第50話
学校へ向かう通学路も道の両端に満開の桜が咲き誇り、人々の目を楽しませていた。そして桜が散りかける頃が来ると,克樹の胸にはまた傷みが甦る。あの日の時の事を思い出すからだ。あの日……いつもの朝、いつも通りに学校へ行き、そしてその帰り道に帰らぬ人となったあの日の事を。
「森里高?そうか、克樹後輩になるんだ」
その日の朝も佑里は胸までのポニーテールを揺らしながら、克樹を見ていた。佑里は無事進級して高校2年になっていた。
「よろしく、佑里先輩」
克樹がそう言うと、佑里は少し照れたように笑った。
そして、克樹の通う中学校が見えて来ると、佑里は克樹を振り返った。
「じゃあ、克樹。また明日ねー」
佑里は明るく手を振ると,ポニーテールを揺らしながら走って行った。そしてそのまま、佑里の姿は光の中に消えて行った。眩しいぐらいの笑顔を残したまま……
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