第12話

2学期に入ってすぐの事である。

野球部の練習が終わった後で校門の前を通った時、璃来が待っていた。

「彩加」

「岩ちゃん、どうしたの?」

「ちょっと話があるんだ」

「うん」

2人はもう人気のない校内に入って行った。

校舎の影まで来て璃来は立ち止まった。

「話って言うのは……俺、彩加が好きなんだ」

璃来は思いの丈を彩加に打ち明けた。

彩加は驚きに目を見開いている。

「…… 」

言葉もなくただ璃来を見ていた。

璃来の言葉が彩加の頭の中をぐるぐる回っているが、戸惑いの方が大きかった。

「彩加は俺の事どう思ってるのかな」

「私は……岩ちゃんの事は友達だと思っているの」

「俺の事考えてくれないかな」

「…… 」

彩加は目を伏せている。

「ごめんね。岩ちゃん」

彩加はそのまま駆け出して行った。

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