第13話

「彩加、何かあったでしょう」

翌日野球部に行った時、同じマネージャーで友人の松下怜奈が言った。

「私ってそんなに分かりやすい顔してる?」

彩加は戸惑い気味に両頬を手で押さえた。

「何があったの?誰かから告白でもされた?」

彩加は黙って頷いた。

「ひょっとして岩崎君からとか?」

「何で分かるのよ……!」

「だって彩加がそんなに悩む人って1人しか考えられないよ。馬場君だったら反応違うでしょう?」

鋭い……

彩加はそう思った。

「それでどうするの?」

「友達でいたいって断った」

彩加の言葉を怜奈は黙って聞いていた。

「付き合ったら?」

「え?」

「馬場君も前に踏み出して花崎の子と付き合いだしたんでしょう?馬場君を見ていても仕方ないと思う。彩加も吹っ切る時だよ」

「怜奈はそう思うの?」

「馬場君にとって彩加は亡くなった恋人の妹なんだから、それ以上にはなれないと思う」

「それは……分かってる」

「彩加も前に進んだ方がいい」

怜奈は彩加を抱き寄せた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る