topics12 平安女子ってフクザツだ

 第20帖 朝顔(【超訳】源氏物語episode20 男女の友情は成立する?)に寄せて


 この第20帖の主なお話は朝顔の君のお話です。唯一源氏くんをフッた姫君。孤高の姫君です。


 そりゃ、いていいと思いますよ。いるでしょうよ、そんな姫君だって。いくら超ハイスペックイケメンだってフラれることもあるでしょう。いつもいつもアナタの思い通りにいくとは限りませんしね。

 とはいっても、朝顔の君は源氏くんの人柄には惹かれていたし、和歌のやりとりなどは「ウマが合う」関係だったと思うのです。カクヨム風に言えば、お互いの作風に惹かれていて作品のフォローはお互いしているカンジ? 

 でも源氏くんの「恋多き病」がネックだったのです。目の前では自分を愛して尽くしてくれるけれど、他の女の人のところに行ってしまう。それに自分が源氏のオクサマに加わって他の方に嫌な思いもさせたくない。だったら恋人や夫婦という恋愛感情じゃなくて友人関係でいたいの、と。


 源氏物語には珍しく? 男女の友情のお話です。必ずしも男女間に恋愛感情が必要じゃないと思うし、LOVEじゃなくてLIKEの感情の異性だっていると思います。それもLOVEの関係が上でLIKEの関係が下ということではなく。確かにLIKEからLOVEに発展したりとか、逆にLOVEにはならないLIKEもあるでしょうけれど、最上級のLIKEを極める関係というのもアリだと思うのです。朝顔の君が望んだのもそんな関係じゃないかなぁと。最近そういう「最高の異性の友達」ってとても素敵な関係だなとしみじみ思います。

 ただねぇ、脳内LOVEの在庫しかない源氏くんには朝顔ちゃん哲学は理解しづらいのかもしれませんね(笑)。仕方なく受け入れましたけれどね。

 朝顔の君の考え方は現代のワタシたちにはとても共感しやすいですよね。平安時代には特異だったかもしれません。



 それからこの帖では源氏が紫の上に自分のカノジョのハナシをします。というか紫の上が上手に誘導尋問するのですが。


「女院(藤壺の宮)さまは品があってまさにカンペキ女性だね」

「キミは(女院さまに)よく似ているけれど、少しやきもち焼きなんだよね」

「朝顔の君は(女院さまとは)全然性格が違うけど、最高のオンナ友達」

「朧月夜はね、超美女サンなんだ。悪いことしたと思ってる」

「明石の君は身分以上に貴婦人なんだ。ちょっとプライドが高いけれどね」

「花散里は長いつきあいだけれど、愛すべき人なんだ。あんなにつつましい人はいない。別れ別れになることなんて有り得ないよね」


 まあ、なんというか……。

 こんなハナシ、紫の上お聞きになりたかったのかしら?

 

『あさきゆめみし』では

「こんな話キミにしかしないよ、紫の上」

 なぁんて紫の上に語りかけますが、原文にはそんな記述はナシ。


 つらつらと現在進行形もしくは過去形の元カノや現カノの話を妻に聞かせる。あげくその夜眠ったら憧れの女院が夢に出てくるんだけど、起きたら女院はいない、もっと夢を見ていたかったと泣く。もしかして女院は成仏できてないの? とお経を唱えて女院の供養をする。


 なんなんでしょう。

 どうしたもんでしょう。


 結局この20帖は

①源氏、朝顔の君にフラれる

②源氏、紫の上に拗ねられる

③源氏、今までのカノジョの話ご披露

④源氏、夢に女院が出てきたから、女院の供養をする


 といったところでしょうか。


 なんだか全編紫の上が可哀想と思えるのはワタシだけでしょうか……。


 

 平安女子はタイヘンすぎてフクザツです……。



☆【超訳】源氏物語のご案内

関連するエピソードはこちら。よかったらご覧になってくださいね。


episode20 男女の友情は成立する?  朝顔

https://kakuyomu.jp/works/1177354054881684388/episodes/1177354054882989339

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