第57話

克樹はずっと目を閉じていた。

図書館の中には、既に学生の姿は殆どない。この図書館の閉館時間は午後9時だ。部活の終了後に克樹は図書館で宿題を片付けていた。

和泉先輩……

その悔しさが克樹には痛いほど分かる。でももっと辛いのは星崎先輩だ。

中学時代からのバッテリーで一緒に試合に出られない。

でもそれは俺も同じだ……!

中学時代からのバッテリーを組んでいたキャッチャーの原沢透と一度も試合に出られない。

俺だって透と一緒に甲子園に行きたい!

いつの間にか克樹のノートを書く手は止まっている。

星崎先輩はいい人だ。

決して嫌いではない。

でも透とは中学時代からのバッテリーで共に励まし合って来た仲だ。

……克樹、星崎先輩とバッテリー組めよ。俺は悔しいけど、先輩には敵わない。

原沢透の言葉が克樹の中に蘇る。


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