episode27 恋の炎の行方は? 篝火
◇
源氏は玉鬘との恋人のような親子のような奇妙な関係を続けています。若い公達は玉鬘のことが気になって仕方がありません。
【超訳】篝火 玉鬘十帖
源氏 36歳
玉鬘 22歳
夕霧 15歳 柏木 20歳
―― ビミョーな関係 ――
内大臣のところの近江の君のウワサはよくないものばっかりだったの。実の子だとわかったとたんに深くも考えずに呼び寄せておいて、思ったとおりではないからといい加減な扱いをする内大臣の白黒はっきりした性格もどんなものかと源氏は思っているの。
ウワサは玉鬘にも届いていて、もし自分が内大臣のところにいれば同じような目に遭っていたかと思うと、源氏に引き取られたのはよかったのかもしれないわと思っていたの。源氏が言い寄ってくるのは少し困るんだけど、だからといってムリヤリどうこうしようとはしないし、愛情は感じられるから近頃は玉鬘も安心していたの。
秋になっても源氏は相変わらず玉鬘のところに行っては、恋人のような親子のような不思議で中途半端な関係を続けていたの。琴を聴きながら玉鬘に寄り添っていた源氏は、夜も更けてきて周りも怪しむから帰ろうとしたんだけど、消えかかっている庭の篝火を焚きつかせて今の気持ちを歌に詠むの。
~ 篝火に たちそふ恋の 煙こそ 世には絶えせぬ ほのほなりけれ ~
(篝火と同じみたいな俺の恋の炎は永遠に消えない心の炎なんだよ)
「いつまでこうしているんだか。想いはくすぶってるのに」
なんともストレートな恋の歌に玉鬘は見事に返歌でかわしたの。
~
(それなら空に消してしまってくださいな。篝火の煙と同じものなんでしょう?)
「わかったよ。帰るよ」
源氏が帰ろうとすると、東の棟からは合奏の音が聞こえてくるの。夕霧が柏木たちと演奏しているらしいので、こちらへと来させるの。
源氏も琴を弾いて夕霧が笛を吹くの。すぐ近くに玉鬘がいる(姿は見えません)かと思うと柏木は緊張してしまって歌うのも戸惑っちゃうの。源氏は柏木に琴を担当させようとするの。お父さんの内大臣が琴の名手で柏木も同じくらい上手なはずなんだけど、やっぱり今夜は緊張していて遠慮気味に少し弾いただけだったんですって。
◇恋の炎のお話です。結婚相手を探しながらも、自分も恋の歌を詠んでしまう。源氏の心境は複雑です。恐らく自分でもどうしたいのかわからないのかもしれませんね。
玉鬘も上手に源氏をかわせるようになってきていますね。とはいえ源氏との親子以上恋人未満のような関係性を受け入れつつあるようにも見えますね。こちらの心境も複雑ですね。
~ 篝火に たちそふ恋の 煙こそ 世には絶えせぬ ほのほなりけれ ~
源氏大臣が玉鬘に贈った歌
~
玉鬘が源氏大臣に返した歌
第二十七帖 篝火
☆☆☆
【別冊】源氏物語のご案内
源氏物語や平安トリビアについて綴っています。
よかったら合わせてお楽しみくださいね。
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