第14話

彩加が教室で友人達と話していたら、璃来が入って来た。

「おはよう」

璃来はいつものように挨拶して来た。

「おはよう。岩崎君」

他の友人達が返事した。

璃来はそのまま自分の席に座った。

そうしたら友人達がやって来た。

璃来は友人達の話を聞いて笑っている。

彩加はホッと胸を撫で下ろした。

「それでね。彩加…… 」

「えっ?」

「ねえ彩加、今、岩崎君の事見てなかった?」

友人の一人が言った。

「違うよ!全然……!」

彩加は両手を胸の前で振った。

「でも、彩加って岩崎君と仲良いじゃん」

「それは友達だって……!」


昼休みに彩加は克樹から屋上に呼び出された。

「璃来の事断ったって聞いた」

「岩ちゃんの事は友達だと思っているから」

「彼奴の事、考える事は出来ないか?」

その言葉を聞いた瞬間、彩加の胸はキュッと痛んだ。

「他に好きな奴でもいるのか?」

「い、いないよ。そんな人」

彩加の口調が強くなる。

彩加の想いは克樹には届かない。

「だったら考えて欲しい」

「本気で言ってるの?」

彩加の声は微かに震えていた。

分かっている。

克樹は前に進むために他の女の子と付き合い出した。

だから彩加も吹っ切らないといけない。

でも気持ちがどうにもならない。

「本気だ。彼奴はいい奴だし、必ず彩加を大事にする」

「……考えさせて」

彩加はそう言うとそのまま校舎の中に駆け戻った。

クラスで泣くわけにはいかないので、階段を駆け下りて校舎の裏で泣いた。

こうして泣く事さえ、佑里に対しての裏切りかもしれないと思う。

ごめんね。お姉ちゃん……

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