第49話

誰か他の人を好きになれたら楽になるのかな……

彩加は机に向かって頬杖を付いている。授業中だと言うのに、教師の説明など全く頭に入っていない。

彩加はボンヤリと窓の外を見ている。

「彩加ー何してんの?」

クラスの友達の松田莉奈が不意に彩加の肩を叩いた。いつの間にか休み時間になっていた。


それは3月に入り,少しずつ辺りの日差しが柔らかくなって来たそんなある日の昼休みの事である。

彩加は璃来に屋上に呼び出された。

「話って何?岩ちゃん」

「彩加。俺の彼女になって欲しい。もう友達のままは嫌だ」

璃来の言葉を聞きながら、彩加の脳裏に克樹の言葉が蘇る。

……アイツの事を考えて欲しい。アイツならちゃんとお前自身を見る事が出来る。お前自身を愛する事が出来る。

彩加は黙って頷いた。

「本当か⁉︎彩加!俺と付き合ってくれるのか⁉︎」

途端に璃来の顔が輝く。

「うん。岩ちゃんとならきっと上手く行くと思う」

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