第44話

バレンタインが来た。

野球部の部室では部活の後、彩加と松下伶奈がそれぞれ部員達に用意していたチョコを手渡していた。

「私達2人より愛を込めて!」

「ありがとう!」

部員達は感激している。

20人以上いる部員達全員にチョコを買っていたのでは完全に予算オーバーなので、2人は手作りのチョコカップケーキを用意していた。もちろん彩加にも伶奈にもそれぞれ本命がいた。


……部員達が帰って、部室の中には克樹と彩加の2人だけになっている。

「馬場ちゃん。これ、受け取って下さい」

彩加は既に制服に着替えている。

克樹は練習用のユニフォーム姿のまま、ロッカーの前に立っていた。

「チョコならさっき貰ったよ」

「それはマネージャーとしての私と伶奈から。これは……私から克樹に」

彩加は高まる動悸を抑える事が出来ずに俯いている。

彩加はおずおずと赤いチェックの箱を克樹に差し出した。


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