第165話

「私はこうなって……初めて気付いたの。克樹の苦しみに。克樹は心からお姉ちゃんを、江見佑里を愛していた。

まだ中学3年の幼い恋だったけど、克樹には初めての本気の恋だった。佑里を突然の事故で亡くして、克樹はずっと佑里を忘れる事が出来なかった。その気持ちが今なら分かる。私も無理だから。克樹以外の人なんて考えられない」

もうとっくに昼休みは終わっていたが、彩加も伶奈もサボりを決め込んでいた。屋上に全く人の気配はない。

「岩崎君の事も……?」

不意に伶奈が口を開く。

「璃来……?」

彩加はゆっくりと伶奈の顔を見る。

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