第25話

その頃、ちょうど部活を終えた彩加が校門に向かって歩いて来た。

そして正門の前に立っている克樹と杏奈を見たのである。

「こんばんは」

杏奈が彩加に挨拶する。

「確か……花崎高校の。前に合コンで会ったって言う……」

彩加は戸惑いながら杏奈を見ている。

「佐久間杏奈です」

「どうして此処に?馬場ちゃんに何か用なの?」

彩加の目が知らず知らずのうちに強くなっている。

「彼女なんだ。前に言わなかったか?」

克樹はそう言って彩加を見る。

「そうか……!思い出した。佐久間さん!」

彩加は明るい笑顔になると、ポンと手を打った。

それでその場は収まった。

だが杏奈は先程彩加が見せた目が気になっていた。

あの人……克樹が好きなんだ。

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