに源氏の見た目を好きになったと誤解されるのが嫌だったんですって。友人同士として手紙のやりとりをしたり、会ってお話をしたりするお付き合いをしながらそろそろ出家する準備もしていきたいと思っているみたいね。
―― 二条院にて ――
朝顔の君のお屋敷から二条院に戻ってくるとやっぱり紫の上のご機嫌が悪いの。
「朝顔の君のことで拗ねているんだったら誤解だよ? 彼女とはそんな関係じゃないんだよ。手紙のやりとりだけでそれ以上は進まないんだよ。そういう関係じゃないからいちいちキミに言わなかったんだよ?」
そう言って1日かけて紫の上をなだめたの。紫の上の髪をなでているふたりの姿は絵に描きたいほどの美しさだったらしいわよ。
夕暮れになってもまだ源氏は紫の上のご機嫌を伺っているの。雪の積もった庭が美しいからと源氏は御簾を巻き上げさせるの。月の光が照らす庭を眺めながら源氏は紫の上に今までの女性の話をするの。女院のこと、朝顔の君のこと、朧月夜のこと、明石の君のこと、花散里のことなどをね。
「女院(藤壺の宮)はカンペキな貴婦人だね。キミは血がつながっている(叔母と姪の関係)だからよく似ているよ。(キミは)ちょっと嫉妬深いけどね」
「朝顔の君は最高の文通相手なんだ」
「朧月夜は優美で綺麗だね。俺のせいで悪いことをしたと思ってる」
「明石の君は身分以上に貴婦人なんだ」
「花散里は若い頃からずっと一緒だけど、この先も離れ離れにはならないだろうね。心から愛しいと思えるね」
そんな話をしているうちに夜は更けていったの。
―― 夢の中での再会? ――
するとその夜源氏は女院の夢を見るの。女院さまが
「誰にも言わないって言ったのにどうしてしゃべってしまったの? (紫の上に話してしまって)お恨みするわよ」
っておっしゃるの。
目が覚めて夢だと気づいたあとも「(女院に)せっかく会えたのに」「夢の中でいいからもっと逢っていたかった」と源氏は涙を流すの。紫の上はいったいどんな夢を見ていたの? と不安になるのよ。紫の上に女院と自分の罪の関係までは話していないんだけど、女院は自分とおかした罪のせいで亡くなっても成仏できていないのかと源氏は悲しんで、お念仏を唱えたんですって。
◇唯一といってもいいかしら。源氏に落ちなかった朝顔の君のおはなしです。源氏のことは好きだけれど、大勢の女性の中で源氏を取り合うようなことをしたくない、他の人にツライ思いをさせてくもないし、自分もしたくない。風流な手紙のやりとりをする良き友人でいたい。
男性に好かれて求められて受け身で生きていくのが定番であったであろうその時代に流されず自分で生き方を探し求めたお姫様ですね。
後半は今までの恋バナを紫の上に語ります。夢に女院が出てきたので供養をします。紫の上は自分以外にも恋をしてしまう源氏にストレスを感じていますね。
~ 見し折りの つゆ忘られぬ 朝顔の 花の盛りは 過ぎやしぬらん ~
源氏大臣が朝顔の君に贈った歌
~ 秋果てて 霧の
朝顔の君が源氏大臣に贈った歌
第二十帖 朝顔
☆☆☆
【別冊】源氏物語のご案内
関連するトピックスがあります。よかったらご覧になってくださいね。
topics12 平安女子ってフクザツだ
https://kakuyomu.jp/works/1177354054881765812/episodes/1177354054884307479
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます