第124話

「母さん……」

克樹はベッドを起こして持たれていた。

「何?」

「訊きたい事があるんだけど」

「どうしたの?」

母親は柔らかな目で息子を見ている。

「あの、彩加さんは……俺の何?」

「え?」

「毎日、お見舞いに来てくれるから……もしかして、俺付き合ってたの?」

「克樹。あなた、彩加ちゃんの事が好きなの?」

母親は穏やかに息子に訊いた。

克樹は黙って首を振る。

「もし……俺の彼女なんだとしたら、彩加さんは俺にとって大事な人だよね。それなのに、何も覚えていないなんて……!」

克樹はそのまま頭を抱えてしまう。

「克樹……!」

母親はしっかりと克樹を抱きしめた。

「自分を責めないで……!少しずつ思い出せばいいの」

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