episode43 匂宮は梅がお好き 紅梅
◇
亡くなった柏木の弟である紅梅大納言の一家の様子です。内大臣(元頭中将)家を継いだ紅梅の娘たちは貴族たちの関心の的のようです。
【超訳】
薫 24歳 匂宮 25歳
―― 紅梅一家 ――
再婚相手は髭黒の娘の
娘たちが結婚適齢期になったので、紅梅は長女を東宮に入内させたの。(友人でもある夕霧の長女も入内している)真木柱も自分の産んだ子供ではないけれど、分け隔てなく面倒を見てあげていて、長女の入内に宮中まで付き添ってあげるの。紅梅は二女は匂宮と結婚させたいなぁって考えているみたい。匂宮は紅梅の息子(真木柱の産んだ子)をとても可愛がっていてあわよくばお姉ちゃんとつきあいたいなぁなんて思っているらしいの。それを若君がお父さんに伝えると紅梅は大喜びするのよね。
―― お姉ちゃん違い ――
長女が入内したので大納言の家では二女と宮の御方が寂しがっているの。今までは3人姉妹で仲良く暮らしていたみたい。真木柱の娘宮の御方はとても恥ずかしがり屋さんなんだけど性格は明るくて愛敬があったの。紅梅も真木柱に「自分の娘と同じように結婚の世話をするからね」って言ってあげるの。宮の御方のところに行った紅梅は琴の演奏をリクエストするんだけれど、弾いてもらえないの。そこに御所に出かける若君がやってきたので庭の紅梅の枝を切らせて匂宮へのお土産用に若君に持たせるの。
~ 心ありて 風の匂はす 園の梅に まづ
(ウチに来てほしいと願って梅が香っているのに、鶯(匂宮)が来てくれないなんてことはありませんよね?)
若君は御所で匂宮に梅の枝を届けるの。色も香りも素晴らしい梅のようね。匂宮は小さい頃に祖母の紫の上と約束したからか、梅の花が特に好きなんですって。匂宮は気になっていた紅梅の長女が兄の東宮妃になってしまって残念だったんだけど、今度は同じ紅梅の娘の宮の御方が気になっているの。
匂宮への手紙で紅梅は二女との結婚を匂わせるようなことを書くの。匂宮も少し気持ちは揺らぐけれど、気になっているのは宮の御方なのよね。でも当の宮の御方は結婚なんて考えられませんってカンジなのよね。
~ 花の香に 誘はれぬべき 身なりせば 花のたよりを 過ぐさましやは ~
(身分が軽かったなら花の香りに誘われてみるんだけれどね)
そんな返歌で二女とのことはやんわりと断るのね。匂宮自身は宮の御方と付き合いたいってお使いの若君経由で伝えてくるの。
紅梅と真木柱は夫婦で匂宮と薫の話をするの。
匂宮がオシャレな香りを焚き染めているから息子にも香りが移るね、
それにしても匂宮には梅の香りがよく似合うね、
薫はそういう人工的な香りじゃなくて彼自身からいい香りがするんだよね、
一体どんなすぐれた前世の因縁で生まれた人なんだろうね、
そんな風にふたりのことをウワサしているみたい。
宮の御方自身は匂宮の気持ちを知らなくはないんだけれど、結婚は考えられないみたい。
世間的には宮の御方はお父さんの蛍兵部卿宮が亡くなっているから、紅梅の実の娘の二女に求婚してくる男子の方が圧倒的に多いみたい。でもみんなからは関心を寄せられない宮の御方に匂宮はますます盛り上がっちゃうんですって。
お母さんの真木柱は夫の紅梅は二女と匂宮を結婚させたがっているし、匂宮は他のコにも気があるらしいってウワサが聞こえてくるので、娘(宮の御方)の結婚相手として匂宮はよくないんじゃないかしらって悩んでいるみたいね。
◇亡くなった柏木の弟の紅梅一家のお話ですね。夕霧もそうでしたが、年頃の娘を持つ親は皆薫か匂宮と結婚させたいようですね。
~ 心ありて 風の匂はす 園の梅に まづ
紅梅大納言が匂宮に贈った歌
第四十三帖 紅梅
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